偶然による必然的な出会い 15

[偶然による必然的な出会い] 15




「うひゃゃゃ~!!!!子猫ちゃん達必死で逃げてるぜ」


「見たところ雄っぽいけど美味しそうだよな」


「逃げているって事は仲間がいるんだろう?」


「あんなひょろひょろ俺たちの敵じゃないさ」


「あれだけの美形だったら雄相手でも勃つねぇ~」


「ヤリまくって本当にあのお肉まで食べちゃう?」


「久々にヤリまくって旨い肉くって宇宙船を奪って出航だ」



タオとセフンのバイクの後ろから

フォバーバイクが3台追ってきている

それぞれに2人ずつ乗っているので重量オーバーで

なかなかスピードが出ない

しかしセフン達は普通のバイクだったので道に轍が残ってしまい

侵入者6人は焦る事なくその轍を伝って追跡していた


侵入者は大男で全員その左腕に入れ墨が入っている

そこまではクリス達に似てはいたが

彼らは爬虫類を思わせるような不気味な顔をしていた

髪の色も赤かったり緑だったり色とりどりだ


「船が故障した時はどうなるかと思ったけど・・・

俺たちすっげーラッキーだったなぁ~」


赤い髪の毛の蛙に似た男が嬉しそうに言うと

「ちょうど溜まってたとこにあの子猫ちゃん発見だもんな

俺もう我慢できない~はやく追いつけよ」


「バカ!!!!重量オーバーでスピードが出ないんだ!!!

焦らなくても地面のタイヤ痕を追って行けばすぐに着く」


リーダー格の男が騒ぐ仲間をおとなしくさせた

侵入者は海賊の一味だった

あちこちの宙を飛び回って

傍若無人な振る舞いで略奪を繰り返していた

今回はたまたまソリップに不時着したのだった


男たちは不気味な笑いを浮かべながら

バイクのタイヤ痕をゆっくりと追っていく・・・・・








「俺たちは武器はいらない」

宿舎の前で出してきた武器を並べているとクリスが言った


「大丈夫なのか? 拳銃がいらないならナイフは?」

シウミンが心配そうに言うと


「じゃあジャックナイフをちょうだい・・・俺はこれでいい」

ルハンはナイフを取り上げた


「僕も・・・使い慣れてないから・・どうしようかな・・・」

レイが武器を選びながら呟いた


「俺はさっき畑で見つけたこれでいい」

クリスは鉄パイプを手にしている


シウミンは拳銃を手にし

安全装置を確認して尻ポケットに差し込んだ

チェンは自分で開発した武器があるようで

奇妙な箱を確認している

残った武器は他のメンバーに渡された



「たいちょー!!!!!」

丁度そこにタオとセフンのバイクが飛び込んできた
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偶然による必然的な出会い 16

