喫茶  うたかた  前編

るーみん鬱から少し浮上してきた宗文です

ふと浮かんだおバカversionの話をあげます

前編はおバカではないのですが・・・・

もちろん るーみん話です





[喫茶 うたかた] 前編



チャニョルが毎日通勤で通る大通りから少し入ったところに

すごく雰囲気のよさそうな喫茶店がある

昔ながらの如何にも喫茶店という感じで

店の中ではJAZZやクラッシックが流れているようなそんな店

チャニョルは昔映画で見た喫茶店に憧れを持っていた

そしてその店の存在に気づいたのは今日だった

それも偶然に・・・・

可愛い猫を見つけて

スマホで写真を撮ろうと追いかけて行ったら

喫茶店を見つけたという具合

まだ店が開いてないので場所だけ確認して出勤したが

どうも気になって仕方ないから帰りに寄ろうかと考えていた・・・



「おいっ!!!!ばくちゃ!!!!ぼーっとしてんじゃねぇ!!!!」

頭の上から声がしたかと思うと思いっきり叩かれた

「ベク・・・痛ってえなぁ・・・」

チャニョルは唇を尖らせて友人のベッキョンの方を振り向く

「何ぼーっとしてんだよ」

「なんでベクがここに居るんだよ~お前の経理部は上の階だろう?」

「あはははは!!!!チャニョル今日は変だよ~もうお昼休憩なのに」

ベッキョンの隣にいた男性が八の字眉毛をさらに下げて苦笑する


へ?


チャニョルがあわてて周囲を見回すと

総務課の同僚たちはすでに席にいなかった


「ほらっメシ行くぞ!!!!ぼけっとするな!!!!」




会社の近くの定食屋でチャニョル達は

ランチの日替わり定食を食べていた


良くしゃべるベッキョンとチェンは経理部所属で

チャニョルとは同期入社だった。

同期の中では特に気が合って毎日のようにランチを共にしている


「ねぇさっき何か考え事していたよね・・・どうかした?」

「ちょっとさ・・気になる喫茶店を見つけて行きたいなって」

「おうっ!!!お前が気になる店って俺も気になる~」

「ベクうるさい・・・」


チャニョルが店の様子や場所を説明するとチェンが小さく呟いた

「僕の知ってる店かも・・・」



*******************************************

「お疲れさまでした~お先に失礼しまーす」

定刻になったと同時にチャニョルは自分のデスクを離れる

気になっていた喫茶店はチェンの知り合いの店だと分かり

今から3人で寄る事になったのだ

何か言いたそうにしている上司に最高の笑顔を振りまいて

部屋から即行逃げ出した・・・

(ヘタに残業になったら今日行けなくなってしまう)

会社の玄関口で3人揃うと喫茶店に向かって歩き出した





「多分のチャニョルの言ってる店は僕の先輩の店だと思う」

チェンの説明にチャニョルは期待で瞳をきらきらしながら見つめる


「高校の先輩なんだけど・・いろいろあって・・・・

店は去年からあったんだけど・・・

でも立ち直ったみたいだし・・・

僕も先輩の様子が知りたかったから・・・・

行かなきゃと思ってたんだ・・・」


「何?いわくつきの先輩なの?」

チェンのまどろっこしい説明にベッキョンが問いかけた


「ん・・・すごくいい先輩だよ・・それにもう秋夕だから・・・」


チェンの説明になってない答えに首をかしげながら

2人はチェンの後を付いて行った



「こんばんは~」

チェンが木製の重厚なドアを押して中に入る


「おおっ・・・チェン久しぶりだな・・・いらっしゃい」

店のオーナーと思われる童顔の男性が

カウンターの向こう側から笑顔を向ける


(うわっ可愛い・・・子猫? りす? ハムスター?)

