大切なものは・・・1

出会う~の話の

ルハンが脚を無くしてからのリハビリ中の話です

出会う~想う~願うをまだ読まれてない方は
先に読んだ方が分かりやすいかと思います


出会う~想う~願う


[大切なものは・・・・]  カイside


ギョンスヒョンから連絡があって

ヒョンの友達が義足のためのリハビリに

僕のいる病院に来る・・・らしい

僕はバレエダンサーをしていたけれど

公演中の事故で、ダンサーとして再起できないくらいの怪我をした

当時W主演で同じ舞台に立っていた

親友でもありライバルでもあったテミンの熱狂的なファンの策略で

舞台のせり上がり部分があがってなくて、

気づかなかった僕は奈落の下に落ちてしまったのだ



もう1年も前の話だ

色々あって凄く辛かったけど

その事故がきっかけで

密かに片思いをしていたギョンスヒョンと

両想いだった事が判明した・・・怪我の功名って言うの?


今僕は日本の病院でリハビリしていて

ソウルでビストロを経営しているヒョンとは余り会えないけれど

心は繋がってるのかと思うと我慢できる

何とかダンスが出来る位までを目標に頑張っている・・・・



「うわぁ~今日から入院する人って・・・すごいイケメン」

「サッカーの韓国代表だった事もある人でしょ?」

「日本語は分からないんだよね・・・私韓国語勉強しなくちゃ」

「でも・・何か付き添いの人は英語ペラペラらしいよ」

「英語かぁ・・・少ししか分からないけど韓国語よりは分かるかな」


病室の外の看護士さん達の声がうるさいほど華やいでいる

多分ギョンスヒョンの友達という人が来たんだろう

1年近く日本にいるから何となく話している内容は分かってきた

女性ってイケメンが本当に好きなんだなぁ・・・


僕も入院してきた当初はいろいろアプローチされたけど

ギョンスヒョン以外に興味ないから

周囲から恋人宣言とも見えるペアリングは

外さないようにしている・・・

ヒョンは仕事柄、ペアリングをしてくれなくて僕がいじけていたら

チェーンに通してネックレスとして身に着けてくれた

毎日身に着けてくれているから・・・僕はそれで充分満足



「すみません~今日からお世話になります~」

カタコトの日本語の言葉が聞こえてきた

それに続いて

「ミンソク・・病室ってどこ? ミンソクも一緒に泊まれるんだよね」

「バカ・・俺は外に部屋を借りたよ」

「えええ? ミンソク一緒に泊まるんじゃないの?」

「お前・・・ここどこだと思っている? 病院だぞ・・・」

早口の韓国語が聞こえてきた


ミンソクと言う人が付き添いなんだ・・・

それにしても何か我儘な人みたいだな

個室に入るって聞いてたけど・・・


いつもなら周囲の事はあまり気にしない

マイペースだと言われている僕だけど

さすがに興味があって病室から廊下に顔をだした


えええええええええええ??????


思わずびっくりして僕は腰を抜かしそうになった


車椅子に座ってそこにいたのは・・・・

韓国国民ならだれでも知っている・・・・

サッカー選手のルハンだった

ドイツのチームの誘いを受けて

行ってすぐに目立つ活躍をして・・これからだと言うときに

飛行機の墜落事故に遭遇し、奇跡的に命は助かったけど

脚を片方切断した・・・とニュースで聞いていた

その超有名人のルハンが・・・目の前にいる・・・


それよりも何でギョンスヒョンと知り合いなんだろう・・


ぼんやりと考え事をしていたら

ルハンの付き添いの人が僕を見つけて声をかけてきた


「もしかして君がカイくん? ギョンスの大事な人の?」

車椅子を押しているミンソクとか言う人の言葉に驚いて

2人を凝視してしまった


車椅子のルハンがクスっと笑って

「え~? ギョンスの恋人って? こいつ? まだガキじゃん」

「ルハン・・・失礼な事を言うんじゃない!!!!」

ミンソクさんがルハンの頭を軽く叩いて注意をすると

「僕たちはギョンスと友達です。

こいつはルハン・・顔は知ってるみたいだね

僕はミンソク・・このバカの付き添いで世話係をします。

このバカに何かされたら僕までちゃんと言ってください。

カイ君に何かあったら僕がギョンスに恨まれるので」

そう言ってほほ笑んで僕に握手を求めてきた

ミンソクさんの手を握って握手をしていると


「ごらぁ~俺のミンソクに触るんじゃねぇよ」とルハンが睨んでくる

パシッ!!!!!

