喫茶 うたかた 後編

[喫茶 うたかた]  後編



チェンが高校に入学した時には

ルハンは自分の学校だけでなく周辺の高校でも

サッカー部のアイドル的存在で超有名人だった

顔も良ければ性格も良くサッカーも上手・・・

まさに神は彼に二物も三物をも与えていると言われていたのだ


そのアイドルの親友でサッカー部のキャプテンがシウミン

レイはルハンの幼馴染だった

チェンはたまたま知り合ったレイ経由で

ルハンとシウミンに可愛がってもらっていた


チェンが大学を卒業して社会人になった頃

異常なほど仲の良かった2人が

親友という枠組みを超えて

生涯のパートナーとして真剣に付きあっている事を知った


周囲は驚きながらも祝福し

仲間内での結婚式を予定していた数日前に

ルハンが事故に巻き込まれて死んでしまった・・・のが1年前

シウミンはショックで自殺を図るが未遂で終わった・・のが半年前の事

今では立ち直って喫茶店を経営している・・・とチェンは仲間内の噂で聞いていた



「ルハニヒョン・・・

シウミニヒョンへの執着半端なかったですもんね

普通に考えても成仏なんて出来ないでしょう」

チェンの呟きにレイが困った顔で続ける


「そうなんだよ~で・・困ったことに・・・

僕は・・・ルハンの姿が見えるの」


「へ?」


「ルハンに会いたくて仕方ない俺には見えないのに・・・」


シウミンが小さくため息をつく

チェンの前に置いてあるカップが

返事をするようにカチンと小さく音をたてた


外はすっかり暗くなってきている

ベッキョン達が慌てて出て行った時に

シウミンが閉店の看板を出したため

客は入ってくる気配はない・・・


もしかしたらルハンが入れさせてないのかもしれない


「でも感じるんだ・・見えなくても・・ここにルハンがいるって

俺にはわかるんだ・・・レイ? 俺の背中にルハンいるんだろう?」


レイはシウミンの背中を見つめると


「うん・・・分かるんだ~すごいね~

ルハン今の言葉ですごく嬉しそうに笑ってるよ・・・

こんな感じに抱きしめてる・・・」



レイは自分の横にいたチェンの後ろに回り

やさしく慈しむように抱きしめた


シウミンはその様子を涙でうるんだ瞳で見つめ

「ルハン・・・ハニ・・・今でも愛しているよ・・ずっとお前だけだよ・・」

自分の背中にいるだろう恋人に愛の言葉を告げる


ふわり・・・


その場の空気が柔らかく変化したようにチェンは感じた

まるでルハンが喜んでいるかのようだった



むかし・・・暗くなった学校の廊下の隅で

シウミンを黙って後ろから抱きしめていたルハンの姿をチェンは思い出した


うっとりとした表情でシウミンの肩に頭を預けていたルハン・・・

幸せそうに抱きしめられていたシウミン・・・


偶然見かけてしまったその姿は美しい絵画のようにチェンの脳裏に焼き付いた

きっと今も同じような表情をしているんだろう・・・



あと数日で秋夕・・・その日はルハンの姿が見れるかも知れないよ・・と

レイが意味深な笑顔でチェンに伝えると

何故かシウミンも頬を赤らめて

「秋夕は霊の力が増すらしいんだ・・」と呟いた

「秋夕にまた来ます・・」そう言い残してチェンは店を後にした




秋夕は祝日となるために会社は休みとなる

チェンの話を聞いて

ベッキョンはチャニョルを連れて謝罪しに行きたいから

是非一緒に連れて行ってほしいと言った


ベッキョンは子供頃に見た映画のトラウマからなのか

とりついた霊を怒らせたのでチャニョルが殺されるとでも思ったらしい


3人でお供え物と花束を持ってシウミンの店に行くと

扉には「貸切」の紙が貼られていた


「チェン~来たね~」レイが嬉しそうに声をかけてくる

ルハンの姿が見えるレイは

(妖精さんとか小人さんは昔から見えたけど

幽霊はルハンしか見えない・・らしい)


今はルハンの通訳兼ウェイターとして喫茶店で働いている

(ルハンに泣きつかれてそうしていると後日チェンは知った)



「うわーっギョンス~久しぶり!!!!」


「チェン!!!!元気だった?