小さい物が大好きなチャニョルはその男性にくぎ付けになった


「シウミニヒョン~会いたかったです」

チェンが目に涙を浮かべている所に

カウンターから出てきた男性が優しくハグをする


「あれ~チェンだぁ久しぶりだねぇ~」

カウンターの奥に座っていた綺麗な顔の男性が

嬉しそうにチェンに声をかける


「レイヒョン!!!!いつ戻ってきたんですか?」

レイと呼ばれた男性はえくぼのできる笑顔をむけた


「んー半年前かな? いろいろ僕も忙しくてチェンに連絡してなかったね」

奥の4人掛けのテーブルに案内されて

ベッキョン、チャニョル、チェン、レイと座る


チェンとレイが再会を喜び合っている横で

チャニョルはシウミニヒョンと呼ばれた男性の事をずっと見ていた

4人分のコーヒーを入れるために

カウンターの向こうで忙しそうに立ち振る舞う姿に

うっとりと見惚れてしまっている

(あー本当に可愛い人だ・・好みのタイプだなぁ・・・)


ベッキョンはチャニョルのそんな姿に

呆れたようにため息をついて

店内を興味深そうに観察をする事にした

いい感じにJAZZが流れている

うん・・こんな喫茶店は今時珍しいんだろうな・・

ベッキョンはそう思いながら観察を続けると

カウンターの端に飾ってある写真に目が留まった

誰だろう・・・影膳が据えてある・・・

マスターの大切な人なんだろうか・・・・





「お待たせしました」

シウミンが4人分のコーヒーを運んでくる

近くで見ると色の白さと

猫のような大きな瞳に

すっかり魅入ってしまったチャニョルが

コーヒーを置き終えたシウミンの手を無意識に握ってしまった


!!!!!!!!!!!!


一瞬その場の全員がフリーズする


「俺!!!!チャニョルと言います!!!!シウミンさん・・・

あなたに一目ぼれしました!!!!

良かったら俺と付きあってください」


その時だった


ごおおおおお~!!!!


ドーン!!!!!


バリバリ!!!!!!!


「うわっ!!!なんだっ!!!何だ?????」


店の中に風が吹き抜け

店が大きく揺れたかと思ったら

爆音とともに店中の電気が一斉に消えた・・・・
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喫茶 うたかた 中編

[喫茶 うたかた] 中編



バリバリ

パシッ

パシッ

ドーン


店内に響き渡るラップ音

ベッキョンは子供の頃に見た映画を思い出していた


歳の離れた兄と従兄と夏休みに見たDVDは

屋敷に霊がとりついているホラーものだった

あまりの怖さに夜中にひとりでトイレに行けなくて

小学校3年生にもなっておねしょをしてしまった・・・・

その事は人生最大の汚点となって今でも心に残っている

あの時見た映画にもこんなシーンがあった・・・・

ぞわっ・・・ベッキョンの体に悪寒が走る



「怒ってる・・・」


ベッキョンの呟きに、レイが何故か楽しそうに答える

「うん・・怒ってるね」


チャニョルは座っていた椅子が払いのけられて

そのまま床に投げ出され、這いつくばる格好となっている

彼の目の前のコーヒーカップがガタガタと揺れて止まらない


やばい・・・


ベッキョンは本能でそう悟ると

床にへばり付いたまま呆然とするチャニョルの腕をとって

店の天井に向かって叫んだ



「ごめんなさい!!!!!!こいつは俺が責任もって連れて帰ります!!!

だから怒らないでください!!!!もう絶対に同じ事させませんから!!!」


「ベク?」

ベッキョンは荷物と

ぽかんとするチャニョルを抱えるようにして店から出ていった

「チェン!!!!後で連絡するから!!!!本当にごめんなさい!!!!」


2人が店から出ていくと

吹き荒れていた風はおさまり

バキバキと煩かったラップ音も全くしなくなった


ジャズが流れている普通の喫茶店の風景に戻っている

チェンは今何が起きたのか理解するのに頭を抱えていたが

レイとシウミンが全く動じていなかったことが不思議で

2人に説明を求めるように眼差しを向ける


**************************************************


「ベク・・・何が起きたの?・・・」

とりあえず駅前まで走って来てマックに飛び込んだ2人は

ぜーぜーとする息を整えてから

ポテトと飲み物を注文して席についた


「チャニョル・・・お前・・あの店に嫌われたぞ」

え?