「これは握手!!!!!」呆れたようにミンソクさんがルハンの頭を叩いた


「握手でもなんでもミンソクに触ったら承知しないからなっ!!!!!」

「はいはい・・・分かりましたよ・・・カイ君が困ってるだろう」

そう言うとルハンの耳元に顔を近づけた


あっ・・・今・・・この人耳たぶにkissした

ルハンの顔が瞬時に蕩けそうになっている


ミンソクさんはケロっとした顔で

「カイ君・・・また後でリハビリ室でね・・」

そう言って車椅子を個室に向けて押していった


これからどんな毎日が僕を待っているんだろう・・・

あまりのインパクトの強さに

僕はしばらくその場から動けないでいた



続く
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大切なものは・・・ 2

[大切なものは・・・・] カイside 2


今日もリハビリ室は大賑わいだ

ルハンが転院してきてから

言葉が通じないのにも関わらず

元々の人柄なのか、リハビリ室は笑い声が絶えなくなった

僕はあまり賑やかなのが得意じゃないので

ちょっと居づらくて部屋の隅にいる事が増えた


普通の友人兼お世話係だと思われていたミンソクさんが

実はルハンの恋人だった・・・という事が周囲に知れ渡った

人前では友人として接しているミンソクさんに対して

ルハンは恋人として接しているからだった・・・

それもかなりのやきもち焼きで、

周囲がひいてしまう位の執着を惜しげもなく表しているから

ミンソクさんに近づく輩を追い払うための牽制としての

恋人宣言なんだろうな・・・


韓国ではビックニュースになるのかも知れないけど

ここは日本だし、

病院のスタッフの教育が素晴らしく

口外される事はなく

韓国と違って患者のプライバシーはしっかりと守られている



「おーい」

部屋の隅でストレッチをしていた僕にルハンが声をかけてきた

今日はミンソクさんは用事があるようで

午後から来るとの話だった



「お前・・・なんか元気ないよなぁ・・・大丈夫か?」


僕は、ルハンの言葉に黙ったまま俯いていた


「俺・・・煩い?

スタッフは韓国語の分かる人ほとんどいないから

ついミンソクと韓国語でくだらない話までしちゃってるからな」


そう・・・この人・・・周囲が分からないだろうと

やたらめったらミンソクさんに愛の言葉を投げつけている

呆れたミンソクさんは10回に1回位は仕方ないと返事をしている


でも韓国人の僕はたまったもんじゃない・・・

年がら年中発情期みたいなルハンの求愛行動を見せられて・・・・

電話でしか話せないギョンスヒョンが恋しくなってしまう


めっきりふさぎこんで元気がないように見えるのは・・・・

ルハン・・・・あんたのせいなんだからな!!!!!