[偶然による必然的な出会い] 16



「敵は6人!!!フォバーバイク3台で追いかけてくる」

タオの報告にルハンが渋い顔をして答えた

「重量オーバーだな・・奴らタイヤ痕を追ってくるな・・・

もう夜だからだいぶ見づらくなってるはずだ・・・宿舎の電気を落とせ」


ギョンスがうなずくと玄関先に走って行って灯りを消した

急に辺りが真っ暗になる

シウミンがそばにあった柵を足で壊してライターで火をつけた

たき火のようにそこだけ小さな灯りがともる・・・





「バイクの灯りが暗くて轍が見ずらいな・・・」


「多分まっすぐいった所に奴らのアジトがあるんじゃねぇ?」


侵入者たちのバイクのヘッドライトだけが道を照らしている


「おっ・・あそこに小さな灯りがあるぞ・・」


赤い頭が嬉しそうに叫ぶとリーダー格の男が舌打ちをした


「バカっ!!!あれはどうみても罠だぞ・・・」


「罠ってわかってても行くじゃん~」


「ひゃひゃひゃっ俺たちに敵なし~」


侵入者たちは今まで自分達の好き勝手にやってきた

侵略もやり放題だった・・・・

だから今度も好き放題できる・・・

ここでもそうだとこの時点までは思っていた・・・・


「おーい!!!!隠れてないで出ておいで~」


「ひゃひゃひゃっ」


「可愛がってあげるから~どこにいるのかなぁ?」


バイクから降りた侵入者たちは、まるで挑発するかのように

無防備な体裁でたき火の近くに寄ってきた








「バカが六匹・・・自分達に自信あるみたいだな」

暗闇の中ルハンが小さく吐き捨てるように言うと


「俺があの青毛をやる・・俺たちは最低2人ノルマだな」

クリスがそう言って真っ暗な中静かに移動していく



「セフナ・・・セフナは僕が守るから・・安全な所にいてね」

「タ・・タ・・」

「うんタオは大丈夫だよ・・・小さいときから戦闘訓練は受けてきたから」

タオはそう言うとセフンを安心させるために

優しく体を抱きしめ、闇の中に紛れて行く




「シウミニヒョン・・奴ら来ましたよ・・・」

ギョンスが小さくささやくと


「ルハン達が任せろと言ってるから・・

俺たちは邪魔にならないようにしてよう」とシウミンが答えた


その後ろではカイ、チャニョル、ベッキョンの三人が

抱き合うようにくっ付いている

チェンはセフンの手を握っていた


「その方がありがたいな・・僕たち暗闇でも目が見えるから

あの人たちに見つからないように隠れててね」

レイがえくぼの目立つ笑顔を残して闇に消えていく


シウミンはいつでも対応できるように

拳銃の安全装置を外して意識を侵入者たちにむけた








「こうも暗いと歩きにくいな・・・灯りはないのか?」


「あっちに建物あるみたいだな・・建物に火でもつけるか~?」


「うひゃひゃひゃ~それいいねぇ~楽しいねぇ~」


ボスッ!!!!!

嫌な音が急に響いて侵入者たちが歩みを止めた


うっ!!!!


「どうしたっ??? お前らみんないるのか?」

赤い髪の男が急に不安になって後ろを振り向くと

天使のような美しい男が笑顔で立っている


「うわっ!!!!お前だれだっ!!!!」


「お前に俺の名前を教えるほどじゃないね」

ニッコリとほほ笑んでルハンは男の頸動脈をナイフで切り裂いた


バシュ!!!!

赤い髪の男は血しぶきをあげながら無言で倒れていく



「うわっ!!!みんな大丈夫か?」

侵入者の1人が

暗闇の中で仲間が倒されていく様子に恐怖を覚え

事もあろうか自分達のバイクにライターで火をつけた


バイクがものすごい勢いで燃えていく

それに伴い周囲が炎で明るく照らされる


「うわっ!!!!なんだっ」


緑の頭の男が驚愕の叫びをあげた

彼の眼に映ったのは・・・・

返り血を浴びてほほ笑むルハン

血まみれの鉄パイプを担いだクリス

首をあらぬ方向に曲がった死体を踏んづけているタオの姿だった

ルハンとクリスの足元には、ぼろ雑巾のような仲間の姿があった



「ひっ!!!!お前ら・・・悪魔だ!!!!」


恐怖の慄き緑頭の男が逃げ出そうとすると

パンっ!!!!!  何かが体に巻き付いた


「逃げられると思ってる? フフフフ・・・」

レイが楽しそうに言う

「うわあああああ」

その男の体にはレイの操るムチが巻き付いていた





「うわっ・・・・」ベッキョンが思わず声をあげる

バイクの燃え盛る炎のせいで

ひっそりと隠れていたシウミンたちにもその様子が良く見えた


クリスにルハン、タオ・・・あの暗闇の中で瞬時に相手を倒している

そしてレイのムチさばきは華麗という表現がぴったりだ

シウミンは彼らの戦闘能力の凄さを目の当たりにして思わず息をのんだ

偶然による必然的な出会い 17

[偶然による必然的な出会い] 17


こいつら・・・眉ひとつ動かさずに人殺せるんだ・・・・

やはり侵略しながら勢力を拡大する惑星の戦闘員なんだ・・・


ベッキョンはルハン達の戦いぶりを見ながら

かねてから思っていた考えをまとめてみる


このソリップもあいつらに乗っ取られるのか?

もしかして戦っている相手も同じ星のやつらなのか?






クリスは逃げまわっていた1人を捕まえると

その頭を鉄パイプで殴り付けた


グシャ


いやな音と共に男はその場に崩れ落ちる



レイの操る鞭で体を拘束されていた男にルハンが近づく


うっすらと笑みを浮かべながら左手でその顎を掴み


男の顔を上にむかせる


もう片方の手に握っていたナイフでその首元を切ろうとした瞬間



「ルハン!!!止めろっ!!!!殺すんじゃない!!!」シウミンの叫び声が響いた



!!!!!!