チャニョルが大きな瞳を

落ちてしまうのではないか位見開いて驚く


ベッキョンはカバンからタブレットを取りだすと

あれこれ検索を始めた


「やっぱりな・・・」


「ベク・・・何がやっぱりなの?」


「あの店・・・霊に取りつかれているぽいぞ」


ベッキョンがSNSを検索していると

シウミンの店の評判が出てきた


大体はコーヒーが美味しくてマスターが可愛いとの書き込みだが

時々恐怖体験をしたという内容もあった

恐怖体験をした人々の共通点は、チャニョルと同じ事をした人達

つまりマスターのシウミンに手を出そうとしたり、好意を持った人達だった



「お前・・なんで初対面の人に手を握ったり、

付き合ってくれって言うかな・・・」


ベクが呆れたように呟くと


「だって・・あのマスター可愛かったじゃん・・・

もろ俺の好みのタイプで・・・男だけど・・・気づいたら告白してたんだよ」


チャニョルが頬を染めながらヘラヘラと話す横で

ベッキョンはカウンターの隅に置かれていた写真を思い出した


「マスターは多分誰にもなびかないだろうね・・・

置いてきたチェンが事情を聞いてくるだろうから・・・

そうしたらお前・・・マスターは諦めたと店に謝りに行けよ」


ベッキョンの言わんとする事が分からず


「なんで? 」と首をかしげるチャニョル


「お前・・・あの店の霊に敵と認定されたんだぞ!!!!

俺はお前が霊にとり殺されるの見たくないの・・・・

あーっ!!!!ガキの頃に見たホラー映画思い出しちゃったよ~

俺のトラウマ~!!!!今夜は1人で寝たくない気分だ!!!!」


「じゃあ俺と寝る?」チャニョルが笑顔で聞いてくると


「ボケっ!!!!」とベッキョンは


テーブルの下のチャニョルの足を蹴っ飛ばした



******************************************************


「ルハン・・・落ち着いたか?」

シウミンが空間に向かって呟いた


「シウミニヒョン・・ルハンって・・・

ルハニヒョンは事故で死んだんじゃなかったの?」


チェンの問いにシウミンは泣きそうな顔をしてほほ笑んだ


「あのね~ルハンはそこにいるんだよ~」

何もない空間を指さしてレイは言うと

その言葉に返事をするかのように照明がパチっと明るくなった

「なかなか信じられないよねぇ~

でもシウミンに未練あって執着しすぎてこの人・・・」

え?