僕が片思いをしていたギョンスヒョンと両想いになれたのは

幸か不幸か僕のケガがあってから

ヒョンを招待した舞台で奈落の底に落ちて救急搬送された

その時にヒョンは「弟」だと思っていた僕の存在が

物凄く大切なものだと気づいたそうだ


気持ちが通じ合ってからキスを数回

ましてやHなんてしてない・・・


僕はリハビリのために日本に来てしまい

遠距離恋愛真っ只中になってしまった

年に数回しか会えない今・・・

目の前で、恋人と隙あらば

いちゃこらしようとしているルハンを見ていると

羨ましさを通り越して憎らしくなってくる



トレーニングが休憩になったのを見計らって

ルハンは僕の側までやってきた


「おいおい・・・そんな目で睨んでくるなよぉ~」

ルハンは杖を上手に使って、僕の横に座った


「ギョンスのあの雰囲気を思い出すと・・・

恋人とはいえ・・・お前らまだ最後までやってねぇだろう?」


「あんたには関係ないだろう」

不愉快を顔に出した僕の様子が可笑しいと

ルハンは小さく笑った


トレーニング室から外を見ると

日差しがすっかり春めいてきている

ここは日本でも春の来るのが早いらしく

病院の外は黄色い花畑でとても綺麗だ


スマホで写真を取って

「一緒に見たいな」とギョンスヒョンに送ったら

雪の景色のソウルの写真が送られてきた・・・

ラインには「会いに行けなくてごめん」と書かれていた


「お前もギョンスに会いたいよな・・・

俺・・・カイの立場だったら気が狂うかもしれない」

ルハンの泣きそうな顔をみて小さく吹き出した


「俺さ・・と言うか俺たちさ・・・10年間も片思いしてたの・・

お互いに好きだったのに・・・

同性だったから「友人」でいようって・・・

お互いに勝手にそう思ってて・・・

世間体を考えてたのかもしれないな・・・」


急にルハンが真面目な顔をして話しだしたので

僕も姿勢を正して聞く体制になった


「俺なんかミンソクを好きな自分から逃げ出そうとして

手当たり次第に女に手を出していた時期があって・・・・

今思うと凄く自分に腹がたつんだ・・・結局ミンソクを傷つけていたし」


ルハン位になると言い寄ってくる女性は多いだろうね


「生き返って思った・・・もうミンソク以外あり得ないって」


「生き返ったって?」


「あれ? カイは知らない? 俺死にかけたんだよ・・・

臨死体験もしたんだよ・・・生き返った代償として片足無くしたけどね」


僕がびっくりしてルハンを見つめていると

ルハンはニカっと笑って


「10年間親友でいて・・楽しかったけど凄く勿体なかったって思ってさ

今一生懸命10年分のいちゃこらを取り戻そうとしている」


(国民の英雄とまで言われたことのあるルハン・・・

この人は本当はものすごく残念な人だったんだ・・・)


真面目な顔して変な事を言っているルハンに

呆気にとられていたら

「何バカな事をドヤ顔で言ってるんだよ」とミンソクさんの声がした


「馬鹿な事じゃないもん!!!!俺・・過去に戻れたら

女に手を出していた頃の自分を殴り倒してやりたい・・・」


「はあ?」

呆れかえった顔のミンソクさんの横に

楽しそうにクスクスと笑うギョンスヒョンがいた


「カイ・・・元気だった?」

まさかのヒョンの出現に僕は驚きのあまり動けないでいた


「ぎょんす・・・ひょん・・・うっ・・うっ・・」

ヒョンの笑顔を見た途端・・・

僕は自分でも気づかないうちに涙を流していた

少し困った顔をしてヒョンは僕を優しく抱きしめてくれた



「へへへっ・・・泣いてやんの・・・・」

パシッ!!!!!

「うわっ!!!!何すんだよっ!!!!」


隣のルハンが僕をからかおうとして

ミンソクさんに頭を叩かれ僕の視界から消えていった

(ミンソクさんに引きずられて行ったようだった)


「ギョンスヒョン・・・お店はどうしたの?」

僕が心配そうにヒョンの顔を見ると

ヒョンは思いっきり可愛い顔をしてほほ笑んだ


あ・・・そんな顔しないで・・・心臓が爆発しそうだよ


「チャニョルに頼まれてね・・店を映画のロケに貸し出したんだ

だから半月ほど臨時休業になったよ」


「ヒョン・・・」


「カイのリハビリが思った以上に長引いたでしょう?

