想う ~中編~

[想う]  ~ 中編~ 

ユナside


5歳年上のお兄ちゃんは、小さい頃からけんか相手だった

5歳違いだとそんな事はない・・・と皆言うけど

実年齢よりも、頭の中がお子ちゃまなお兄ちゃんは

高校生になるまで、小学生の私と対等におやつの取り合いをしていたのだ


ルックスもサッカーの能力も抜群だったお兄ちゃんは

高校生活はサッカー漬けの日々になって

あまり私の相手をしてくれなくなった


そんな時にお兄ちゃんに一番の親友が出来て

時々遊びに連れて来るようになった


そのミンソクオッパは、女の自分から見ても可愛らしい人で

白い肌に大きな猫のような瞳にぷっくりとした唇を持っていた

そしていろいろな知識を持っていて話すと面白い人だった

いつもお兄ちゃんと大声で笑いながら話をしている

ミンソクオッパは事情があって家族と離れて暮らしているらしく

遊びに来ると私の事をすごく可愛がってくれた・・・それは今でも変わらない


大学受験の前あたりでは

サッカーバカだったルハンお兄ちゃんのために

毎週勉強を教えに来てくれていた

私はもう一人お兄ちゃんが出来たようで

ミンソクオッパの事が大好きだった



でも私よりもお兄ちゃんの方がオッパの事を好いていた

あれは「友達」の枠からはみ出ている好意だと

中学生の私が分かるくらい・・・

好意よりも執着しているように見えた・・・



高校を卒業するとお兄ちゃんは大学でサッカー部の寮に入ってしまい

ミンソクオッパも違う大学で勉強に忙しくなり

家に遊びに来ることはなくなった


そしてお兄ちゃんはプロの選手になってますます忙しくなり

ミンソクオッパも大学院に進んで

勉強漬けの日々を送っているようだった


今日私の20歳の誕生日

久しぶりに家にお兄ちゃんとミンソクオッパが来てくれて

私の成人のお祝いをしてくれるそうだ・・・・・・・・








「ただいま~」

ルハンの声にリビングにいた両親が

嬉しそうに玄関まで迎えに行った


「おお・・・久しぶりだな・・・試合はテレビで見てるけど」

「あなた・・少し痩せたんじゃないの? ちゃんと食べてるの?」

「玄関先で質問攻撃? 家に上がらせてよ~ミンソクも連れた来たよ」

ルハンが苦笑しながら両親をかき分けて

ミンソクを玄関に上がらせる



「お久しぶりです・・・ご無沙汰しっぱなしですみませんでした」

リビングに通されると、ミンソクがルハンの両親に丁寧にあいさつをする

「元気そうね~あれから6年・・・あの時は本当にルハンがお世話になりました」

母親が懐かしそうにほほ笑むと、今日の主役がリビングに入ってきた


「ユナちゃん・・・成人おめでとう・・・

少しばかりだけどお祝い持ってきたよ」

「ミンソクと一緒に買ったんだ!!!!2人で選んだんだぞ」

ルハンがそう言ってミンソクのカバンから包みを受け取り

ユナに向かって手渡した


小ぶりの箱で包み紙は高級デパートの名前が記されている


「えええ? 何だろう?」


可愛いワンピースを着て、あどけない少女の雰囲気の残るユナは

好奇心で瞳をキラキラさせながら、

箱の包装紙を外して中のものを取り出した


「うわっ!!!!可愛い時計だあ~!!!!

お兄ちゃんにミンソクオッパありがとう!!!!」


ユナが手にしたのは

若い子に人気のある有名なブランドの腕時計だった

決して安いものではない・・・だから2人で折半したのだろう

2人がどんな顔をしてこの時計を選んだのか想像しただけで

嬉しくて顔全体が緩んでくる


ユナはルハンに抱きついてお礼を言い

次にミンソクに抱きついてお礼を言った


「ユナちゃんが喜んでくれてよかった~」とミンソクが嬉しそうに笑うと

「選ぶのに大変だったんだぞ」とルハンが言いながら

ユナの腕をぐっと引いてミンソクから離した

え?

思わずルハンの顔を見たユナは

笑顔だけど瞳が笑っていない兄にドキっとした

(お兄ちゃんって・・・まだ・・・)

ユナは気づかないふりをして、はしゃぐ事を続ける


「さあさあ食べましょう・・・せっかくの食事が冷めてしまうわ」

「そうだよ今日は飲もう!!!!ルハンにミンソクくん!!!グラスを持って」

乾杯!!!!!


久々に楽しい宴となり

いつもなら少しの事では酔わないミンソクが

珍しく酔っぱらってソファで眠り始めた


「母さん・・ミンソクずっと徹夜だったみたいなんだ

もう俺の部屋で寝かせるから・・お開きにしていい?」


「そうね・・・ここはやるからミンソク君を寝かせてあげなさい」


ルハンは大切な宝物でも扱うように

眠っているミンソクをお姫様抱っこをして階段を上っていく

その姿を見ていたユナは

兄のミンソクへの長年の想いがまだ続いている事に気づいた

ルハンの後を追うようにミンソクの荷物を持って

ユナも階段を上がっていく


ユナが2階にたどり着くと

ルハンはすでに部屋の中に入っていた

閉めそこねたドアが少し空いている


ルハンは大事にミンソクを自分のベットに寝かせると

ものすごく優しい顔で愛おしそうに寝顔をながめていた


そして顔をそっと近づけると

眠っているミンソクの唇に自分の唇をそっと重ねる


覗くつもりではなかったがユナはその様子を見てしまった

そして眠っているミンソクから顔を離したルハンの

ものすごく辛そうな顔をみて自分の胸もズキンと痛むのを感じた


ミンソクの荷物をそっと廊下に置くとユナは階段を下りていく



お兄ちゃんのヘタレ・・・・片思いのまま何年過ぎてるの?

馬鹿じゃん!!!!