「ルハンはねぇ~幽霊になってこの店にとりついちゃったの」

レイが世間話でもするかのように淡々と説明を始めた

喫茶 うたかた 後編

[喫茶 うたかた]  後編



チェンが高校に入学した時には

ルハンは自分の学校だけでなく周辺の高校でも

サッカー部のアイドル的存在で超有名人だった

顔も良ければ性格も良くサッカーも上手・・・

まさに神は彼に二物も三物をも与えていると言われていたのだ


そのアイドルの親友でサッカー部のキャプテンがシウミン

レイはルハンの幼馴染だった

チェンはたまたま知り合ったレイ経由で

ルハンとシウミンに可愛がってもらっていた


チェンが大学を卒業して社会人になった頃

異常なほど仲の良かった2人が

親友という枠組みを超えて

生涯のパートナーとして真剣に付きあっている事を知った


周囲は驚きながらも祝福し

仲間内での結婚式を予定していた数日前に

ルハンが事故に巻き込まれて死んでしまった・・・のが1年前

シウミンはショックで自殺を図るが未遂で終わった・・のが半年前の事

今では立ち直って喫茶店を経営している・・・とチェンは仲間内の噂で聞いていた



「ルハニヒョン・・・

シウミニヒョンへの執着半端なかったですもんね

普通に考えても成仏なんて出来ないでしょう」

チェンの呟きにレイが困った顔で続ける


「そうなんだよ~で・・困ったことに・・・

僕は・・・ルハンの姿が見えるの」


「へ?」


「ルハンに会いたくて仕方ない俺には見えないのに・・・」


シウミンが小さくため息をつく

チェンの前に置いてあるカップが

返事をするようにカチンと小さく音をたてた


外はすっかり暗くなってきている

ベッキョン達が慌てて出て行った時に

シウミンが閉店の看板を出したため

客は入ってくる気配はない・・・


もしかしたらルハンが入れさせてないのかもしれない


「でも感じるんだ・・見えなくても・・ここにルハンがいるって

俺にはわかるんだ・・・レイ? 俺の背中にルハンいるんだろう?」


レイはシウミンの背中を見つめると


「うん・・・分かるんだ~すごいね~

ルハン今の言葉ですごく嬉しそうに笑ってるよ・・・

こんな感じに抱きしめてる・・・」



レイは自分の横にいたチェンの後ろに回り

やさしく慈しむように抱きしめた


シウミンはその様子を涙でうるんだ瞳で見つめ

「ルハン・・・ハニ・・・今でも愛しているよ・・ずっとお前だけだよ・・」

自分の背中にいるだろう恋人に愛の言葉を告げる


ふわり・・・


その場の空気が柔らかく変化したようにチェンは感じた

まるでルハンが喜んでいるかのようだった



むかし・・・暗くなった学校の廊下の隅で

シウミンを黙って後ろから抱きしめていたルハンの姿をチェンは思い出した


うっとりとした表情でシウミンの肩に頭を預けていたルハン・・・

幸せそうに抱きしめられていたシウミン・・・


偶然見かけてしまったその姿は美しい絵画のようにチェンの脳裏に焼き付いた

きっと今も同じような表情をしているんだろう・・・



あと数日で秋夕・・・その日はルハンの姿が見れるかも知れないよ・・と

レイが意味深な笑顔でチェンに伝えると

何故かシウミンも頬を赤らめて

「秋夕は霊の力が増すらしいんだ・・」と呟いた

「秋夕にまた来ます・・」そう言い残してチェンは店を後にした




秋夕は祝日となるために会社は休みとなる

チェンの話を聞いて

ベッキョンはチャニョルを連れて謝罪しに行きたいから

是非一緒に連れて行ってほしいと言った


ベッキョンは子供頃に見た映画のトラウマからなのか

とりついた霊を怒らせたのでチャニョルが殺されるとでも思ったらしい


3人でお供え物と花束を持ってシウミンの店に行くと

扉には「貸切」の紙が貼られていた


「チェン~来たね~」レイが嬉しそうに声をかけてくる

ルハンの姿が見えるレイは

(妖精さんとか小人さんは昔から見えたけど

幽霊はルハンしか見えない・・らしい)


今はルハンの通訳兼ウェイターとして喫茶店で働いている

(ルハンに泣きつかれてそうしていると後日チェンは知った)



「うわーっギョンス~久しぶり!!!!」


「チェン!!!!元気だった?