今日はルハニヒョンの好きだったケーキ焼いて来たんだ」


ギョンスはサッカー部のマネージャーをしていて

チェンと同級生だった

シウミン達が卒業した後に入ってきたカイと

今日は一緒にやって来ていた


シウミンが飲み物をみんなに出すと

お互いの近況を報告しあう


他にも来たがった仲間はいたけど予定が合わず

今日はカイとギョンスとチェンの3人と

チェンの同僚のチャニョルとベッキョンの5人だった


自己紹介の後の話によると

仲間で集まるのはルハンの葬式以来だそうだ


談笑がひと段落するとレイがカウンターの奥の方を確認してから

「今日のサプライズ~ルハン登場です~」と皆に声をかけた



カウンター席は行き止まりになっている

今まで誰もいなかったその席に

ゆるふわパーマのかかった茶髪の綺麗な顔をした男性の姿が現れた


「うわっ!!!!」

突然現れた男性にチャニョルはびっくりして大きな声をだした


「まじ・・・ヒョンだ・・・」

カイが放心したようにぽつりと呟いた


「るはに・・ひょん・・・」

ギョンスが大きな瞳をさらに大きくして見つめる


「すっげー綺麗な人・・・」ベッキョンもルハンの綺麗さに驚いてる



「やっと実体化できた~!!!!秋夕期間は霊力が増幅するって話だったけど

ほんとだったね~あーっ!!!これでしうちゃんの事を触って感じることが出来る」

ルハンはそう言うと体をほぐすかのように伸びをひとつした


「しうちゃ~ん!!!!!会いたかったよ~会いたくて死にそうだったよ~」

そしてシウミンに思いっきり抱きついた


「あのさ・・・ルハン・・・

他のみんなも君に会いたくて来てるんだけど・・・」

レイがやれやれという様なそぶりをする


「会いたくて死にそう・・・ってヒョンもう死んでるし・・」

カイがぼそっと言うと


「ルハニヒョンって死んでもルハニヒョンなんですね・・・

何とかは死んでも治らないって・・・ほんとなんですね」

ギョンスも顔色一つ変えずに酷い事を言っている


言われた本人はただひたすら

愛しいシウミンをぎゅうぎゅうと抱きしめていた


「チェン・・・あのルハンさんって・・・もともとああなの?」

ベッキョンはチェンの肩をつついて尋ねる


「うん・・・変ってない・・あのまんま・・・・

優しくて楽しくて皆に慕われてたけど・・・

シウミニヒョンが絡むと

すっごく残念な人になっちゃうの・・・・

あまりにも生前と変ってないから

なんか涙出て来ちゃった・・・」


見るとチェンの瞳から涙が一滴流れている

カイもギョンスも目がうるんでいた


あの人・・・みんなに愛されていたんだな・・・

ベッキョンまで鼻の奥がツンとしてくる・・・もらい泣きしそうだ・・・



みんなの手前恥ずかしがって

無駄に抵抗していたシウミンに

ルハンは力づくで濃厚なキスをすると、

やっと顔を離して皆を見てほほ笑んだ


久しぶりの再会にみんなルハンにいろんな事を聞いてくる

ルハンはシウミンを自分の膝の上に乗せて抱きしめながら

みんなとの話に花を咲かせていた


「じゃあ・・・ずっと力を使えるように

いろいろトレーニングしていたんですね」


「うん・・・秋夕だと実体化できるって聞いて

死ぬほどトレーニングしたよ」


「死ぬほどって・・・ヒョン死んでるし」


カイの突っ込みを軽くスルーして

ルハンはシウミンの体をなでまわしている


「ちょっ・・みんなの前だから止めろよ」


シウミンの制止も聞かずに

ドンドンと行為はエスカレートしそうだ


「必死でパワトレして実体化したのって・・・

シウミンさんのためですか?」

ベッキョンが気になる点を皆の代わりに質問する



「あったりまえじゃん!!!!!

愛するしうちゃんとエッチするためじゃん!!!!」


当然だろうと整った顔を惜しげもなく崩しながら

ルハンは高らかに周囲に宣言する


胸に抱きしめているシウミンは恥ずかしさのあまり

両手で顔を覆ってしまって

表情が見えないが耳が真っ赤だ


ああ・・・やっぱり・・・この人は・・・こういう人だった・・・


そんながっかりした空気が周囲に漂い始めた時



「ルハンさん!!!!すごいっす!!!!俺・・・尊敬します」

黙って一部始終を見ていたチャニョルが

目を潤ませながら口を開いた


はぁ?