シウミンの声と認識したルハンの動きが瞬時とまった


「うわぁぁぁぁぁぁぁっ」


そのほんの一瞬の間にルハンの死角に潜んでいた

リーダー格の男がルハンに飛びついた



ルハンを後ろから羽交い絞めにしてる

ルハンの首はその男の右腕で締め付けられていた


「バカ野郎!!!!油断すんじゃない!!!!」クリスが怒鳴る


ルハンを羽交い絞めにしている侵入者は

ルハンの二倍もあろうかと言う屈強な体格の男だった



その状況を目の当たりにしたシウミンは

自分の叫び声によって危機に陥ったルハンの姿を見て立ち尽くしていた



レイがムチで拘束していた輩はタオの回し蹴りで首が折れて即死状態になり

侵入者は残りひとりとなった・・・そのひとりが今ルハンを拘束している


「俺を殺すなら、こいつも連れていくからな」

ルハンの首に回した腕をギュっとしめつける

ルハンは苦しそうに顔をゆがめていた


自分のしでかした事でルハンが危機に陥っている

シウミンは判断ミスをした自分を悔いて下唇を噛みしめた


「ルハン・・・絶対に助けてやるからな・・・」


口の中に鉄の味が広がっていく・・・唇から血が滲んできたようだ


しばらく硬直状態が続いたその時

グサッ!!!!


男の脛に何か光るものが刺さった


その瞬間男がルハンの首に回していた手をゆるめ

苦痛に満ちた顔で自分の脛に刺さったものを抜こうと体をねじる


いまだ・・


シウミンは冷静に相手に狙いを定めると

その頭を拳銃で打ち抜いた・・・・・

偶然による必然的な出会い 18


[偶然による必然的な出会い] 18



「終わったな・・・・」

クリスがぼそりと呟くと

ルハンの足元に転がった死体を蹴った


ゴホッゴホッ・・・・

締め付けられていた喉が急に解放されたので

ルハンはしばらく咳こんでいた


「タオ? 6人で正解?」

レイが転がっている死体を数えながらタオに聞く


「うん・・タオが感じた殺気は6人分だったよ」

カイが宿舎の玄関の灯りをつけたので周囲は少し明るくなる


「しうちゃん・・・・」

ルハンがシウミンの元に走っていく

シウミンは初めて人を殺してしまった衝動から

拳銃を握りしめた手をほどくことが出来ないでいた


「だ・・・大丈夫だ・・・」


「大丈夫じゃないでしょう・・・ほら手をかして」


ルハンがシウミンの手に自分の手を重ねて

拳銃を握りしめたまま固まった指をひとつずつ解していく


「しうちゃん・・・ありがとう・・・俺を助けるために・・」


「俺こそ悪かった・・・ここは宇宙だ・・俺たちの地球の常識は通用しない

そんな事を忘れてた・・お前が人を殺す姿を見たくなかったんだ・・・」


「うん・・・分かってる・・・でもああいう奴等の命を助けても

結局俺たちが殺られるだけなんだよ・・・」


ルハンが優しくほほ笑みシウミンを抱きしめ

シウミンは黙ったままルハンの胸に顔をうずめる

ルハンは愛おしそうにシウミンの髪をそっとなでた

初めて見せるシウミンの弱気の姿を周囲から隠すように

ルハンは体全体で包み込むように抱きしめた




「あれ? これって包丁だよね~名前が付いてるよ・・・」


レイが死体の脚から抜いたのはナイフではなく包丁だった


「ギョンスヒョン~!!!!!俺が誕生日にあげた名入包丁じゃないですか!!!!」


レイの手元を見てカイが大声をだした



「うん・・すっごく使いやすくて、僕の手になじんでるよ・・・・

だから敵にジャストミートしたでしょう」


ギョンスがレイから包丁を受け取ると楽しそうに笑った


くるくるっと包丁を手元で回すギョンスを見て

(ギョンスヒョンが料理中は絶対に怒らせないようにしよう・・・)