今日はルハニヒョンの好きだったケーキ焼いて来たんだ」


ギョンスはサッカー部のマネージャーをしていて

チェンと同級生だった

シウミン達が卒業した後に入ってきたカイと

今日は一緒にやって来ていた


シウミンが飲み物をみんなに出すと

お互いの近況を報告しあう


他にも来たがった仲間はいたけど予定が合わず

今日はカイとギョンスとチェンの3人と

チェンの同僚のチャニョルとベッキョンの5人だった


自己紹介の後の話によると

仲間で集まるのはルハンの葬式以来だそうだ


談笑がひと段落するとレイがカウンターの奥の方を確認してから

「今日のサプライズ~ルハン登場です~」と皆に声をかけた



カウンター席は行き止まりになっている

今まで誰もいなかったその席に

ゆるふわパーマのかかった茶髪の綺麗な顔をした男性の姿が現れた


「うわっ!!!!」

突然現れた男性にチャニョルはびっくりして大きな声をだした


「まじ・・・ヒョンだ・・・」

カイが放心したようにぽつりと呟いた


「るはに・・ひょん・・・」

ギョンスが大きな瞳をさらに大きくして見つめる


「すっげー綺麗な人・・・」ベッキョンもルハンの綺麗さに驚いてる



「やっと実体化できた~!!!!秋夕期間は霊力が増幅するって話だったけど

ほんとだったね~あーっ!!!これでしうちゃんの事を触って感じることが出来る」

ルハンはそう言うと体をほぐすかのように伸びをひとつした


「しうちゃ~ん!!!!!会いたかったよ~会いたくて死にそうだったよ~」

そしてシウミンに思いっきり抱きついた


「あのさ・・・ルハン・・・

他のみんなも君に会いたくて来てるんだけど・・・」

レイがやれやれという様なそぶりをする


「会いたくて死にそう・・・ってヒョンもう死んでるし・・」

カイがぼそっと言うと


「ルハニヒョンって死んでもルハニヒョンなんですね・・・

何とかは死んでも治らないって・・・ほんとなんですね」

ギョンスも顔色一つ変えずに酷い事を言っている


言われた本人はただひたすら

愛しいシウミンをぎゅうぎゅうと抱きしめていた


「チェン・・・あのルハンさんって・・・もともとああなの?」

ベッキョンはチェンの肩をつついて尋ねる


「うん・・・変ってない・・あのまんま・・・・

優しくて楽しくて皆に慕われてたけど・・・

シウミニヒョンが絡むと

すっごく残念な人になっちゃうの・・・・

あまりにも生前と変ってないから

なんか涙出て来ちゃった・・・」


見るとチェンの瞳から涙が一滴流れている

カイもギョンスも目がうるんでいた


あの人・・・みんなに愛されていたんだな・・・

ベッキョンまで鼻の奥がツンとしてくる・・・もらい泣きしそうだ・・・



みんなの手前恥ずかしがって

無駄に抵抗していたシウミンに

ルハンは力づくで濃厚なキスをすると、

やっと顔を離して皆を見てほほ笑んだ


久しぶりの再会にみんなルハンにいろんな事を聞いてくる

ルハンはシウミンを自分の膝の上に乗せて抱きしめながら

みんなとの話に花を咲かせていた


「じゃあ・・・ずっと力を使えるように

いろいろトレーニングしていたんですね」


「うん・・・秋夕だと実体化できるって聞いて

死ぬほどトレーニングしたよ」


「死ぬほどって・・・ヒョン死んでるし」


カイの突っ込みを軽くスルーして

ルハンはシウミンの体をなでまわしている


「ちょっ・・みんなの前だから止めろよ」


シウミンの制止も聞かずに

ドンドンと行為はエスカレートしそうだ


「必死でパワトレして実体化したのって・・・

シウミンさんのためですか?」

ベッキョンが気になる点を皆の代わりに質問する



「あったりまえじゃん!!!!!

愛するしうちゃんとエッチするためじゃん!!!!」


当然だろうと整った顔を惜しげもなく崩しながら

ルハンは高らかに周囲に宣言する


胸に抱きしめているシウミンは恥ずかしさのあまり

両手で顔を覆ってしまって

表情が見えないが耳が真っ赤だ


ああ・・・やっぱり・・・この人は・・・こういう人だった・・・


そんながっかりした空気が周囲に漂い始めた時



「ルハンさん!!!!すごいっす!!!!俺・・・尊敬します」

黙って一部始終を見ていたチャニョルが

目を潤ませながら口を開いた


はぁ?


ベッキョンが驚いてチャニョルの顔を見つめると


「ベク・・ルハンさんって凄いよな・・

恋人のためにこの世に幽霊として残って

恋人の窮地を救い、

寂しい思いをしている恋人の体を慰めるために

パワトレして実体化までしてるんだぜ」

感動して瞳はキラキラしている


(ニョル・・・そこに感動しているのか?

なんかお前の焦点ずれてるし・・まあいつもの事だけどさ・・)


ベッキョンが呆れて言葉を失っていると


「お前・・・

この間は、しうちゃんの手を握ったりしたからムカついたけど、

本当は良い奴なんだなぁ・・・」


ルハンが笑顔でチャニョルに言った

その様子を見たベッキョンは

こっそりと安堵のため息をつく・・・

これで映画みたいに殺されることは回避された・・


チェンはそんな様子をみて

ルハンが不機嫌になってくるのに気づいた

周囲に対して笑顔で話をしているが瞳が全く笑っていない

高校時代もこんなことが良くあったっけ・・・




ギョンスも気づいたようで、カイに耳打ちして帰り支度を始めている

レイに目配せするとレイも苦笑しながら帰り支度を始めた


「1年ぶりだからねぇ~気持ちは分かるけどさ・・・

ルハン!!!!シウミンの体いたわってよ」


「さあ・・・帰ろう!!!!みんな!!!!

ヒョンに獲り殺されないうち!!!」


「分かってんならさっさと帰って!!!!!