ベッキョンが驚いてチャニョルの顔を見つめると


「ベク・・ルハンさんって凄いよな・・

恋人のためにこの世に幽霊として残って

恋人の窮地を救い、

寂しい思いをしている恋人の体を慰めるために

パワトレして実体化までしてるんだぜ」

感動して瞳はキラキラしている


(ニョル・・・そこに感動しているのか?

なんかお前の焦点ずれてるし・・まあいつもの事だけどさ・・)


ベッキョンが呆れて言葉を失っていると


「お前・・・

この間は、しうちゃんの手を握ったりしたからムカついたけど、

本当は良い奴なんだなぁ・・・」


ルハンが笑顔でチャニョルに言った

その様子を見たベッキョンは

こっそりと安堵のため息をつく・・・

これで映画みたいに殺されることは回避された・・


チェンはそんな様子をみて

ルハンが不機嫌になってくるのに気づいた

周囲に対して笑顔で話をしているが瞳が全く笑っていない

高校時代もこんなことが良くあったっけ・・・




ギョンスも気づいたようで、カイに耳打ちして帰り支度を始めている

レイに目配せするとレイも苦笑しながら帰り支度を始めた


「1年ぶりだからねぇ~気持ちは分かるけどさ・・・

ルハン!!!!シウミンの体いたわってよ」


「さあ・・・帰ろう!!!!みんな!!!!

ヒョンに獲り殺されないうち!!!」


「分かってんならさっさと帰って!!!!!

俺たち2人っきりにして!!!!」


みんなが気を利かせた事に

ルハンは満足して最上級の笑顔で皆を送り出した


シウミンはルハンの胸に顔を隠したまま

耳だけでなく首までも真っ赤になっている


「ルハンさん!!!!頑張ってください!!!!」

チャニョルが親指を立ててウインクをすると

「おうっ!!!任せとけ!!!!」

ルハンも同じポーズで答える


「ルハニヒョン・・・また会いたいです」

「実体化以外でも会えるように

スキルアップしてくださいね」

「また来ます~」




ガチャン


店から出ると早々鍵のかかる音がした

あまりにも分かりやすくて皆が笑いだした


「もうシウミニヒョンが

毎日泣いて暮らすことはないですね」

ギョンスがレイに向かって呟く


「パワトレに励んでレベルが上がると

鏡を介して話をすることも出来るって

ルハンは幽霊友達から教わったみたい」


幽霊友達って・・・すごいな・・・

ベッキョンが変な所に関心する


「なんか・・死んでもルハニヒョンは変わってない・・・

シウミニヒョンが死ぬまで獲りつくんでしょうね」


「そうだね・・・死ぬ程恋焦がれてやっと手に入れた愛する人だもん

死んだ位じゃ手放すわけないね・・・ルハンは・・・」

レイの言葉にその場にいた皆が納得をする


「2人を祝福するためにこの後飲みに行きましょう!!!!!」

チャニョルの発案にみんな頷きながら

夕方の街に繰り出していった



その後ルハンはスキルアップに成功し

鏡を介して友達らと話が出来るようになる

秋夕じゃなくてもパワーを貯め込んで

実体化出来るようにもなった



愛の力は偉大である


そうまさにエロパワーは岩をも動かす・・・・




おしまい




*「秋夕」・・・チュソク 韓国での日本のお盆にあたる風習 9月下旬 アイドルの韓服姿がSNSに上がります



くだらなくてすみませんでした・・・

この話のルハンさんsideの続編があります
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喫茶 うたかた 番外編 ルハンside 前編

[喫茶 うたかた] 番外編 ルハンside 前編



気がついた時には俺は死んでいた

一瞬何が起きたのか理解できず脳内パニックを起こしかけたが

俺の体にしがみついて泣き叫んでいるしうちゃんを見て

自分が病院のベットに寝かされているんだと気づく

ベットの天井辺りからその様子を見ていたんだ




俺はたしか・・・結婚指輪を取りに行って・・・

その帰りに赤信号を突っ込んできた車にはねられた

その事が原因で死んだのか?



死んだ・・・なんで俺が死ななきゃいけないんだ?

これから愛するしうちゃんをたくさん幸せにしなくちゃいけないのに

なんでだ?


おーまいがっ!!!!!!!!!!かみさまー!!!!!