カイは心に固く誓う



クリスが黙々と侵入者の遺体を運んでいた

宿舎の脇にタオとセフンが穴を掘って

チャニョルが掘った土を一輪車で運ぶ・・・・


その様子をベッキョンが何か言いたそうにして見ていた


ドスッドスッ


2人の掘った穴にクリスが遺体を投げ入れてた


「これでラスト・・・」


「あのさ・・・ちょっと聞きたいんだけど」

ベッキョンが言いづらそうに口を開いた


「なんだ?」

クリスがベッキョンに顔を向けると


「こいつらって・・・クリス達の仲間じゃないの?」


「何でそう思うんだ?」

クリスは表情を変えずに答える


「だって・・・その左腕の入れ墨が同じじゃん・・・」

クリスが黙ったままベッキョンを見つめていると


「違う!!!!!こいつらとタオ達は違う!!!!!」

側にいたタオが突然叫びだした


「何がどう違うんだよっ!!!!!」


「タオ・・・自分の星で処刑されるところだったの・・

たいちょー達のおかげで追放ですんだんだ」


タオの瞳から涙があふれてくる


「タオ達の星も悪いことたくさんやってるけど・・・

こいつらとは違う・・・まだソリップの存在はしらないはずだよ」


「タ・・タ・・・オ・・・」

セフンがタオを慰めるように涙を手の甲で拭った



「そいつらとルハン達は違う星から来ている・・・・」

いつの間にかシウミンがルハンと一緒にクリスの横に来ていた


「シウミン・・なんで違うって分かるんだよ!!!!」


「左腕の入れ墨は多分ルハン達の星の真似だろう・・・

行動を見てもただの盗賊とかそんな類だろうな・・・

ルハン達の動きは無駄がなかった・・・あいつらはバラバラだった」


あんな状況下でも冷静に分析をしていたシウミンにベッキョンは驚く


「一番の違いは・・・顔だな」


「顔っ???????」ベッキョンが素っ頓狂な声をだした


「顔って・・・」


「冗談で言ってるわけじゃない・・・

ルハン達の星では政府が人口管理をしている・・・

住民は精子と卵子を定期的に提供して

政府が子供たちを創り上げているそうだ。」


「遺伝子組み換え・・って事ですか?」

黙って聞いていたチェンがレイやクリスの顔をみて呟く

そして、はっとした顔でシウミンを見つめた

「だから・・・みんな超美形なんだ・・・・

でも侵入者たちは・・・ブサイクな顔だった・・・」


「人間って美形に弱いもんな・・・」

チャニョルの一言にシウミンは頷く


「ルハン達の星は侵略して領土を増やしている

顔も戦略の一つになるんだ」


「しうちゃん・・・俺たちの事・・知ってるの?」


「昔噂で聞いたことがある・・・美男美女でみんな腕に入れ墨をしている

侵略しながら植民地を増やしている惑星があることを・・・・」


シウミンの言葉にクリス達は黙って次の言葉を待った

偶然による必然的な出会い 19

[偶然による必然的な出会い] 19



「さっきタオが言ってたけど・・・

お前達って自分達の惑星から追放されたのか?」

シウミンの問いかけにクリス達は一瞬言葉が出なかった


「そうだよ・・・タオは失敗して処分される所だったんだ・・

クリスとルハンが庇って、偵察という名前の追放処分になったんだよ」

レイがニコニコしながら口を開いた


「え? レイさんは・・? なんで一緒に?」

チェンが不思議そうに聞いてくる


「僕? 僕はねぇ~侵略するのが嫌になってたから

追放されるクリス達と一緒にしてもらったの・・・」


はぁ?