俺たち2人っきりにして!!!!」


みんなが気を利かせた事に

ルハンは満足して最上級の笑顔で皆を送り出した


シウミンはルハンの胸に顔を隠したまま

耳だけでなく首までも真っ赤になっている


「ルハンさん!!!!頑張ってください!!!!」

チャニョルが親指を立ててウインクをすると

「おうっ!!!任せとけ!!!!」

ルハンも同じポーズで答える


「ルハニヒョン・・・また会いたいです」

「実体化以外でも会えるように

スキルアップしてくださいね」

「また来ます~」




ガチャン


店から出ると早々鍵のかかる音がした

あまりにも分かりやすくて皆が笑いだした


「もうシウミニヒョンが

毎日泣いて暮らすことはないですね」

ギョンスがレイに向かって呟く


「パワトレに励んでレベルが上がると

鏡を介して話をすることも出来るって

ルハンは幽霊友達から教わったみたい」


幽霊友達って・・・すごいな・・・

ベッキョンが変な所に関心する


「なんか・・死んでもルハニヒョンは変わってない・・・

シウミニヒョンが死ぬまで獲りつくんでしょうね」


「そうだね・・・死ぬ程恋焦がれてやっと手に入れた愛する人だもん

死んだ位じゃ手放すわけないね・・・ルハンは・・・」

レイの言葉にその場にいた皆が納得をする


「2人を祝福するためにこの後飲みに行きましょう!!!!!」

チャニョルの発案にみんな頷きながら

夕方の街に繰り出していった



その後ルハンはスキルアップに成功し

鏡を介して友達らと話が出来るようになる

秋夕じゃなくてもパワーを貯め込んで

実体化出来るようにもなった



愛の力は偉大である


そうまさにエロパワーは岩をも動かす・・・・




おしまい




*「秋夕」・・・チュソク 韓国での日本のお盆にあたる風習 9月下旬 アイドルの韓服姿がSNSに上がります



くだらなくてすみませんでした・・・

この話のルハンさんsideの続編があります

喫茶 うたかた 番外編 ルハンside 前編

[喫茶 うたかた] 番外編 ルハンside 前編



気がついた時には俺は死んでいた

一瞬何が起きたのか理解できず脳内パニックを起こしかけたが

俺の体にしがみついて泣き叫んでいるしうちゃんを見て

自分が病院のベットに寝かされているんだと気づく

ベットの天井辺りからその様子を見ていたんだ




俺はたしか・・・結婚指輪を取りに行って・・・

その帰りに赤信号を突っ込んできた車にはねられた

その事が原因で死んだのか?



死んだ・・・なんで俺が死ななきゃいけないんだ?

これから愛するしうちゃんをたくさん幸せにしなくちゃいけないのに

なんでだ?


おーまいがっ!!!!!!!!!!かみさまー!!!!!


俺は悔しくて涙が出たけど

しうちゃんの悲観する姿を見て悲しみよりも怒りが沸いてきた

しうちゃんを抱きしめようとしても

その体は俺の手からすり抜ける・・・

キスをしようとしても実体を持たない俺の体はすり抜けるだけ


健気にも泣きくれながらも俺の葬儀の支度をするしうちゃん

俺は成す術もなく、しうちゃんの周囲をうろうろするだけだった

そんなことをしている間に俺の葬儀が始まった


お互いの両親に結婚を認めてもらっていたから

喪主はしうちゃんがやってくれて

俺たちの友人たちが集まってくれていた

自分の葬式を見るなんて・・・何とも言えない・・・

ぼんやりと棺桶の上に座っていたら

レイと目が合った

レイが信じられないという顔をして

数回瞬きをすると俺から目をそらした


これって絶対に俺が見えてる・・・

あいつとは幼馴染だけど、

ガキの頃よく妖精とか小人とかと話してたっけ

あの頃は嘘だろうって思っていたけど・・・

俺の姿が見えるなら本当だったんだな

レイを捕まえて確認しようと思ったらバタバタして

気づいたらいなくなってた・・・あいつ絶対に逃げたぞ


毎日俺の事を想って泣いているしうちゃんの横にいるのに

慰める事もできずにただ時間だけが過ぎていく


四十九日を過ぎたらあの世からの使者とかいう奴がきた

俺はあの世に行くのを拒否した


だってしうちゃんの事を1人にしていけないし

俺の事忘れて新しい人生を歩んでくれ・・

なんて俺・・・人間が出来てないし・・・

もし新しい恋人でも出来たなんて・・・

考えただけでも気が狂いそうになる・・・それだけは絶対に阻止だ


俺が、愛する人を残して死んだことへの不平不満をまくしたてると

使者の奴はあの世に逃げ帰っていった・・・

いいんだ俺は悪霊にでもなんでもなって

この世に留まってやる!!!!!!