俺は悔しくて涙が出たけど

しうちゃんの悲観する姿を見て悲しみよりも怒りが沸いてきた

しうちゃんを抱きしめようとしても

その体は俺の手からすり抜ける・・・

キスをしようとしても実体を持たない俺の体はすり抜けるだけ


健気にも泣きくれながらも俺の葬儀の支度をするしうちゃん

俺は成す術もなく、しうちゃんの周囲をうろうろするだけだった

そんなことをしている間に俺の葬儀が始まった


お互いの両親に結婚を認めてもらっていたから

喪主はしうちゃんがやってくれて

俺たちの友人たちが集まってくれていた

自分の葬式を見るなんて・・・何とも言えない・・・

ぼんやりと棺桶の上に座っていたら

レイと目が合った

レイが信じられないという顔をして

数回瞬きをすると俺から目をそらした


これって絶対に俺が見えてる・・・

あいつとは幼馴染だけど、

ガキの頃よく妖精とか小人とかと話してたっけ

あの頃は嘘だろうって思っていたけど・・・

俺の姿が見えるなら本当だったんだな

レイを捕まえて確認しようと思ったらバタバタして

気づいたらいなくなってた・・・あいつ絶対に逃げたぞ


毎日俺の事を想って泣いているしうちゃんの横にいるのに

慰める事もできずにただ時間だけが過ぎていく


四十九日を過ぎたらあの世からの使者とかいう奴がきた

俺はあの世に行くのを拒否した


だってしうちゃんの事を1人にしていけないし

俺の事忘れて新しい人生を歩んでくれ・・

なんて俺・・・人間が出来てないし・・・

もし新しい恋人でも出来たなんて・・・

考えただけでも気が狂いそうになる・・・それだけは絶対に阻止だ


俺が、愛する人を残して死んだことへの不平不満をまくしたてると

使者の奴はあの世に逃げ帰っていった・・・

いいんだ俺は悪霊にでもなんでもなって

この世に留まってやる!!!!!!


しうちゃんは健気だった

俺たち2人で開店させたcaféを守って

1人で毎日頑張っている


俺は耐えきれずに

しうちゃんの背中に抱きついたり

唇にキスをしてみたり・・・もちろんすり抜けてしまうけど

そんな事を毎日繰り返していたら

本能が感じてくれたのか

しうちゃんは無意識に俺がそうした時には

小さくほほ笑んでくれるようになった


でもこのままこんな関係じゃ埒が明かない

悶々と日々を過ごしていたら・・・

突然・・・しうちゃんが自殺を図った


その日はしうちゃんの誕生日

1年前のその日は2人にとって最高に幸せな日だった

俺がサプライズでしうちゃんに結婚の申し込みをした日

俺たちは一生幸せに暮らしていけると希望に満ちていた・・・


その幸せにあふれていたアルバムを見ながらしうちゃんは涙を流してた

そして・・・

「俺もう疲れちゃった・・・ルハニの所に行ってもいい?

ルハニ・・・愛している・・」


そう言って手首を切った

俺はしうちゃんの手首から血が流れ出ているのを見てるしかなく

どんどん顔色の悪くなるしうちゃんを目の前にして

何もすることができなくて呆然としていた



このままじゃしうちゃんが死んじゃう・・・


俺の姿が見えるレイの事を思い出して

「レイ!!!!!助けてくれ~!!!!」と叫んでいた


気づくと俺はレイの目の前に立っていた


びっくりした顔のレイに縋りつくように助けを請うた

「しうちゃんが・・・手首切った・・・出血が多くて

早く助けて!!!!死んじゃう!!!!!こんな死に方はダメなんだよ~!!!!」


レイは俺の声も聞こえたようで、

救急車を要請しながらしうちゃんの部屋に駆けつけてくれた


救急搬送されて手首の処置もしてもらい

薬で眠っているしうちゃんの横で俺とレイは話をしていた


「シウミンが死んだらルハンの元に行けるんでしょ?