もう僕も我慢の限界が来てたから・・丁度よかったかな」


ああもう駄目だ・・・僕の涙腺は抱懐した・・・

そしてヒョンの左手には僕とのペアリングが光ってる・・

職業柄いつもは指にしないのに・・・・


「ヒョン・・・ヒョン・・・うわぁぁぁぁぁん」

嬉しすぎると自分でも予期しない行動に出るもんだ

僕は小さな子供のように声に出して泣いていた

いつまでも泣きじゃくる僕を

ギョンスヒョンは優しく抱きしめてくれた


続く

大切なものは・・・3

[大切なものは・・・・] カイside 3


日本は明日から連休だそうだ

休日には外出許可が出る

ギョンスヒョンは日本に来る時に

ミンソクさんと相談して僕と温泉に行く計画を立てたそうだ


病院から車で少し離れたところに温泉街があって

そこの温泉の効能はリハビリに凄くよく効くらしい

そして部屋には

プライベート露店風呂というものが設置されていて

カップルや家族に凄く好評なんだそうだ


ギョンスヒョンは病院で、僕の外出届の手続きをしてくれて

「明日の朝、また来るね」

そう言ってミンソクさんと帰って行った

僕の部屋は2人部屋で、小学生の男の子と一緒だから

久々に会ったのにキスすら出来なかった・・・


でも久々に触れたヒョンの手のぬくもりが優しかった

僕はヒョンの笑顔を思い出してぐっすりと眠ることができた


翌朝、同室のタケルくんも自分の家に一時帰宅するようで

お母さんが迎えに来ていた

僕とギョンスヒョンとルハンとミンソクさんの4人は

病院まで迎えに来た温泉旅館のマイクロバスに乗り込んだ


「ソウルと日本じゃ車の通行が逆だから、

運転は怖くてできないんだ・・・ごめんな」

ミンソクさんはそう言うと

僕達の荷物をバスの後ろに積み込んだ

僕達の他にも

リハビリ施設の患者さんやスタッフさんなどを乗せ

マイクロバスは定時に出発した

日本って凄い・・・定時に出発・・こういう所は素晴らしいよな



「今日の宿って僕達の部屋と

ルハン達の部屋は露天風呂付なんだって」

ギョンスヒョンが昨夜ミンソクさんの部屋で

パンフレットとかを見せてもらったらしい


狭いマイクロバスの座席で

僕に密着するように隣に座っているギョンスヒョン・・・

温泉が初めての僕達は、お互いの顔をまともに見る事が出来ず

胸のドキドキが止まらなくなってしまった


実は早朝にトイレに起きた僕は、

興奮して眠れなかったルハンに廊下で捕まった

そして温泉が3度目になるルハンから

温泉や露天風呂の事など

あれやこれやレクチャーされまくったのだ

僕達の初Hを成功させるため・・とか言ってルハンは

ミンソクさんが聞いたら

真っ赤になって怒りそうないろんな事も教えてくれて、

必要になるアイテムの入った袋を渡してきた


ルハンのおかげでギョンスヒョンの顔をまともに見られない・・・

ああ・・・今も自分の顔が熱くなっている・・・

僕があれこれ考え事をして意識を飛ばしていたら

突然、頬にひんやりとした感触を感じた


「カイ? どうしたの? 風邪でもひいた?何か顔が赤いよ」

ギョンスヒョンが僕の頬に手をあてて

心配そうに僕の事を見上げている・・・


ああ・・・可愛い・・・

そのつぶらな瞳に僕だけが映し出されている・・・

そう思ったらますます顔が赤くなってきたのが

自分でも分かった


「カイは~ギョンスとお泊りだから興奮してるんだよ~」

隣の列のルハンがニヤニヤしながら僕たちを見ている


バシッ!!!!!