しうちゃんは健気だった

俺たち2人で開店させたcaféを守って

1人で毎日頑張っている


俺は耐えきれずに

しうちゃんの背中に抱きついたり

唇にキスをしてみたり・・・もちろんすり抜けてしまうけど

そんな事を毎日繰り返していたら

本能が感じてくれたのか

しうちゃんは無意識に俺がそうした時には

小さくほほ笑んでくれるようになった


でもこのままこんな関係じゃ埒が明かない

悶々と日々を過ごしていたら・・・

突然・・・しうちゃんが自殺を図った


その日はしうちゃんの誕生日

1年前のその日は2人にとって最高に幸せな日だった

俺がサプライズでしうちゃんに結婚の申し込みをした日

俺たちは一生幸せに暮らしていけると希望に満ちていた・・・


その幸せにあふれていたアルバムを見ながらしうちゃんは涙を流してた

そして・・・

「俺もう疲れちゃった・・・ルハニの所に行ってもいい?

ルハニ・・・愛している・・」


そう言って手首を切った

俺はしうちゃんの手首から血が流れ出ているのを見てるしかなく

どんどん顔色の悪くなるしうちゃんを目の前にして

何もすることができなくて呆然としていた



このままじゃしうちゃんが死んじゃう・・・


俺の姿が見えるレイの事を思い出して

「レイ!!!!!助けてくれ~!!!!」と叫んでいた


気づくと俺はレイの目の前に立っていた


びっくりした顔のレイに縋りつくように助けを請うた

「しうちゃんが・・・手首切った・・・出血が多くて

早く助けて!!!!死んじゃう!!!!!こんな死に方はダメなんだよ~!!!!」


レイは俺の声も聞こえたようで、

救急車を要請しながらしうちゃんの部屋に駆けつけてくれた


救急搬送されて手首の処置もしてもらい

薬で眠っているしうちゃんの横で俺とレイは話をしていた


「シウミンが死んだらルハンの元に行けるんでしょ?

なんであんなに泣き叫んでいたの? 助かったのは良かったけど・・」


「確かにそう思うかもしれない・・でも自殺はダメなんだ

自殺は自分を殺すから・・・殺人になって・・・

あっちの世界で犯罪者扱いになるんだよ・・事故で死んだ俺とは

いる場所が違ってしまって・・・2度と会えなくなるんだ」


涙でぐちゃぐちゃになった俺の顔をじっと見て

レイは小さくため息をついた


「もう・・・仕方ないね・・・僕ふたりの通訳してあげるよ」


目が覚めたしうちゃんに

レイは俺の事を包み隠さず話してくれた

しうちゃんは泣きながら


「ずっと側にいてくれたんだね・・・ルハン・・ごめん・・

俺・・鈍感だから・・お前の気配感じられなくて・・・」

そう言って手を顔の前にあげた


俺はその手を掴んで・・もちろんすり抜けてしまったけど

包み込むようにして一緒に泣いた

しうちゃんの目が大きく見開いたと思ったら


「もしかして・・今・・ルハン俺の手を握ってる?」


「シウミン・・・分かるの?」


「なんか・・ここだけ暖かいの・・ルハンの愛が感じられる」


「もう死のうと考えちゃだめだよ・・ルハンはずっとシウミンの側にいるよ」


レイの言葉にしうちゃんは小さく頷いて優しくほほ笑んだ


しうちゃんが入院している間

病院の近くの公園に散歩に行ってみた・・・

これからどうしたらいいか・・・座り込んで考えを纏めようとしていたんだ


そしたら・・このくそ寒い中

ランニング姿でトレーニングしている男性を見かけた

こいつ・・何をやってんだ・・って見てたら


ばっちり目が合った


え? こいつもレイと同じで俺が見えるの?