心の中でそう毒づくと、大学時代に女遊びが絶えなかったのは

ミンソクへの想いを断ち切ろうと足掻いていたんだと気づいた


なんで告白してないで逃げるんだろう・・・同性だから?

やはりお兄ちゃんは馬鹿だよ・・・・


ユナはルハンの気持ちを想うと、バカバカと毒づきながら

そっと涙を流していた
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七夕の誓い

昨日は七夕でした

宗文はハンチョル話を書いている時に毎年「七夕」に関する話を上げてました

なんか七夕好きみたいです・・・

で今年はルーミンで書こうってずっと考えていたんですけど・・・

6月末からのKRYライブの名古屋遠征やらSMT・・・仕事もボロボロ状態で行ったりして

時間が無くて上げられませんでした・・・いいわけです・・・七夕終わってしまいました

「想う」の話が途中なのですが「七夕」の話を先にあげます

今回はプラネットシリーズのシウミン少佐と泥棒ルーハンの2人の話です




[七夕の誓い] プラネットシリーズ


「しうちゃん・・・・俺の国に七夕伝説っていうのがあってね・・・」

ルーハンと恋人同士になってから寝物語に聞いた話

シウミンの国でも七夕はあるようだが

世間に疎かったシウミンはその存在を知らなかった

ルーハンはそんなシウミンに七夕の話をして最後に

「今度の七夕は笹を飾って、お願いごとの短冊をたくさん下げようね」

そう言って、嬉しそうに顔をくしゃくしゃにしてシウミンにほほ笑んだ

そんな事が付きあってすぐ位の時にあった

七夕は明日・・・・・だけど今ルーハンの姿はない・・・・・




「しょーさ!!!!笹ってリビングに飾っていい?」

タオが小ぶりの笹の木を担いでシウミンの家にやってきた

シウミンが驚いて黙ってみていると

一緒に来たクリスとレイもタオに続いてリビングに入っていく

「るうちゃんに頼まれていたの・・・しょーさの家で七夕したいって」

タオの言葉にシウミンは黙って下唇を噛んでいた


「シウミンの所にも連絡はないのか?」クリスが聞いてくる

シウミンは淋しそうにほほ笑むと小さく首を横に振った



1か月前に「実家に行ってくる」と言い残してルーハンは消えた

シウミンを思いっきり抱きしめてから、

その耳元に「なかなか連絡できないと思う・・・ごめん」と小さく囁いた


クリス達の話によると

ルーハンは家の相続の事で話合いに行ったとの事だった

ルーハンの家は資産家だったが跡継ぎの兄がいるので

自分は家に縛られることもなく自由にしていられる・・・はずだった


しかし特別扱いで育てられた兄が「資産家の一人娘」に恋をして

あろうことかその家に婿養子に入ると決めたらしい

ルー家にはまだ弟がいるから・・・と兄も両親もルーハンの許可なく勝手に決めたそうだった

その事をクリスから聞いたルーハンは激怒して

自分の実家に異議申し立てをしに乗り込んでいった・・・それが1か月前

クリスが自分の親から聞いた話では、その件でかなりもめているそうだった

クリス達の元にもシウミンの所にもルーハンからの連絡はないままだった・・・・



リビングに笹が飾られてタオが一生懸命短冊に願い事を書いている

「しょーさ!!!しょーさもお願い事あるでしょ? この紙に書いて下げるんだよ」

「うん・・・ありがとう・・・タオ・・・」

シウミンが力のない声で答えると

「クリス達・・・部屋用意したから・・・泊まってってくれ・・・」

それだけ言って自分は部屋に引き下がっていく

慰めに来たはずのクリス達は

自分達を見て余計にルーハンを思い出させてしまったようだと

申し訳なさそうにシウミンの後ろ姿を見つめていた




今まで1人だった・・・1人で生きてきた・・

だから・・・また1人に戻っても大丈夫だ・・・・元に戻るだけ・・・・


ベットの中でシウミンはそう考えながら天井を睨み付ける

毎日のようにシウミンを抱きしめてくれていた温もりがなくなって

自分がどれほどルーハンに依存をしていたのか

嫌と言うほど実感させられた


最近寝不足が続いている・・・すべてはルーハンのせいだ・・・

「バカ野郎・・・メールの1行くらい送れないのかよ・・・」

大きくため息をつくとベットから抜け出して時計を見た

午前4時・・・・少し明るくなってきたけどまだ起きるには早い

しばらく考えていたがシウミンはベットから抜け出した


リビングに向かうとタオが書き散らかした短冊とマジックが転がっていた

シウミンは、ほう・・・と息をひとつ吐くと短冊に何かを書き込んで

そっと笹に吊り下げた


その時

ガタン・・・・

え?