チェンはレイの思考が分からずに首をかしげる



「だから・・・俺たちは、もうあの星とは関係ない・・・」


「いや・・・まだ俺たちは繋がってる・・・」


クリスの言葉を遮る様にルハンが言い放った

そして腰のポケットに入れてあったナイフを取り出すと

自分の左腕の入れ墨の所に突き刺す・・・



「ルハン!!!!何すんだっ!!!!やめろっ!!!!」


シウミンの制止を振り切ってルハンは自分の腕をナイフでえぐり始める


「うううっ・・・」


苦痛で顔をゆがめながら光るものを腕から取り出した


チャリン・・・


「それは・・・」

ルハンの肉片にまみれた光るものは小さな金属片だった


「こいつは・・・生命認証チップ・・・

俺たちは生まれた時にこいつを埋め込まれるんだ」


ルハンは血が流れ出る左腕を抑えながら言った


「俺たちが生きている間は

そのチップから微弱ながら信号が発せられてるんだ」


シウミンはポケットからハンカチを取り出すと

ルハンの左腕にきつく巻いて止血をする

ルハンはシウミンに小さく「ありがとう」と言うと話を続ける


「惑星政府はその信号をたどって

俺たちの所在を管理している・・・・・

追放された俺たちの事なんか放置しているだろうけど・・

このチップから信号が発せられている限り

ヤチェは俺たちの居場所を突き止めることが出来るんだ」


「そんな・・・タオ知らなかった・・・」


ルハン以外はその事を知らなかったようで

3人とも驚愕の表情を隠せないでいた



「分かった・・・分かったからその傷を縫った方がいい・・・

チェン、ギョンス・・悪いけどルハンの腕を縫ってくれないか?」


シウミンが2人に向かって言うとルハンがそれを遮る


「大丈夫だよ・・このまま血が止まれば傷は勝手に塞がる」


「だめだ・・・縫った方が完治が早い・・・チェン頼む」


「分かりました・・・宿舎で処置します・・来てください」

ルハンを連れてチェンが宿舎に戻ると他のメンバーもそれに続いた



遺体を入れた穴の前に残ったのは

シウミンとベッキョンの2人だけになった


「シウミンは知ってたんだ・・・」


「ベッキョン・・・お前も気づいてたのか?」


「スホに調べてもらったけど・・・いらなかったな」


ベッキョンはスホ調べた資料が入った

ホロスコープ型ファイルを遺体の穴に投げ込んだ


「どうするんだ?  どんな風に上に報告するんだ?」


ベッキョンの言葉を聞いてシウミンは眉間に皺を寄せる


「ここでの長はシウミンだからな・・・

俺はお前が決めたことには反対はしない」


シウミンがいつまでも返事をしないので

ベッキョンは小さくため息をつくと

宿舎に向かって歩いて行った・・・・



シウミンは遺体に灯油をまくと火をつける

燃え上がる火を黙ったまま見つめていた・・・・・

偶然による必然的な出会い 20

[偶然による必然的な出会い] 20



「あーあ・・あんな無茶するから・・・傷口がきれいになりませんよ」

ルハンの腕を縫い終わってチェンが包帯を巻きながら言う


「それにしてもチップで管理されていたとは・・・知らなかった」

クリスが自分の左腕にある入れ墨を触りながら呟く


「チェン~次は僕の腕からチップとってね~」

レイがそう言うと

左腕に局部麻酔の注射を打とうとして四苦八苦している


「レイさん・・・あぶないですよ・・ちゃんと僕がやりますから

待っててください」



「セフナ~タオ痛くないよ!!!!タオ頑張るよ」

簡易ベットに寝かされてギョンスに腕をメスで切られながら

タオはセフンに笑顔をおくる


「タ・・タオ・・ダイジョウブ?」

「うん!!!セフナを守るためなら何でもするっ!!!」

「タオ・・・・ありがとう・・・・」


え!!!!!!


その場にいたみんなが驚いてセフンの方を見た

「セフン・・・しゃべってる!!!!!」





燃え上がる炎を見つめながらシウミンは悩んでいた

ソリップは地球連合政府の管轄になっている

ルハン達の漂流は黙っていても何とかなったが

今回の事は報告せずにはいられないだろう

ソリップのセキュリティも強化しないといけないし・・・

となると・・・ルハン達4人の事も説明しないといけない・・・



「しうちゃん・・・」

ルハンの声がしたのでシウミンは振り返った

右腕に包帯をしたルハンが笑顔で立っている


「縫ってもらったか? 傷口気を付けないと化膿するからな」


「うん・・・」


ルハンはしばらくシウミンの横で黙って炎を見つけていたが

意を決したように口を開いた


「しうちゃん・・・俺たちに船をひとつちょうだい」


「え?」


ルハンの言っている意味が分からずにシウミンは聞き返した


「これ以上ここにいると悪いから俺たち出ていく・・・

だから船をひとつめぐんでくれる?」


「お前達・・ここを出て行っても行くところなんてないだろう?」


「そんなのは何とかなる・・・ここにいるとしうちゃん達に迷惑かける」


「・・・・」


「この星は地球の管轄なんだろう?