男性は良く見ると凄くハンサムで体型もがっしりしている

筋肉質の体はムキムキと言うよりも細マッチョ系だ


そしてその男性は俺の顔を見るとニッコリとほほ笑んだ

喫茶 うたかた 番外編 ルハンside 後編

[喫茶 うたかた] 番外編 ルハンside 後編



俺は幽霊を初めて見た

今は自分が幽霊になっているのにも関わらず

初めての経験だった


病院近くの公園で知り合った筋トレに励む男性は

幽霊だった

あまりにも自然に周囲に溶け込んでいて

まったく気づかなかった


そいつはハンギョンと言って俺と同じく

この世に恋人がいて未練から成仏できずにいるそうだ


正確には一度成仏してあの世に行ったけど

恋人との約束で秋夕に会いに来てから

あの世に帰れずに恋人のそばにいるそうだ

恋人が離してくれないってにやけ顔で言っている・・・マジか?




「なんで筋トレしてんですか? 幽霊だから関係ないでしょ?」

俺が呆れたように言うと


「あれ? 君知らないの? 筋トレというかパワートレーニングをして

レベルを上げると、いろいろ出来るようになるんだよ」



意味が分からない・・いろいろって何だ?


怪訝そうな顔をしている俺を見て

ハンギョンは小さく笑った・・・

その仕草が俳優みたいで何かカッコいい・・・

でもムカつく



「君・・ルハンくんだっけ? 知らないようだから教えてあげる

レベルが上がれば、ものを動かしたり空間を操作したり

鏡に映って人間と話す事も出来るんだ」



ええええええええええ!!!!!!!!



「君の大事な人と鏡越しに話できるんだよ」


俺がびっくりして目を見開いていると

ハンギョンが俺の反応に楽しそうに笑う


「もうひとつ大事な事・・・パワーアップすると

実体化が可能になる・・・

実体化できる時間はトレーニング次第だな」


そう言うと俺の耳元に顔を近づけて

「実体化できればもちろん・・・

君の恋人とsexも出来るよ」と囁いた



え?

え?

今こいつ何て言った?

パワーアップすると実体化できて

実体化すると恋人とsexができる・・・・



ええええええええええええええ????????


パワトレすれば

しうちゃんとエッチできるの?????


あああ~神様~!!!!!ありがとうございますっ!!!!!

俺っ成仏しなくて良かった!!!!!!!



「ハンギョンさん!!!!!弟子にしてください!!!!!

俺!!!!!!しうちゃんとのエッチのためなら何でもします!!!!」



そして俺はハンギョンの指導の元

必死でパワトレを教わった

映画でロッキーが

ロシアの選手と戦うために山籠もりする・・・

あんな感じで死にそうな位頑張った・・・


ハンギョンと違ってまだ完全ではないけど

秋夕の期間は霊力が増幅されるから

俺でも実体化できそうだと教わり

パワトレを欠かさず秋夕を指折り数えて待っていた


その前にものを動かしたりする事は出来たので

俺たちの店でしうちゃんにちょっかいを出す輩に

恐怖体験をさせる事は出来るようになった



そして秋夕・・・・


俺の腕の中で愛するしうちゃんが眠っている


俺が死んで1年ちょっと・・・

本当に久々のしうちゃんの感触に

感極まって泣きっぱなしだった・・・俺もしうちゃんも・・・

初めて結ばれた時のように泣きながら腰を動かしていた俺・・・

ずいぶん間抜けな情事だけど・・でもいいんだ


死んで幽霊になった状態での愛の行為は今までとは違っていた

2人の体が重なると心・・そう魂までが溶け合って

全てが融合して・・・2人が完全に一つになった

その感覚が気持ちよくて俺としうちゃんは「ひとつ」なんだと

あらためて実感できた


しうちゃんと愛し合う事が出来

鏡を利用しての会話も出来

しうちゃんも俺の気配を感じる事が出来るようになった


もう一生そばにいられる

後はしうちゃんの寿命が来て

一緒にあの世に旅立つ日が来るのを待つだけだ


ただ

あまりにも可愛い俺のしうちゃんに

懸想をしやがる輩が時々出て来るので

そいつらを懲らしめていたら

「喫茶 うたかた」は

心霊スポットとして有名になってしまった


それだけは想定外だった・・・


これからも俺はしうちゃんを守るために

しうちゃんの側を離れないよ!!!!!!!!!





おしまい

くだらなくてすみませんでした・・・
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宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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