「カイごめんなぁ・・ルハン!!!からかうんじゃない!!!!」

窓側にいたルハンをミンソクさんが注意する


2人の様子を「お笑い芸人みたいだね」と

ギョンスヒョンが笑って

僕の手をそっと握りしめてくれた

「ルハンって・・・本当に残念なイケメンなんだね」と

僕はヒョンの手を握り返す


「おっ!!!!イケメンって認めてくれるんだ」と

ルハンが嬉しそうに笑う・・・

そのルハンの笑顔にミンソクさんもほほ笑んだ

そんな事をしているうちにバスは旅館に着いた



続く

大切なものは・・・4

[大切なものは・・・] カイside 4


日本の旅館って雑誌の写真では見たことあったけど

実際に入るのは初めてで・・・

何か昔の時代・・・そうサムライの時代に戻ったみたい

そんな雰囲気で僕達は圧倒されて言葉も出ない・・・


玄関で靴を脱いでスリッパに履き替える

その靴もちゃんと僕達の泊る部屋の番号の札をつけて

怖そうな顔をしたおじさんがしまってくれた


カウンターには英語、中国語そして韓国語の案内が貼ってあった

韓国語・・・何かほっとする・・

横のギョンスヒョンの緊張も少し和らいだように見えた

ミンソクさんからの話だと

ここは伝統のある有名な旅館だそうで

僕達を案内してくれる女性は英語が堪能だった

以前もミンソクさん達のお世話をしたようで

外国人の扱いも慣れているそうだ


ルハンは室内用の杖を用意してもらっていて

その杖をつきながら上機嫌で歩いている


「ここがギョンスとカイの部屋・・・隣が俺たちの部屋だから」

ルハンはそう言うと僕に意味深な笑顔を向けて

さっさと部屋の中に入っていく


「夕飯は6時に2階の食堂「あかつき」に来て。時間厳守だよ。

それまでは自由時間だから2人の好きなように過ごしてね」

ミンソクさんがそう言うと

ギョンスヒョンが案内してくれた女性に

「ありがとうごじゃいました」と

日本語で挨拶した


女性は嬉しそうに

「韓国語の分かるスタッフもいるので

何か困ったことがあったら

フロントに声をかけて下さいね」と英語で答える

女性の言葉をミンソクさんが

僕達に通訳してくれて2人でペコリと頭を下げた



「うわっ・・・凄い!!!!ヒョン!!!!」

「景色が素敵だね」

部屋に入るなり窓から見える景色が凄くて

僕はヒョンを連れて窓側まで走っていく

高台にある旅館から見える海はキラキラしてて

希望に満ちているような優しさで僕らを包んでいく

隣のギョンスヒョンもワクワクした様子で外を見つめている


その横顔を見て僕は

自分の胸が何かに締め付けられた様にぎゅっとした

思わず後ろからそっと抱きしめる


「ヒョン・・・大好きだよ」

僕の声にヒョンが振り向く

「カイ・・・」

ヒョンが上目遣いに僕の事を見つめる


うわっ・・・すっごく可愛い・・・

耐えられなくなって

僕の名前を告げたその唇を自分の唇でふさいだ


しばらくギョンスヒョンの唇を味わっていると

ヒョンがそっと僕の胸を押して唇が離れていく・・・

そして思いっきり可愛い笑顔で僕の事を見つめて

「夕飯前に一般の露天風呂に入りに行こう?」と囁いた


この部屋には小さな露天風呂が付いていて

外の景色を眺めながらのんびり入る事ができる

でもその前に日本の温泉が初めての僕たちは

普通にみんなで入る温泉に入りに行くことにした


日本の温泉の入り方は

ゆうべルハンにレクチャーされたので助かった

ギョンスヒョンもミンソクさんに聞いてたようで

2人で戸惑う事もなかった

入浴客もいたので

初めて見るお互いの裸に照れている暇もなく

温泉を堪能する事ができた


ヒョンの肌の色が想像以上に白くてなめらかだったのに

ちょっと体の一部が反応しそうだったけど

湯船を走り回る幼稚園児の兄弟のおかげで

なんとかごまかすことができた


「カイって・・・バレエダンサーなんだね・・

筋肉の付き方が綺麗だよ」


ギョンスヒョンが僕の裸を見て

頬を染めながら褒めてくれる



あああ・・・ヒョン・・・ダメだよ・・

ここでそんな事を言ったら・・

もう我慢できない・・・・・


僕が生唾を飲み込んで

ギョンスヒョンの事を見つめていると・・・・・



「きゃぁぁぁぁぁ」

「待て~!!!!!」

ドタドタ!!!!!!!!