リビングの扉の開く音がしてシウミンは振り向いた

「しうちゃん・・・起きてたの?」

「・・・・・・・」

「しうちゃん・・・ただいま!!!!やっと戻れた」

ルーハンのいつも通りの笑顔に

シウミンの胸は熱いものが湧き上がり

知らないうちに涙があふれ出ていた


「しうちゃん!!!!!」

ルーハンは驚いて手にしていた荷物を投げ捨てて

シウミンの元に走り寄ってその体を抱きしめる

「ばか・・・ぱ・・か・・・れん・・らく・・よこさないで・・・」


シウミンがルーハンの胸に顔をうずめて泣きじゃくった

ルーハンにしか見せないミニの姿になったシウミンに

ルーハンは嬉しくて顔が崩壊状態だった

「ごめんね・・・ミニ・・・」

「ハニ・・・戻ってきてくれてありがとう」


泣きながら笑顔を作るミニの可愛さに

ルーハンは体中鳥肌が立つくらい感動し

抱きしめる腕に力を込める


見つめあうと2人は吸い寄せられるように唇を重ねた

久々にお互いの唇の感触を味わった後

ちゅっ・・という音と共に名残惜しそうに唇が離れた

「七夕・・・なんとか間に合ったね・・・しうちゃん願い事書いたの?」

恥ずかしそうに瞳をそらしたシウミンを見て

ルハンは一番手前にさがってる短冊に気づいて手にとった


「しうちゃん・・・これしうちゃんが書いたんだよね」

「・・・・・・・」

真っ赤になっているシウミンをギュっと抱きしめ直すと

「うれしい!!!!しうちゃんのお願い事!!!!俺と同じ気持ち」

「俺さ・・・実家と縁切ってきたから・・・これからもずっと一緒だよ」

「なっ!!!!」

「しうちゃんと一緒にいるためなら・・・俺何でもするよ」

ふふふとルーハンは小さく笑う

「しうちゃん・・・愛しているよ」

ルーハンは手にした短冊を大事そうに元の場所に下げると

真っ赤になったシウミンをお姫様抱っこをして

2人の寝室に向かう





『あいつと生涯を添い遂げたい』


七夕の短冊に書いた願いはいつしか叶う

恋人たちの想いは幾重にも重なって2人の愛を織り込んでいく

それはシウミンとルーハンも同じこと

2人は離れていた時間を埋めるために

お互いの肌の温もりを感じているのだった・・・・







おわり

七夕の誓い~おまけの話~

この土日エルプ活動してしまってたので・・・話を上げてませんでした

スパショでシウミンくんが観客席の椅子に乗って興奮している動画みて

ああなんて可愛い子~って思いました

EXOくん達確実に兄さん達に可愛がってもらってます・・・SJはどんどん兵役に行くため

今度のスパショまでは時間が空きそうです・・・

ヒチョルが挨拶で入隊していく弟たちの事を思い号泣してました・・・

そんなヒチョルが好きなルミラーの宗文です←


話は変わりますが七夕の誓いのおまけ話があるんです

「想う」の前に上げてしまいます



[七夕の誓い~おまけの話~]


「るうちゃん~おはよ~」

ルーハンがシウミンの館で目覚めた時は、すでに昼近かった

寝ぼけまなこであくびしながらリビングに来ると

タオとクリスが笹飾りの前で短冊に何かを書いている

「あ? ここ・・・クリスんちじゃねぇよな・・・しうちゃんちだよな・・・」


「ルーハンさま・・・おはようございます。

もうすぐ昼食になりますので軽い物をお持ちいたしますね」

シウミン家の執事がルーハンに挨拶する


「ヨンウンさん・・おはようございます。ここに持ってきてください」

ルーハンは、誰もを虜にする笑顔を執事にむけて、リビングの椅子に座った



「ルーハン!!!夕べ遅かったの~? 荷物ここに置きっぱなしで

少佐のベットを襲いにいったでしょ」

レイがルーハンの横に座ってニヤニヤしながら言った


「しょーさも眠そうな顔してたけど、嬉しそうだった~だからタオも嬉しい~」

「少佐はいつも通りに出勤したぞ」

クリスがタオの言葉を補足するようにルーハンに説明をした


「それにしても一か月連絡もよこさずに何してたんだよ」

ルーハンは、運ばれてきた目玉焼きを突きながらクリスの方を向いた


「もう大変だったんだよ~あのバカ兄貴のせいで・・・」


「大まかな事はきいてるけど・・で・・・どうしてきたんだ?」


「あいつさ~気に入った箱入り娘に手を出して

絶対に離れたくないって孕ませやがったんだ・・・もう結婚させるしかないってなって」


「えええええ? 何それ?」 タオが驚いて大きな声をだした


「あのお兄さんだよね~自己ちゅうな雰囲気漂ってる」

レイが紅茶を飲みながら言うと、ルーハンが思い出してもムカつくと吐き捨てる


「でもさぁ・・・しょーさが女の子だったら、るうちゃんも同じことするような気がする」

タオの何気ない一言に一瞬周囲の空気が凍り付いた


ぷっ

「確かにタオにいうとおりだ・・・俺・・しうちゃん女の子だったら孕ませてた」

ルーハンが大声で笑いだす・・・やっぱ兄弟なんだな・・と呟いた


「結局お前が後継がなくていいんだろう?」

クリスが聞くとルーハンは神妙な顔をしてうなづいた


「もうね・・・俺としうちゃんの将来がかかってるから必死だったよ・・

俺が後継ぎになっちゃったら絶対に引き裂かれるし・・嫁あてがわれて子供作れってなるし

俺ね・・・もう・・しうちゃん以外じゃダメなんだよね・・・どっちにしろ、しうちゃん以外考えられないけどさ」

ルーハンはスイッチが入ったように話し出したら止まらない


「でさ・・バカ兄貴は後継ぎとして育てられてただろう? 俺なんてほったらかしだったろう?

そんな俺が急に後継ぎだなんて親戚が許すわけないじゃん?

そこを上手く利用したんだよねぇ~で結果相手の女の子を嫁にもらうことになったんだよ」


「良かったな・・・」

「まあね~たまたまお腹の中の子が双子だって分かったのもあってさ

双子のうちの1人を相手の家の跡取りにする事になって・・・終わった」


「でもなんで一か月も連絡よこさなかったんだ? 少佐辛そうだったぞ」


「だって・・・しうちゃんの声聞いたら会いたくなっちゃうじゃん?