なんであんなに泣き叫んでいたの? 助かったのは良かったけど・・」


「確かにそう思うかもしれない・・でも自殺はダメなんだ

自殺は自分を殺すから・・・殺人になって・・・

あっちの世界で犯罪者扱いになるんだよ・・事故で死んだ俺とは

いる場所が違ってしまって・・・2度と会えなくなるんだ」


涙でぐちゃぐちゃになった俺の顔をじっと見て

レイは小さくため息をついた


「もう・・・仕方ないね・・・僕ふたりの通訳してあげるよ」


目が覚めたしうちゃんに

レイは俺の事を包み隠さず話してくれた

しうちゃんは泣きながら


「ずっと側にいてくれたんだね・・・ルハン・・ごめん・・

俺・・鈍感だから・・お前の気配感じられなくて・・・」

そう言って手を顔の前にあげた


俺はその手を掴んで・・もちろんすり抜けてしまったけど

包み込むようにして一緒に泣いた

しうちゃんの目が大きく見開いたと思ったら


「もしかして・・今・・ルハン俺の手を握ってる?」


「シウミン・・・分かるの?」


「なんか・・ここだけ暖かいの・・ルハンの愛が感じられる」


「もう死のうと考えちゃだめだよ・・ルハンはずっとシウミンの側にいるよ」


レイの言葉にしうちゃんは小さく頷いて優しくほほ笑んだ


しうちゃんが入院している間

病院の近くの公園に散歩に行ってみた・・・

これからどうしたらいいか・・・座り込んで考えを纏めようとしていたんだ


そしたら・・このくそ寒い中

ランニング姿でトレーニングしている男性を見かけた

こいつ・・何をやってんだ・・って見てたら


ばっちり目が合った


え? こいつもレイと同じで俺が見えるの?


男性は良く見ると凄くハンサムで体型もがっしりしている

筋肉質の体はムキムキと言うよりも細マッチョ系だ


そしてその男性は俺の顔を見るとニッコリとほほ笑んだ

喫茶 うたかた 番外編 ルハンside 後編

[喫茶 うたかた] 番外編 ルハンside 後編



俺は幽霊を初めて見た

今は自分が幽霊になっているのにも関わらず

初めての経験だった


病院近くの公園で知り合った筋トレに励む男性は

幽霊だった

あまりにも自然に周囲に溶け込んでいて

まったく気づかなかった


そいつはハンギョンと言って俺と同じく

この世に恋人がいて未練から成仏できずにいるそうだ


正確には一度成仏してあの世に行ったけど

恋人との約束で秋夕に会いに来てから

あの世に帰れずに恋人のそばにいるそうだ

恋人が離してくれないってにやけ顔で言っている・・・マジか?




「なんで筋トレしてんですか? 幽霊だから関係ないでしょ?」

俺が呆れたように言うと


「あれ? 君知らないの? 筋トレというかパワートレーニングをして

レベルを上げると、いろいろ出来るようになるんだよ」



意味が分からない・・いろいろって何だ?


怪訝そうな顔をしている俺を見て

ハンギョンは小さく笑った・・・

その仕草が俳優みたいで何かカッコいい・・・

でもムカつく



「君・・ルハンくんだっけ? 知らないようだから教えてあげる

レベルが上がれば、ものを動かしたり空間を操作したり

鏡に映って人間と話す事も出来るんだ」



ええええええええええ!!!!!!!!



「君の大事な人と鏡越しに話できるんだよ」


俺がびっくりして目を見開いていると

ハンギョンが俺の反応に楽しそうに笑う


「もうひとつ大事な事・・・パワーアップすると

実体化が可能になる・・・

実体化できる時間はトレーニング次第だな」


そう言うと俺の耳元に顔を近づけて

「実体化できればもちろん・・・

君の恋人とsexも出来るよ」と囁いた



え?

え?

今こいつ何て言った?

パワーアップすると実体化できて

実体化すると恋人とsexができる・・・・



ええええええええええええええ????????


パワトレすれば

しうちゃんとエッチできるの?????


あああ~神様~!!!!!ありがとうございますっ!!!!!

俺っ成仏しなくて良かった!!!!!!!



「ハンギョンさん!!!!!弟子にしてください!!!!!