僕たちの間を幼稚園児が走り去って行った


我に返った僕たちはお互いに顔を見合わせて苦笑した


「そろそろ夕食の時間になるね」

ヒョンの言葉に僕は頷く

焦る事はないんだ・・・今日という日はまだまだ続くし

明日までずっとヒョンと一緒なんだから・・・・


「今日はご馳走なんだって!!!!

和食だよ~凄く楽しみだね」


「ヒョンのごはんよりも美味しい物はないけど

ちゃんとした和食って初めてだから僕も楽しみだな~」


そう言って笑いながら

僕たちは手をつないで宿泊部屋に戻って行った




続く

大切なものは・・・5

[大切なものは・・・] カイside 5


旅館の韓国語での案内図を見ながら

僕とヒョンは食堂「あかつき」にたどり着いた

スタッフの女性が笑顔で案内してくれて個室に通されると


「おっ・・迷子にならずにたどり着けたね」と

ミンソクさんが出迎えてくれた


御馳走が並べられているテーブルに数人の人だかりがしていて

その中心にルハンの姿があった


僕達が驚いてその様子を見つめていると


「熱心なサッカーファンはルハンの事分かるんだね・・・

日本人でもルハンに気づくとサインを求めたり

一緒に写真を撮ってほしいって頼んでくるんだ・・・

そしてルハンは出来る限りのファンサービスはしている」

ミンソクさんの説明に

僕たちはルハンの知名度を嫌と言うほど感じた


3組程のファンをやり過ごすと

ルハンはご機嫌なようすで僕達にほほ笑む


夕食の並べられている6人がけのテーブルに

僕とヒョンが隣どおしに座り、

ルハンとミンソクさんは僕たちの向かい側に座った


「やっぱり・・・ルハンって凄いんだね~国民の英雄だもんね」


ギョンスヒョンの言葉に嬉しそうにルハンは笑った・・・そして


「元英雄だな・・・片足じゃサッカー出来ねぇし・・・」

そう言って膝までしかない左足を

僕達に見せるつもりで

テーブルより上まであげようとして

ミンソクさんに怒られてた

やっぱり残念な人に間違いない・・・


今義足は製作中との事だけど

事情を知らない人が

ドキリとするような脚も隠すことをしない


義足が完成すれば

義足をはめてのリハビリが始まるそうだ

ミンソクさんの希望だと

フットサルを楽しめる位まで

回復してほしいらしい


「そんな暗い顔すんなよぉ~

サッカーは出来なくなったけどさ

俺は生き返ってミンソクとラブラブできて

最高に幸せなんだ

今、人生を謳歌してんだぜ」


ルハンはそう言うと

ミンソクさんに向かってウィンクをした

ミンソクさんはニッコリとルハンに微笑み返す


あれ?

なんかいつもと違う・・・


ひっかかる違和感をヒョンに伝えようと横を見ると

ギョンスヒョンはすっかり料理人の顔になって

目の前の御馳走に感嘆の声をあげていた


「和食って・・・芸術なんですね・・・もりつけ方も綺麗」


そう言うとスマホでパチパチと写真を撮っていた


そんな料理人としての

カッコいいギョンスヒョンの顔は僕は大好きだ

違和感をすっかり忘れて

目の前の美味しい料理に舌鼓を打ってた僕は

食後の玉露を飲む時に違和感の正体に気がついた



ミンソクさんの雰囲気が違っていたんだ

カッコいいイケメンのいつもの彼ではなく

半端ない色気がダダ漏れしていて

体の内側からあふれ出る色香に妖艶さが混じっている

十分に愛された後なんだろうと推測できた


そして隣のルハンを見ると

イケメンが伸びきってだらしなく

緩み切って非常に残念な顔になっている

ミンソクさんを十分に堪能した結果の状態と推測する


僕が2人の様子にそんな事を考えていると

さすがにギョンスヒョンもこの雰囲気に気がついて

僕の脇を肘で突っつくと瞳で僕に語りかけてきた

(ヒョンは言葉数が少ないので、いつの間にかヒョンの目だけで

何を言いたいのか分かるようになってきた・・僕って凄い)