俺たちがいたら困るのはしうちゃん達だよね」


「迷惑じゃない・・・今回の事は俺たちのセキュリティの甘さから来たものだ

ルハン達がいたおかげで助けてもらったようなものだ・・・」


「今までありがとう・・・楽しかったよ」

ルハンは泣きそうな顔を無理やり笑顔にしてシウミンを見つめた

偶然による必然的な出会い 21

[偶然による必然的な出会い] 21



~ルハンの想い~


初めて見た時には、俺の女神様が現れたかと思った

ずっと恋焦がれていた女神様が

実体を伴って俺に声をかけてくれている・・・・

でもそれは違って女神様そっくりな男性だった


元々ポジティブな俺は相手が男性だろうが

好みのタイプである事に違いはないので

なんとか自分のものにしようと画策した

しかし今までの俺のやり方をもってしても

シウミンは靡いてくれなかった・・・・


毎日側にいるとシウミンという人間が分かってくる

弱いものには優しく

責任感が強く

童顔なのに中身はかなりの男前


ますます魅かれていく自分の気持ちを抑えながら

まずは友人としての地位を手に入れようと頑張った


一緒に過ごしていく中で

徐々にシウミンが自分にこころを開いてくれている事を感じ

小さな喜びとなっていった


ソリップではシウミンはチーム長として全ての責任を担っている

心休まる暇がないくらい雑務が彼を追いかける

そんなシウミンの大変さを支えたいと思い始めていた


当初の自分のものしたい・・・そんな邪な考えはなくなり

今では彼の事を支えたい・・・そんな風に感じるようになった


理由は分からないが

シウミンは地球連合政府には俺たちの事を報告していない

しかし今回の侵入者によってセキュリティの改善が必要となり

連合政府には報告をしなければならないだろう


俺たちの事はどう報告するのか・・・

悪名高いヤチェ星人だとバレてしまった今・・・・


俺はどうやら本気でシウミンの事が好きになっていたようだ

好きな人の困った姿を見たくない

だったら・・・俺たちがこの星からいなくなれば・・・

俺たちが来る前の日常がソリップには戻ってくるはずだ・・・



俺は離れたくない気持ちを無理やり心の奥底にねじ込んで

シウミンに星から離れるために宇宙船が欲しいと言い出した

偶然による必然的な出会い 22

[偶然による必然的な出会い] 22



「セーフーン!!!!!!もう一回話してみて~」

チェンが興奮して隣にいたレイに抱きついて叫ぶ


セフンは、自分が普通に会話をしたことに気づかずにキョトンとしていた


「セフナは今ね・・普通に話をしたんだよ」

ギョンスが涙目でセフンの手を握って優しく話しかけた


セフンはやっと自分が話せたことに気づき目を数回パチパチとさせた


「セフナ・・・セフナの声・・タオに聞かせて?」

タオが笑顔でセフンに頼む


「ぼ・・僕・・話せてる? 声が・・・出てる?」


「うん・・うん・・・セフナの声・・綺麗だね・・タオ好きだよ」

「うわ~い!!!!セフンが話せるようになった~!!!!」

チェンはレイに抱きついたまま声を出して泣いている

処置室が喜びにあふれている所にベッキョンが戻ってきた


「何があったんだ? みんな大騒ぎで・・・」

「セフンが!!!!セフンが話せるようになったんです!!!」

チェンの返事にベッキョンが驚いてセフンの方を向いた


「声・・出るように・・・なりました」


セフンの嬉しそうな顔にベッキョンも思わず笑顔になったが

急に顔をしかめてギョンスに向かって叫んだ

「ギョンス!!!!何してるんだ!!!!

タオの傷・・・まだ縫い途中だぞ!!!!」




ベッキョンも手伝って

タオ、レイ、クリスの腕から生命認証チップが無事に取り外された

カイとチャニョルに包帯を巻いてもらいながら

クリスがボソッと呟く・・・


「俺たち・・・やはり出て行った方がいいのかもな・・・

あまりにも居心地が良くて・・世話になりすぎたな・・」


「出ていくにしたって・・・宇宙船がないとだめじゃないですか?」

チェンの言葉にクリスは黙ってしまう


「タオは・・・タオはやだ・・・セフナのそばがいい・・・

もう戦いの生活したくない・・毎日やぎさんのお世話でいい」

泣きそうなタオの手をセフンがギュッと握る


「でもさ・・・ここは連合政府の統治下なんでしょ?

何かあったら報告しないと・・・

ここの責任者のシウミンが大変な事になるんでしょ?」

レイが冷静な声で淡々と話す


「僕は・・・・みなさんがいてくれて良かったと思ってます

侵略者からここを守ってくれたじゃないですか?」

チェンが一生懸命に話をする


「あれ? ルハンさんは?」

チャニョルがキョロキョロしながら言うと

クリスが苦笑しながら答える

「多分・・・シウミンの所に行ったんだと思う・・・

あいつも・・潮時だと思ってるから・・

ここを離れると言いに行ったんじゃないか・・」


「ダメです・・シウミニヒョンを一人にしないでください・・・

ルハンさんが来てからシウミニヒョン変わりました・・・

心に傷を負っていたのに僕たちのために頑張って

1人で気負っている所があったんです・・

でもルハンさんのおかげで

ヒョンの笑顔が見られるようになりました

あんな楽しそうなヒョン・・地球にいる時も見たことなかった・・」


ギョンスが言葉に詰まりながらも話を続ける

「でも・・・僕たちがここで言っても決めるのはあの2人なんですよね・・」




「あーっ馬鹿みてぇ!!!!!!