俺!!!!!!しうちゃんとのエッチのためなら何でもします!!!!」



そして俺はハンギョンの指導の元

必死でパワトレを教わった

映画でロッキーが

ロシアの選手と戦うために山籠もりする・・・

あんな感じで死にそうな位頑張った・・・


ハンギョンと違ってまだ完全ではないけど

秋夕の期間は霊力が増幅されるから

俺でも実体化できそうだと教わり

パワトレを欠かさず秋夕を指折り数えて待っていた


その前にものを動かしたりする事は出来たので

俺たちの店でしうちゃんにちょっかいを出す輩に

恐怖体験をさせる事は出来るようになった



そして秋夕・・・・


俺の腕の中で愛するしうちゃんが眠っている


俺が死んで1年ちょっと・・・

本当に久々のしうちゃんの感触に

感極まって泣きっぱなしだった・・・俺もしうちゃんも・・・

初めて結ばれた時のように泣きながら腰を動かしていた俺・・・

ずいぶん間抜けな情事だけど・・でもいいんだ


死んで幽霊になった状態での愛の行為は今までとは違っていた

2人の体が重なると心・・そう魂までが溶け合って

全てが融合して・・・2人が完全に一つになった

その感覚が気持ちよくて俺としうちゃんは「ひとつ」なんだと

あらためて実感できた


しうちゃんと愛し合う事が出来

鏡を利用しての会話も出来

しうちゃんも俺の気配を感じる事が出来るようになった


もう一生そばにいられる

後はしうちゃんの寿命が来て

一緒にあの世に旅立つ日が来るのを待つだけだ


ただ

あまりにも可愛い俺のしうちゃんに

懸想をしやがる輩が時々出て来るので

そいつらを懲らしめていたら

「喫茶 うたかた」は

心霊スポットとして有名になってしまった


それだけは想定外だった・・・


これからも俺はしうちゃんを守るために

しうちゃんの側を離れないよ!!!!!!!!!





おしまい

くだらなくてすみませんでした・・・

いつもありがとうございます

喫茶 うたかた

お付き合いいただきありがとうございます

うたかた=あぶく の意味なので儚いイメージにしたかったのに
今回もうまくいきませんでした・・・すみません・・・

以前ハンチョル話を書いていた時に(桃源郷)
パワトレしたハン様がヒチョルのために実体化する・・
そういうシーンがあったのを思い出して
今回のルハンさんの特訓に生かしてもらいました

次の話は私にしては掟破りの「カイド」です
お友達にカイドの悲恋を書いてほしいとリクエストされてましたが
なかなか時間もなく・・・だったのですけど
(シウミン君の相手がルハン以外だと絶対にダメなんですが)
他のメンバー同士だからなんとかなりました

でも悲恋じゃなかったですね・・・ただの可愛そうな話になってしまいました

文才のなさが非常に悔やまれてなりません

プラネットより愛を込めて 
に出演中のカイとギョンスの話となります

プラネットをまだ読んでない方は
先に読まれた方が分かりやすいと思います

一番大事な人 カイド編

[一番大事な人] プラネット番外編 カイド




ルーハンが珍しく風邪をひいて寝込んだ

いつもならシウミン少佐の屋敷に入り浸り状態だったが

シウミン少佐は海外任務があって

(某国での国際会議に首相のブレーンに紛れ込んでの情報活動)

その間クリスの屋敷に戻ってきている間に熱を出したのだ




「ルーハン・・お粥できたけど・・食べられる?」

ギョンスが声をかけるが、ぐったりとして返事もしない


いつも あーだこーだと口うるさいルーハンが静かだと

返って不気味な感じがする・・・・


「ルーハン・・・こんなに弱った姿初めて見るよ・・

いつもヒマワリの様に明るく元気だからね・・・

ルーハンにはこんな姿似合わないよ・・・」


頭の上の氷嚢を取換えながら、ギョンスは小さく囁いた

今では遥か昔のように感じるけど(実際には十年も経っていない)