いろいろ片付けてから戻るつもりだったからさ・・途中で戻れないから我慢した」


「いろいろって?なあに?」 レイが不思議そうに聞いてくる


「ついでだから・・親たちが持ってる隠し財産を俺の名義に書き換えて~

スイスの銀行に口座作って~そこにため込んできた」


「え?」


「そんで親との縁切ってきた」


「はあ?」


「もう絶対にしうちゃんから離れないから・・・また何か言われたらヤダし・・

俺・・・しうちゃんと離れたら死んじゃうもん・・・」

そこまで言うと、ルーハンはニッコリとほほ笑んでコーヒーを一口飲んだ


その様子を見ていたクリス達は唖然として声も出ない

そして各々の心の中で (絶対にこいつを敵にまわしたくない) と思った・・・・・



~同じころプラネット国 情報部~


「あれ?少佐の姿が見えない・・・トイレにしては長いな・・・」

チェンがセフンに目配せして、すぐそばにいたベッキョンを両脇から抱え込んだ

「はぁ?」

驚いたベッキョンの耳に素早く耳打ちをして、少佐の席に座らせる

「監視カメラが作動中だから・・あまり少佐がいないのも困るんです

ベッキョンは少佐と同じくらいの体型なので遠目のカメラでは違いは判りません

戻ってくるまで少佐の席で仕事しててください」

チェンに耳打ちされて小さくうなずくと、少佐の机で自分の書類仕事を行っていた


チェンは少佐の今朝のようすを思い出し、

ロッカーの後ろに置いてあるソファの場所を覗きにいってみた


あ・・・・

後からきたセフンも気づいた




ソファに小さく丸くなって、すやすやと眠っている少佐の姿があった

「そういえば・・・ルーハンさんが不在中は寝不足が続いてたみたいだったけど・・・

そうか・・・ルーハンさんが戻ってきたんだ・・・」

セフンがしまってあった毛布を取り出すと

そっとシウミンに掛ける・・・・

「幸せそうに寝てますね」

「うん・・・良かった・・・少佐の笑顔が見れれば何もいらない・・・」


2人はあどけない顔で幸せそうに眠っている上司を

愛おしそうに見つめていた・・・・・




おしまい

想う ~後編~

[想う] ~後編~


ルハンがプロになって2年

持って生まれた甘いマスクと

それを裏切るような男前のサッカースタイル

所属チームは弱小ながらもルハンの知名度はどんどん上がっていく

女性向けの雑誌でモデルさながらの写真が掲載されたり

今ではワールドカップのメンバーに選抜されるまでになっていた



ミンソクはロースクールで勉強に励んだ結果、

司法試験に無事受かり今は厳しい研修期間中だった。

研修が終了する時期には、

裁判官になるか検事になるか弁護士になるかを決めなくてはならない。



2人は全く違う世界の人間となってしまっていたが

2人は忙しいなりにも連絡はとりあっていて

お互いの状況は理解しあっていた


そんな時にルハンからどうしても話をしたい・・・と連絡を受けて

最近の行き付けになっている小さなビストロで会う約束をする



「ミンソクさま。本日はご予約いただいてありがとうございます」

オーナー兼シェフであるギョンスが、ミンソクの入店と共に挨拶にくる



「ミンソクでいいよ・・・チャニョルの友達だし・・・ギョンスだって

俺にオーナーって呼ばれたくないでしょ?」


「ちょっと改まってみたんだよ。今日はルハンさんが来るんでしょ?

奥に個室を用意しておいたからね・・・・チャニョルから噂聞いてたけど、

本当にあのルハンさんが皆の仲間だなんて信じられないな~」


ギョンスはくりっとした瞳を悪戯そうに動かして小さく笑った



フットサル仲間のチャニョルが、以前テレビ局のロケで使った店が気に入り

個人的に通い始めてオーナーのギョンスと友達になった

そのつながりからフットサル仲間で何度が店を利用するようになり

ミンソクも店の雰囲気やギョンスの人柄、食事の美味しさも気に入って

いつも利用するようになっていた


ルハンはすでにプロになっていて、多忙のためにこの店には来てなかったのだ



しばらくすると、息を切らせたルハンが店に飛び込んできた


「ミンソクごめん・・・何かパパラッチを巻くのに手間取った」


「パパラッチなんていたのか? って別に密会デートじゃないからいいじゃん」


ミンソクが不思議そうな顔をして答えると

ルハンは不満そうな顔をしてミンソクを睨み付けた


「ミンソクと会うのに密会したくないけどさ・・

ちょっと今日は重要な話があるから」

そう言うと小さくため息をついた

「とりあえず飲もう」


オーナーのギョンスが自らワインを持って挨拶に来た

「チャニョルの友達のギョンスだよ。オーナーだけどシェフでもあって

ギョンスの作る料理はすっごく旨いんだよ」

ミンソクの説明にルハンは爽やかな笑顔で挨拶をする


ギョンスも有名人を相手に少し緊張しているようだった

「ごゆっくり」ジョンスが挨拶をして下がると

すぐに前菜の盛り合わせが運ばれてくる


しばらく料理を味わいながら、あれこれ他愛もない話をする

メインを食べ終わった頃にルハンがやっと本題を切り出した


「あのさ・・・俺・・・」

言いにくそうにするルハンにミンソクは笑顔をむける

「何? どうかした?」

ルハンはミンソクの顔をじっと見つめると

眉間に皺を寄せて覚悟を決めたように口を開いた


「俺・・移籍の話が来てる・・・」

「え?」

「それもドイツ・・・」

「・・・・・」


ルハンはプロに入って目立つポイントで活躍していた

先日もワールドカップ予選で目立つ活躍をしていたのだ


ミンソクが黙ってしまったのでルハンは小さくため息をつき、

ワインでも飲もうと手を伸ばすと、ミンソクが顔をあげた


「ルハン!!!!」

「え?」

「お前すっげーよ!!!!」

ミンソクの瞳が興奮できらきらと輝いていた


「俺・・でも迷ってる・・・ドイツに行っても使い物にならなそうで」


「バカっ!!!!何言ってんだよ!!!!誰もがいけるわけじゃないだろう?」


「俺・・・ドイツ語話せないし・・って英語もあぶないのに・・」


「お前に言葉はいらないだろう!!!!」


まだぶつぶつと煮え切らないルハンを見てミンソクは言い放った


「こんなチャンスはもう来ないよ・・ダメでもいいじゃん・・

ドイツに行って来いよ・・・お前は・・・ルハンは俺にとっての夢なんだ」


「夢?」


「俺が続けられなかった大好きなサッカーを

親友のお前が続けてくれる・・・そんなお前に俺の夢が託されてるんだよ」


ルハンはハッとする

高校時代、家庭の事情から費用のかからない特進クラスにいたミンソク

部活動に入れなくてサッカー部の練習を遠くから眺めていた・・・

そんな寂しそうな姿を見てしまい

我慢できなくて個人的にフットサルチームに勧誘したんだった


そんな時にミンソクは自分の夢を俺に託していたんだ・・・

ルハンの胸がじーんと熱くなってくる


「ルハン・・俺は全力でお前を応援する!!!!できる限りのことをしてやる

だから、あっちで要らないって言われるまで頑張って来い!!!!