こんなへき地の忘れ去られた星の事なんて

連合政府なんて覚えてねぇよ!!!!

俺なんて島流し状態でここに送られてきたんだぜ」


ベッキョンが突然大声で叫んだ


「お前らみんな真面目すぎるんだよっ!!!!!

毎日定期報告してるかもしれねーけどスホ止まりだろう?

スホからの報告なんて、あっちでは誰も見てねーし!!!!」


ぷっ・・・くくくっ・・

カイが突然笑い出した


「確かにみんな真面目すぎてます・・ソリップの存在なんて

地球ではほとんどの人が知らないんじゃないですか?」

「ほとんど自給自足状態だし・・

経費だって野菜の売り上げから賄ってるし

俺たちのヒボム便の経費だって政府から貰ってないし・・・

もう独立国と変わらないんじゃないですか?」

チャニョルがカイの言葉にうなずきながら補足した


「独立国?」

チェンが何かを思い出そうと眉間に皺をよせる


「あっ思い出した!!!!! 僕たちがここに来ることに決まったときに

ユノ指令とチャンミン補佐官から言われたことがあったんだ」


「何? それ?」

皆が一斉にチェンを見つめた

偶然による必然的な出会い 23

[偶然による必然的な出会い] 23




「聞こえなかった?

俺たち出ていくから宇宙船を頂戴って言ったんだよ」

自分の顔を見つめたまま黙っているシウミンに、ルハンはもう一度言う


「やだ」

え?