ルーハン達と出会った当時をぼんやりと思い出す

あの時は自分とカイはどん底な生活をしていたっけ・・・



ギョンスとカイは同じ養護施設で育った

事故で両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされた揚句

養護施設に預けられたギョンスと

若い母親の育児放棄のあげく

餓死寸前の所を助けられて施設に来たカイ

2人は元々歳も近く大人しい性格だったので

気づくと一緒にいる事が多かった・・・

施設内での揉め事や暴力ごとがあっても

部屋の隅で抱き合って

嵐が過ぎるのをじっと待つような子供だった


10年もの間2人は寄り添って施設の中でひっそりと暮らしていた


施設には18歳までしかいられない

高校の卒業と共に施設を出て自立しなくてはならない

カイの2歳上のギョンスが工場に就職し

寮生活を送る事が決まった


施設で迎えた最後の夜に

カイはギョンスにしがみついて離れない

「行っちゃいやだ・・・」と泣き続けるカイに

「置いていくわけじゃないよ・・頑張ってお金貯めるんだ

それまで待ってて」と

ギョンスがカイの頭を優しくなでていた


「お金をためて・・・一緒に暮らそう」

この頃はまだ2人はお互いの孤独さを埋めるために

相手を必要としていた・・・

孤独な魂同士が寄り添う・・・そんな感じだった


就職して最初の頃は休みの度に施設に来てくれたギョンスが

ある時から突然に連絡をくれなくなった

不安に思ったカイが

ギョンスの工場や寮に行っても会えない日が続く・・・


何度も様子を見に来るカイを

気の毒に思った同僚が

「今は寮に住んでない・・工場長の家にいるよ」と教えてくれた


絶対に俺から聞いたと言わないでくれ・・と何度も念を押した同僚の様子から

カイは何かが起きていると感じ取って

教わった工場長の家に向かった



時間は夜の8時を過ぎ周囲は暗くなっている

真っ暗な中カイはじっと待っていた

工場長の家は一軒家だったが明かりがついてなく

他に誰も住んでいる様子がなかった

カイは庭の陰に隠れてひたすら待った

待ちすぎて時間の感覚がなくなりかけた頃

小型の車が駐車場に到着した


腕をつかまれたギョンスが

中年の小太りの男性と共に降りてきて、家の中に入って行った

久々に見たギョンスは頬がこけてやつれた様子が見える


しばらく様子をうかがっていたカイは

2階のベランダの横の窓が少し開いている事に気づき

そこから中に侵入する事ができた



家の中で明かりがついているのは、リビングだけだった

だから2人がそこにいるのは一目瞭然で

カイは迷うことなく明かりを頼りに階段を下りていく

すると・・そこにはカイの想像を超える風景が広がっていた



豚がいた

肥えて薄汚い肉の塊が何かに覆いかぶさっている

カイが豚と思ったのは裸の工場長で

その工場長の下に組み敷かれていたのはギョンスだったのだ


ギョンスの瞳は何も映していないように生気を失って

体には殴られたような傷跡が垣間見える


カイは瞬時に何が起きているのかを理解した

そしてこみあげてくる涙を堪えるように深呼吸をひとつする・・・


周囲を見回すと自分のいる階段の横にキッチンが見えた

足音を忍ばせてキッチンに向かうとそこから包丁を探し出す


「ヒョン・・・俺の大事なギョンスヒョン・・今助けてあげるからね」

包丁を両手で握りしめると

ギョンスに向かって

腰を振り続けている男の背中に刃を突き刺した

贅肉が邪魔して中々深くは刺さらない

驚いた男はギョンスから体を離し

ものすごい形相で振り返った

その拍子にギョンスを突いていた男の

ぬめぬめした下半身が露わになって

それを目にしたカイの怒りが爆発した





身支度を済ませたギョンスと返り血を浴びたままのカイは

2人で手をつないだまま夜の街を逃走していた

2人は寮にも施設にも戻ることなく

そのまま男の家から持ち出した現金と共に

裏社会に逃げ込む事になった


数日後のニュースで男の死亡を知り

2人は真っ当な社会では生きていけないと覚悟を決めた

施設にいた時のように裏社会でも

2人はひっそりと寄り添って暮らしていたのだった


盗難品を横流しするルートを求めていたクリスと

そういう組織のパシリをしていたカイがたまたま知り合った

いろんな偶然が重なってカイとギョンスはクリス達の仲間になる


初めてルーハンと会った時に

彼はギョンスの話しを聞いて泣いた

同情とかではなく怒りの涙だった


そして工場長の死因を調べて

カイが犯人じゃない事を立証してくれた

(カイが刺しただけでは死んではいなかった。

幼児虐待の発覚を恐れた本人がピストルで自殺していた

その事実を2人は知らず自分達が殺したと思い込んでいた)