たとえ結果でなくても俺はお前を応援し続けるからな」


「ミンソク・・・」

ルハンの瞳から涙が一滴流れた


「何泣いてるんだよ・・・ばか」


「ミンソクも俺と一緒にドイツに来てよ・・寂しいよ」

ルハンの一言にドキっとするが、ミンソクはすぐに笑顔でごまかして


「バカっ!!!俺だって地獄の研修中なんだぞ・・弁護士めざしてがんばってんだぞ」


「うううううっ・・・ミンソクと離れたくない」


「毎日電話してやるから!!!!!可能な限り応援にドイツまで行ってやるから」


「絶対だよ・・・」


ルハンはミンソクの想いを感じてドイツへの移籍を決めた

ミンソクは約束通りできる限り電話をし

長期休みが取れればドイツまで応援に行った


そしてルハンは移籍後のデビュー戦を華々しく飾るのだった


2人はお互いへの想いをもう「親友」ではないことに気づいていた


気づいてはいたが今は他にやる事がたくさんあったため

その部分には見ないふりをして過ごしていた


しかし

ルハンがドイツリーグで名前を知られるようになった頃

2人を取り巻く状況が激変する事件がおきた





「願う」に続く

エチオピア イルガチェフェ

いつも遊びに来て下さる方々ありがとうございます

最近またまた更新が遅れてしまいすみません・・・

「想う」の続きを書くつもりで忙しくて・・っていいわけです・・

中継ぎのつもりで短編ルーミンをあげます

北京公演で2人は密会していると・・・妄想中な宗文です





エチオピア イルガチェフェ



~北京~


「ルーハン!!!いるか~? 預かりもの持ってきた」

ルハンの家にマネージャー代わりの友人が

小さな箱を抱えてやってきた


「なんだ? 」


部屋着のままくつろいでいたルハンは

玄関から友人を中に招き入れて箱を受けとる


「映画製作会社にファンから届いたプレゼントだそうだ」


「日本からだ・・・今日本で映画公開中だったよな~」


あっ・・・


箱を開けたルハンは同封の手紙を読んで黙ってしまった


「どうしたんだよ」

友人が箱を覗き込むと、

そこにはコーヒーの1人分用のドリップパックが沢山入っている

友人はそのパックを取り上げて眺めてみたけど

どうやら日本語で書いてあるので豆の種類が読めないな・・・と

ブツブツ言いながら、ルハンの握りしめていた中国語で書かれている手紙を

覗き込んで声に出して読んだ


「ルーハンの映画素敵でした。私たちはお礼として、今日本で流行っている

コーヒーを送ります。豆の名前は、エチオピア イルガチェフェです」


友人の声を聞いてハッとしたルハンはすぐに笑顔を作り


「これってアイスコーヒーで飲むんだよ・・美味しいんだ・・・

ミン・・俺の好きな豆なんだ・・・・

お前にも淹れてあげるよ・・・座って待ってて」


ルハンは箱を抱えたままキッチンに向かっていった





~ソウル~


シウミンは北京での仕事のために荷造りをしていた

久しぶりなので少し緊張する・・・ルハンに連絡してないけど元気かな・・

この間SNSに上がった写真では少し疲れているようだった・・・


「コーヒーでも飲むか・・・・」


先日、事務所あてに日本のファンからコーヒーの贈り物があった

パッケージが日本語なので豆の種類が分からないな・・と思ってたら

たまたま事務所にいた日本語の先生がカタカナを読んでくれて

自分の好きなコーヒー豆だということが分かった

日本で流行ってるのかな? そう思いながらシウミンは

かつて一緒にこのコーヒーを飲んでいた恋人の事を思い出した


~♪


「あっ・・ルハンだ」

たった今考えていた恋人からの電話に『以心伝心』という言葉を思い出す


「よぼせよ~」


「しうちゃん!!!!今大丈夫?」


「ああ・・・どうした?」


「うん・・急にしうちゃんの声が聞きたくなって・・・」


「偶然だな・・俺も今お前の事考えていたんだ」


シウミンの言葉にルハンは思わず声をつまらせた


「ルハン? どうした? Weiboの写真疲れてるようだったけど・・体調は大丈夫か?」


「いま・・・しうちゃんの好きなコーヒー飲んでるの・・・

しうちゃんが俺の事考えてた・・って聞いて・・会いたくなっちゃった」


ルハンのぼそぼそと呟くような声が、寂しさを表しているように思える


「まさか?エチオピア イルガチェフェか?」


「うん・・そうだよ・・日本のファンが送ってくれた・・・

日本で流行っているのかな?」


ルハンの言葉を聞いてシウミンは小さく笑い出した


「しうちゃん? どうしたの?」


「俺も今その豆を淹れて飲んでる・・・お前と同じコーヒー・・・

それも日本のファンから送られたもの」


「えっ?????俺たち同じコーヒーを今飲んでるの?」

ルハンの声が弾む

電話の向こうでチョーうれしい!!!!という声が響いて

いつものルハンに戻ったようでシウミンはホッと息を吐いた



「やっぱり俺たち運命なんだ」と大はしゃぎのルハン


お前は馬鹿が付くほど明るい方が似合うよ・・・

シウミンは心の中でそう呟き


「あさって仕事で北京入りなんだ・・」とルハンに告げる



「ええええええええ?????何でそれ最初に教えてくれないのっ!!!!