小さな子供が駄々を捏ねるような返事を聞いたので

ルハンは一瞬聞き間違えかと思ってシウミンの顔を凝視した

シウミンは怒ったような顔をして眉間に皺をよせている

小さい子供みたいに頬がぷうっと膨らんだ感じで

不謹慎にもルハンは可愛いと思ってしまった



「お前ら行くところないのに・・・

それに今回の事はお前達がいたから俺たち助かったんだぞ

次にまた攻撃されたら俺たちどうすればいいんだ?」


あ・・・


「お前達がこんな田舎な惑星で農業やるのが嫌になった・・・

と言うなら止めない・・・だけど違うだろう?」



「俺たちに悪い・・だから出ていく・・そんなの認めないよ

セフンは・・タオのおかげで回復の兆しが見えてきた

チェンだってレイさんのおかげで

発明品にもより工夫が見られるようになった

ギョンスとベッキョンはクリスを相手にいつも楽しそうだ

お前達と生活していくにつれて

俺たちは変わって行った・・・そして多分お前達にも変化はあったはずだ・・」


「しうちゃん・・・」


ルハンは座っているシウミンの正面に回ってその顔を見つめる


シウミンはニコッと笑うと「俺もさ・・俺も変わった・・」と言った


「しうちゃん・・・」


「俺は今まで仕事と仲間のために自分の事は二の次にしていた・・・

地球で陥れられて人間不信にもなった・・・・

この星に来て、チェンやギョンス、セフン達の事を

守らなければならないって気負っていたのも事実だ・・・」


「ソリップの責任者として・・・みんな俺を頼る・・頼られるのは嫌じゃない

だけど・・・疲れる事もある・・・そんな時ルハン・・お前と出会ったんだ」


「うん・・・」

ルハンはシウミンの横に座った

シウミンはルハンの方を向かずに話を続ける


「最初は侵略者の一味かと思って警戒してた・・・だけど・・

お前があまりにも間抜けで・・一緒にいて驚いて・・

心配で・・・でも一緒にいるとすごくリラックスできる・・って言うのかな」


ここまで言うとルハンの方をちらっと見て、恥ずかしそうに視線をそらした


「それに毎日あんな顔して見つめられたら嫌でも意識しちゃうし・・」

シウミンの言わんとする事がルハンに分かって嬉しそうにほほ笑んだ


「俺たち・・・ここに居ていいの?」

「ああ・・・居てほしい・・・ルハン・・・俺のためにも・・・」

「しうちゃん・・・」

「お前といると・・素の自分に戻れる・・・

お前がいると俺は気負わなくていい・・・」


「うん・・・・」


ルハンはシウミンを後ろから優しく抱きしめる


「俺は・・・ルハン・・どうやらお前の事が好きみたいだ・・・」

「うん・・・俺・・しうちゃんが好き・・初めて会ったときから」

「ああ・・・だから・・これからもこの星で一緒にいてほしい・・」


シウミンはルハンの腕の中で向きを替えて

ルハンの顔を見つめながら言った


2人の唇は吸い寄せられるように重なった

最初は優しく・・それから深く口づけは繰り返される

ルハンの瞳から涙が流れてシウミンの頬にそれが落ちていく


名残惜しそうに唇が離れるとシウミンはルハンの胸に顔をうずめた

ドクン・・ドクン・・・

ルハンの心臓の音が聞こえる・・・その音を聞きながらシウミンは思う

俺たち・・・生きているんだ・・



「しうちゃん・・これからも俺に甘えて・・

俺はいつでもしうちゃんを守るから」


「ああ・・・ルハン・・ずっと一緒にいてくれ・・」

「うん・・もう俺たち・・ずっと一緒だよ・・ここで生きていこうね」


シウミンがルハンの胸から顔をあげて嬉しそうにほほ笑んだ

ルハンの胸は愛おしさでキュンと疼く


2人はお互いの唇を重ね合わせると

恋人同士の深い口づけをいつまでも交わしていた

偶然による必然的な出会い 24

[偶然による必然的な出会い] 24


チェンの話によると

ユノ指令とチャンミン補佐官の好意で

「宇宙開拓チーム」として惑星ソリップに赴任が決まったとき

チェンがひっそりと呼び出されて2人から封筒を渡された


「もし・・私たちに何かあったり、

シウミンが地球連合政府に無理を言われた時

ここにあるこの書類を思い出して開封してみてほしい」


「なんで僕に・・チーム長はシウミニヒョンです・・・

彼に言えばいいのに」


「シウミンは真面目過ぎるところがある。だから心配なんだ・・

それにこれは保険みたいなものだから・・・」


「何かあったときに開封すればいいんですね」


「そう・・・チェンよろしくな・・シウミンを支えてくれ」




その話を聞いたみんなは、今こそその書類を開けるべきだと感じた


「チェン~その書類ってどこにあるの?」


「チーム長の部屋にある金庫の中です」



みんなでゾロゾロと指令室に移動すると

外から戻ってきたルハンとシウミンに出会う

「お前らどうした?」

シウミンが驚いて尋ねると

「シウミニヒョンも一緒に来てください」とギョンス

不思議そうな顔をして2人はみんなの後に付いていった







「うそ・・・」


「え? まじ?」


「・・・・・・・」


想定外の書類にみんなは驚きを隠せないでいた


チェンが渡されていた書類は

惑星ソリップの「独立証明書」だったのだ

地球連合政府の統治下に置かれていると思っていたソリップが

実は独立惑星で、自治政権がシウミンに託されているという内容だった



書類と一緒にあったユノ指令の手紙によると

最初から独立国だと知っているとシウミンの精神的負担が増えるから

黙ったまま赴任させたとのこと


もし自分達が失脚して連合政府から無理難題を押し付けられた時のために

正式な独立証明書を発行した・・・と書かれていた


「ユノ指令・・・チャンミン補佐官・・俺たちのために・・・」

シウミンが感激して思わず涙ぐむ

ルハンがシウミンの肩をそっと抱きしめて

「しうちゃん・・・」と優しく囁いた




「独立!!!!自治政権!!!!ってことは?

クリス達の事報告しなくていいじゃん」

ベッキョンが叫ぶと周囲のみんながハッとして顔を見合わせた


「タオたち・・ずっとここにいてもいいの?」


「タオ・・僕とずっとヤギの世話するんだよ」


「セフナ・・・タオ嬉しい!!!!」

タオがセフンに抱きついて泣き出した


その様子を見ていたシウミンは思わずほほえんだ

そして真面目な顔をするとクリス達の方を向いて口を開く

「ソリップの責任者としてクリス達に話があります」


「ああ・・何だ?」


「この星の警備担当として留まってほしい」


「警備担当?」


「今回の侵入者からソリップを守ってくれたように

これからも一緒にこの星に留まってほしいんだ

セキュリティの強化はこれからの課題だ。改良していく・・

それ以外にもクリス達の力が必要なんだ・・・お願いします」

そう言うと頭を下げるシウミン・・


クリスは戦うことしかできない自分達が

必要とされている事が嬉しかった


「俺たちで良ければ・・・お願いしたい」とクリスも頭をさげる


「しうちゃん・・・俺たちずっと一緒だからね」

ルハンはそう言うとシウミンを思いっきり抱きしめる


「実は独立国だったソリップの

独立記念として今日はお祝いしましょう」

ギョンスが嬉しそうに言うと周囲から歓声があがる

それから数時間後 宴会はいつまでもいつまでも賑やかに続いていた
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るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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