僕も小さくうなづいてヒョンの耳元に囁いた

「ルハン我慢できなくてヤっちゃったんだね」


僕達が大浴場で、健全にみんなと仲良く温泉につかっている時に

すでにこの人は自分達のプライベート露店風呂で

ヤってたって事なんだ・・・・

まあ今朝がたのヤる気満々のルハンの様子を思い出せば

部屋に入るなりミンソクさんを押し倒したって・・・・想像できる


僕とギョンスヒョンは食事を終えると

「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです」と

ルハンとミンソクさんに声をかけて

明日の朝食の時間を確認し部屋に戻ろうと席をたつ

するとルハンは横を通る僕の腕をつかんだ


(何もたもたしてんだよっ!!!!さっさと思いを遂げろよっ!!!)

耳元でそう囁くと、ルハンは僕の顔を見てニヤリと笑う



ルハンに背中を押された状態になったけど

かえって意識しすぎて、ぎくしゃくしそうだ

ヒョンが好き過ぎて大事過ぎて

どうしたらいいのか分からないのが本音・・・・


部屋に戻るとギョンスヒョンは僕の腕を強くひっぱって

畳の上に敷いてあった布団に僕の身体を投げ飛ばした


え?

ヒョン? 何か怒ってるの?

状態が把握できないまま

僕は目を見開き動けないでいると

僕の上にギョンスヒョンが馬乗りになって

僕の顔の横に手をつけて (いわゆる床ドンって奴?)

心の読み取れない真顔で僕を見下ろしている


こんな真顔のヒョン・・・初めて見た・・・


ビックリして目を見開いたままの僕の顔に

ヒョンは顔を近づけて来て僕の耳元に囁く


「いつまでもたもたしてんの・・待ちくたびれて

こっちから襲っちゃうからね」


そう言うとギョンスヒョンの方からキスをしてきた

濃厚なキス・・・いつもキスは僕からするから

ギョンスヒョンからのキスなんて・・想定外だ・・

それも舌が絡み合う様な濃厚なのって・・・

一瞬頭が真っ白になったけど

大好きな人とのキスに

僕は嬉しくて体がとろけそうな位感じていた


名残惜しそうに唇が離れると

「カイ・・・大好き・・・」

ギョンスヒョンが僕を見下ろして囁いた


(このシチュエーションのままだと・・僕がされる方?

それは嫌だ・・・僕はヒョンを愛したい)


僕にしては珍しく瞬時に状況を把握して

下からヒョンに抱きつくと

キスをしたまま体の位置を入れ替えた

「ヒョン・・・ギョンスヒョン・・大好き・・

愛している・・・ヒョンの全てが欲しい・・・いい?」

ギョンスヒョンは僕の瞳を凝視すると

静かにその瞳を閉じた


ずっとずっと憧れていたギョンスヒョンは

この時から僕だけのものになってくれた

僕たちは飽きる事なくお互いを求めあって

僕はヒョンの体を気遣う余裕も何もなかったけれど

体を重ねることで

心までひとつに溶け合って

2人の魂が交じりあって行くように感じて最高だった

僕たちの初めての夜は長くもあり短くもあったけど

ただただヒョンの事が愛おしくて

胸の奥が締め付けられるようだった

そして不思議な事に

僕の涙腺が壊れてしまったようで

涙が流れていつまでも止まらなかったんだ




続く

プロフィール

宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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