絶対に会いにいくから!!!!レイやスホ使って密会してやるから」


ますますテンションが上がってきた恋人にシウミンは苦笑し

手にしていたコーヒーを一口のんだ


ああ・・・この豆は美味しいな・・いつ飲んでもフルーティだな

そんな事を思いながら恋人との会話を続ける





~Dコーヒー企画部~


今年の夏は「華やかでマスカットのような甘酸っぱい味わい」

というフレーズで展開していた豆が

想定外の売り上げを上げていて在庫がなくなっている

夏も始まったばかりなのに・・・だ


それも不思議な事に豆や店頭売りはそんなに伸びは変わらないが

ドリップパックのセットが飛ぶように売れているのだ

企画を担当していたメンバーは想定外の売り上げに喜びが半分

理由が読めないために戸惑いが半分というのが事実だった


「なんで? 一人用のドリップパックばかり売れるんだ?」


「もう在庫がなくて、あちこちの店舗から問い合わせが殺到してます」


生産すべきかどうか生産管理部にお伺いをたてないとダメか・・・・

企画部のチーム長は頭を悩ませていた・・・




日本のルミラーが

離れ離れになった恋人たちのために

思い出のコーヒー豆を送り

またルミラー同士のソンムル用に送り合っている・・

その事が想定外の売り上げを上げているなんて

誰も予想していなかった事が原因だったのだ



おしまい

この話はフィクションです





Dコーヒーに

ドリップパックを買いに走り回わりました

どこの店も売り切れでなくて・・・4件目にやっと買えました

近所にDコーヒーのないシウペンに送ったのは私です(笑)

願う ~1~

この連休でやっと話を書き始めました

この話は「出会う」「想う」に続く話です

出会う、想う を読んでない方は先にそちらを読んでからどうぞ



願う ~ 1~


「ミンソク?・・俺・・今トリノなんだ。

今から親善試合が始まるんだよ~

それが終わって明日ドイツに戻るからさ・・・

ミンソク今ドイツにいるんだろう?

俺の家族も今日あたりにミュンヘンに着くって」



「久々だなお前のご両親にユナちゃんと会うのも・・

親善試合のおかげでオフが入って丁度よかったな」



ミンソクは司法研修の一環としてドイツに来ていた

そのまま休暇も取り付けて、ルハンの雄姿を見ようと思ったが

肝心なルハンのチームは、

親善試合のためにイタリアに行ってしまっていた


「帰りは小型機をチャーターしたらしいよ・・・

凄いよね~お金持ちだねぇ~いつもより早く戻れそうだって」


「うん・・・試合頑張れよ・・・代理で選ばれたならなおさらだよ」


ルハンはチームに入って日が浅かったが

デビュー戦でハットトリックを決めたことと

東洋人の特徴とする実年齢よりも幼く見える外見のため

「東洋の天使」などと言われ認知度を上げてきていた

今回の親善試合も

怪我で離脱した先輩の代わりに行くことになったのだ



ミンソクは首都のベルリンに滞在していたので

ルハンの住むミュンヘンまで寝台列車で行くことにした

そのまま休暇を取ったからホテルから荷物を引き上げて

夜9時過ぎの列車に乗る

このまま翌朝の7時にはミュンヘンに着くので

ホテル代一晩分浮かせる勘定となる

研修生の身分のシウミンにとって節約できて少し嬉しかった



ルハンに会うのは久しぶりだ

デビュー戦の頃は数回行ったが顔を見せる程度で

ちゃんと会って話をするのはドイツに行く前の壮行会以来だ


「あいつ・・・試合に出られたのかな?

出られなくても選抜チームに入れただけでも褒めてあげなきゃ・・・」


寝台車のベットの中でルハンの笑顔を思い浮かべ

いつの間にか自然と自分の顔が緩んでくるのが分かり

ミンソクは恥ずかしさのあまり布団を頭まで被った


「Gute Nacht」


と同室の男性に声をかけて寝たふりを決め込む



寝台車は2人部屋で、人の良さそうなおじいさんが同室だった

早々に布団にもぐりこんでしまったミンソクを不思議そうに見ていたが

遠くの国から来て疲れているんだろうと気を利かせて、そっとしておいてくれた


ミュンヘンに到着すると、同室のおじいさんと駅に設置されているcaféで

軽い朝食をとる事になった

おじいさんは年若い東洋人に興味を持ったようであれこれ質問をしてくる


英語とドイツ語の単語を交えてミンソクは律儀に答えていた

そして親友がサッカーチームに所属していて会いに来た・・・と話すと

「もしかしてルハンか?」と食いついてきた

そうだと答えると、おじいさんは「女みたいな顔しているけど男前のプレーヤーだ」と

褒めてくれた。


ルハンが知らないドイツ人にも認められている事に誇りを感じ

ミンソクは自分の事以上に嬉しくてしかたなかった


2人がその話で盛り上がっていると、急にミュンヘンの駅が騒がしくなってきた

何事だろう・・とドイツ語が堪能じゃないミンソクが不安がっていると

おじいさんがウェイターに原因を聞いてくれる


「飛行機事故があったようで、今号外が配られてます」

新しく店に入ってきたサラリーマンに声をかけて号外を見せてもらうと

そこにはルハンの所属しているミュンヘンのサッカーチームの記事が書かれていた

ドイツ語が堪能じゃなくても何が起きたか分かる一面だった


ルハン達の乗った小型チャーター機がイタリアから戻る途中

墜落したと報じたものだった


昨日の電話でルハンはトリノにいる・・そしてチャーター機に乗ると言っていた

この墜落した飛行機に乗っていたのは間違いない


ミンソクは真っ青になってその場に座り込んでしまった

おじいさんはミンソクを心配して

あれこれと記事を読んで英語で説明してくれる

隣のサラリーマンに事情を説明して

ノートパソコンで最新ニュースを検索してもらう


「墜落したようだが、生存者も確認されているぞ・・・

君の友人のルハンも生きている可能性が高い・・気を落すな」

それから数時間後

Caféにいた親切なドイツ人たちによって

ミンソクはミュンヘンからトリノ行きの飛行機に乗っていた

手には、墜落した飛行機に乗っていたけが人が

搬送された病院名の書かれたメモもある


病院に到着するまでミンソクは

ただひたすらルハンの無事を祈る事しかできなかった

願う ~2~

願う ~2~


ミンソクが病院にたどり着くと

玄関の所でスタッフに囲まれたルハンの家族の姿が見えた


「ミンソクオッパ!!!!」


ミンソクの姿をいち早く見つけたユナが声をかけてくる

ユナの隣にはルハンの両親の姿が見えた


ミンソクは手をあげて合図をすると走ってルハンの家族の元に来た


「ルハンは? ニュースで見て驚いてここまで来たんだ・・・詳しい事教えてくれ」

挨拶もそこそこにミンソクはルハンの両親とユナに状況を尋ねる


「さっき説明してもらったんだけど、お兄ちゃんは集中治療室にいて治療中なの

ここでずっと待ってるんだけど・・・」


ユナは自分の両親の顔を見ながら必死で涙を堪えながら話を続ける


「ほんとなら・・今頃・・お兄ちゃんを囲んで楽しい時間を過ごしていたのに」


「ユナ・・不幸中の幸いで私たちはルハンのそばにいる事ができる・・・

後はルハンが助かる様に神に祈るしかない・・・」


ルハンの父親がそういうと瞳をぎゅっとつぶった

その様子を見てルハンの母親が父親の体を優しく抱きしめていた


「ルハンの家族の方・・こちらに来てください」

チームでルハンの通訳をしているスタッフが

治療室の前まで案内してくれて

扉が開いて中から医師が出てきた



イタリア語が分からない家族に英語で説明を始め

ミンソクがそれをルハンの両親に訳して伝える


「私たちは最善を尽くしました・・・

あとはルハンさん自身の力に任せるしかありません

このままの状態が続くようなら、今夜が峠だと思われます」

そう言って病室の中に通してくれた



「・・・・・」


ミンソクの目の前にいるルハンは

ベットに寝かされて、いろいろなチューブが体に繋がっている

意識もなく生きているのか見ただけでは分からない状況・・・

ルハンの体に繋がれた計測器の表す数字で

ルハンはまだ生きているという事がかろうじて分かる


「ルハン!!!!」

「お兄ちゃん!!!!」

ルハンの家族が寝かされているルハンの顔のあたりに行くと

それぞれルハンに呼びかける

気を失いそうな母親を父親がしっかりと支えていた



ミンソクは病室の扉の前から動けないで

必死に呼びかけているルハンの家族の様子を

ぼんやりと見ていた



ミンソク・・・自分を呼ぶルハンの優しい声が耳によみがえってくる



昨日・・・電話で話した時は元気だったのに・・・


なんで・・・どうして・・・


お前がいなくなったら・・・・俺を置いて逝っちゃうのか?



ミンソクの思考が現実逃避をし始めた時に


突然ユナの声が部屋に響いた


「ミンソクオッパ!!!!!!お兄ちゃんに呼びかけて!!!!

お兄ちゃんを呼び戻せるのは・・ミンソクオッパしかいないよ!!!」


いくら呼びかけても意識の戻らないルハンの近くに

ユナはミンソクを連れていく

顔は涙があふれていて必死さが表れていた


「ミンソクくん・・・あなたもルハンに呼びかけて・・」


ルハンの母親にも促されて小さくうなずくと

ミンソクは横になっているルハンの耳元まで顔を近づけた


いつも自分の事を見つめている

キラキラした瞳は閉じられている

嬉しそうに笑うと目元に皺がよる

ミンソクの好きな笑顔は見られない



ルハン・・・お願いだ・・その瞳をあけて・・・俺の事を見て

ミンソクは鼻の奥がツンとなって涙が出そうになったが

必死でそれを抑え込み、小さく深呼吸をして呼びかけた



「ルハン!!!!お前が行こうとしている場所には俺はいない

俺はここにいる!!!!お前は俺のそばにいるって言っただろう?」


「そっちの世界には俺はいない!!!!ルハン戻って来い!!!!

俺の隣に戻って来い!!!!俺の隣がお前の居場所だ!!!!!」


「俺を置いて逝くな!!!!俺にはお前が必要なんだ・・・

お願いだから・・・俺のそばに戻ってきて・・・」


ルハンの手を握ってミンソクは必死に呼びかける

最後には言葉がつまって出てこなくなり涙があふれてきた


「ルハン・・・ルハン・・・」


ミンソクの嗚咽が部屋に響いた

願う ~3~

願う ~3~


ここは・・・どこ?

ルハンは花畑の中をぼんやりと歩いていた

目の前をチームの先輩達が歩いている

自分たちが進んでいる先は明るく照らされていて

まるで吸い寄せられるように、そこに向かっているようだった



ルハン・・・・

お兄ちゃん・・・


誰かが自分を呼んでいるような気がして

ルハンは歩みを止めて振り返った

自分の後ろはただ闇が広がっているだけ


前を歩く先輩たちはどんどん進んでいく


気のせいか・・・

ルハンがまた歩み始めようとすると


ルハン!!!!!


今度は確実に自分を呼ぶ声が聞こえた

この声は・・・ミンソク・・・


一時も忘れたことのない、最愛の「親友」ミンソク

そのミンソクが自分を呼んでいる声がする

ルハンはその場にとどまり

耳を凝らして声を聞き逃すまいとする



『ルハン!!!お前が行こうとしている場所には俺はいない』


え?


『そっちの世界に俺はいない!!!!ルハン戻ってこい!!!!』


そっちって何?


『俺を置いて逝くな!!!!俺にはお前が必要なんだ・・・

お願いだから・・・俺のそばに戻ってきて・・・・』


ミンソク・・・どうしたの? 俺はお前を置いて行ったりしないよ

ルハンは勝手が分からなくて首をかしげた


すると


『ルハン・・ルハン・・』

自分の名前を呼びながら泣いているミンソクの声が聞こえた


ミンソクが俺の名前を呼びながら泣いている・・・・

ルハンは堪らなくなって声のする闇に向かって走り出した




誰だ!!!!俺の大事なミンソクを泣かせやがったのは!!!!


ミンソク待ってろ!!!今俺が行くから!!!!行ってお前を抱きしめてやるから!!!!


.ルハンは必死で走った・・・


息が苦しい・・・・

そんな事は言ってられない・・・ミンソクが俺を待っているんだ・・・・




ミンソクと出会ったのは高校1年の時

母子家庭で金銭的にも苦しかったミンソクは

特待生制度を利用して高校に入学してきた


喜怒哀楽が激しくて、よく泣いたルハンと違い

ミンソクは我慢強く

嬉しい時も悔しい時も悲しい時も涙をみせる事はなかった

たった一度ルハンの前で涙を流した時以外は・・・


高校3年生の時にミンソクの母親は再婚する事になった

しかし相手の男性は母親だけを望み

ミンソクを置いていくことが再婚の条件だった



その話をルハンにだけ打ち明けた時に静かに涙をながした

その時すでに親友の枠を超えた想いを持っていたルハンは

自分の気持ちを抑えながら、ミンソクを強く抱きしめて

「俺がいる・・俺はずっとお前の横にいるから」と耳元で囁いた

ルハンの胸でしばらく泣いた後

「ありがとう」と言ったミンソクの泣き笑いの顔が忘れられない


それ以来ミンソクは涙を見せることはしなかった・・・・・







「ルハン!!!!ルハン!!!!」

「お兄ちゃん!!!!!」

「先生~!!!!患者さんが目をあけました!!!!」


ルハンがぼんやりと目をあけると

自分に覆いかぶさるようにしているたくさんの顔が見えた


父さん・・母さん・・・ユナ・・・


目だけを動かして顔を確認する


そして誰かが自分の手を握っている事に気づいて

視線を下の方に向けた


「ル・・・ハ・・ン」

泣き笑いの顔のミンソクが見えた


ああ・・・あの時と同じだ・・・俺のミンソク可愛いな・・

ルハンはミンソクに向かってニッコリとほほ笑む

そしてまた意識を手放して眠りの世界に入って行った




人間の聴力は、

胎児の時に母親の胎内にいる時にすでに出来上がっていて

周囲の人たちの話声などが聞こえるという

そして亡くなる時も最後まで機能していて

医師の「ご臨終です」という言葉も聞こえるらしい・・・・


そんな話を大学の講義で聞いたことをユナは思い出した

そして

自分達がどんなに呼びかけても反応しなかった兄が

ミンソクの呼びかけと泣き声で

意識を取り戻したことに笑ってしまう


兄のミンソクに対する執着心がこの世に未練を残し

死の瀬戸際から蘇ってくる切っ掛けになるとは・・・


お兄ちゃん・・・やっぱり馬鹿だね・・・

ユナは小さく呟くとハンカチでそっと涙をぬぐった

願う ~4~

願う ~4~


ルハン達のチームがチャーターした飛行機が墜落した事故は

かなりの大ニュースとして世界中に発信された

死者6名・・・重軽症者50名以上・・・

局地的な豪雨の中、無理にフライトして墜落したのが原因だった




テレビ局勤務のチャニョルが、仕事柄ニュースを知るのが早く

一番先にミンソクの元に連絡を入れてきた


「わざわざ電話ありがとう。ほかのみんなも心配しているよね

ルハンの命は助かったと伝えておいて・・・意識も戻ったし

まだ普通には話せないけど少しずつ話も出来ているよ」


「で・・ケガとかどうなんだよ? けが治ったら復帰できるのか?」


「ん・・・まだわかんない・・・ベットで寝たままだから・・・

腰の骨も負傷してるから・・・リハビリ長くかかりそう・・・」


「そっか・・・また連絡してくれよな・・こっちは俺から回しとくわ」


「サンキュ」


「お前はいつまでそっちにいるんだ?」


「俺は・・ルハンのリハビリに少し付き合うつもりなんだ・・・

所属の弁護士事務所に理由を説明して休職にしてもらった」


「ミンソク・・・お前・・・」


チャニョルの心配そうな声を聞いて

ミンソクはわざと明るい声で答える


「俺さ・・

今回の事でルハンを失う恐怖を初めて味わったんだ

自己満足になるかもしれないけど・・・

あいつがいらないって言うまで

リハビリに付き合ってやるつもりなんだ」



「うん・・・ルハンもお前がいると助かると思うよ」


チャニョルは電話を切る時に

小さく「ミンソク・・ファイティン」と囁いた





ルハンの命は助かった

少しずつだけど順調に回復をしている

腰が骨折している部分があり、まだ寝た切り状態だ

だけど・・・本人が知らない重大な事があった


命が助かった代償として失うものがあったのだ

普通の人だったら諦めがつくかも知れない・・・

だけどルハンはサッカー選手だ・・・・


ミンソクはそう考えると顔を曇らせる・・・


いつ・・・どうやってお前に告げようか・・・


ルハンの両親はユナの助言もあり

その事はミンソクに一任したのだ



最近やっと笑顔の戻ってきたルハン

その笑顔を失うことになりかねない・・・・



ルハン・・・俺がずっとそばにいるから・・・

俺がお前を守るから・・・だから・・・


神様・・・


ミンソクは天を仰ぐように頭をあげる

涙が一筋ほほを伝い落ちていく・・・・
プロフィール

宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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