ギョンスは人生って不思議だな・・・としみじみと感じる

あのまま裏社会で暮らしていたら・・今頃どうなっていたんだろう・・・

組織のチンピラなんて捨て駒だから2人とも生きていないか・・・


「しうちゃん・・・」

ルーハンが寝言で愛する人の名前を呟く

「本当にルーハンの頭の中は少佐しかいないんだね・・・

少佐が一番大事な人なんだね・・・・」

ギョンスはルーハンの頭を優しく撫でると小さくほほ笑んだ

「僕も・・・カイの事しかないから・・同じだけどね」


ずっと弟だと思っていたカイ

その彼が自分が犯されていた時、捨て身で助けてくれた

自分を助けるためなら殺人も厭わない決心を知った時

ギョンスの気持ちも弟から大事な人へと変って行った



トントン


ノックの音に物思いに耽っていたギョンスが我に返った


「ルーハン・・・大丈夫か?」

空港からそのまま駆けつけてきた姿のシウミンが

カイと一緒に部屋に入ってきた


「少佐・・・どうして?」

体調を崩したルーハンはシウミンの仕事の支障になるからと

連絡はしないでくれとギョンスに言っていた


驚くギョンスにシウミンは

「タオからセフンに連絡あって、それで知った・・・

でも任務は無事に遂行してきたから大丈夫だ」と笑顔を向ける


コートを脱ぐと後ろのカイに預けて

ベットに眠るルーハンの頬に手を添える


「ギョンス・・・看病してくれてありがとう・・

こいつ我儘言わなかったか?」


想像よりも憔悴していたルーハンを見て

シウミンは辛そうに眉をひそめてから

愛おしそうにルーハンの唇にそっとキスをした

その感触にルーハンの瞳が静かに開く


「しうちゃん・・・仕事・・大丈夫?」

「ああ・・・もう終わったよ・・あとは側にいてやるよ」

熱でぼんやりしていたルーハンはその言葉を聞いてニッコリとほほ笑む


あっと言う間に2人の世界に入っていくルーハンとシウミンを見て

ギョンスは小さくほほ笑んだ

カイの手からシウミンのコートを取り上げると

近くにあったハンガーに吊るし、カイの腕を引っ張る



「後は少佐にお任せしていいんですね」

「ああ・・・ありがとうな・・」

「えっ・・・少佐・・ほとんど睡眠とってない・・・」


ガツッ・・・


何か言いかけたカイの足をギョンスが蹴飛ばした


「じゃあよろしくお願いします」と言い残して

ギョンスはカイを引っ張って部屋から出て行った




「ヒョン~痛いよ~なんで蹴っ飛ばすんだよ~」


「カイ・・・空気読んでよ・・・」


「?」


「ルーハンはずっとうわ言で『しうちゃん』って言ってたの」


カイはギョンスの言いたい事が分かって苦笑いをした

「本当にルーハンの頭の中は少佐しかいないんだね」


「うん・・僕と一緒」


ギョンスの言葉にカイは驚いて瞬きをした

「僕もカイしかいないよ・・・・僕の一番大事な人・・・」

「ギョンスヒョン・・・」


照れ屋のギョンスはあまり甘い言葉を言わない

ギョンスの気持ちは十分に分かっていても

言葉にして言われ慣れてないカイはフリーズ状態に陥ってしまう


何も言わないカイにギョンスは心配そうに下から見上げた

見上げた顔があまりにも可愛らしくてカイの心臓が爆発寸前となる


うわっ!!!!


カイはギョンスをお姫様抱っこすると

下ろせと暴れるのも構わずに屋敷の中を自室に向かって走る


「ヒョンが可愛い!!!今すぐギョンスを食べたい!!!」

その言葉にギョンスは恥ずかしそうに頬を染めて

カイの胸に顔をうずめた



ギョンスを抱き抱えたカイが廊下を走り去った後

リビングから人影が現れた



「クリス~しょーさ帰ってきたみたいだね」


「カイが空港まで迎えに行ったみたいだからな」


「るうちゃんの部屋に直接行ったのかな?」


タオがルーハンの部屋に行こうとするのに気づいたクリスが

「ば・・だめだ・・今行くな・・」と慌てて止める


「なんで~????タオもしょーさに会いたい~」

(今邪魔したらルーハンにぶっ殺されるぞ・・)

クリスは小さく舌打ちすると

この場をなんとか乗り切るために必死で思考を巡らせた



「あっ!!!!!この間お前が行きたがっていたケーキ屋!!!!

今日からスペシャルメニューが登場だそうだ!!!!

連れて行ってやるから食べに行こう!!!!」


「えーマジ???? やったぁ~!!!!クリス大好き!!!!!」


タオが大はしゃぎをする横で

クリスは小さく安堵のため息をついた・・・・







一番大事な人 ~シウミンside~

お久しぶりです

なかなか更新できずにすみません

もうすぐEXOくん達の日本でのライブが始まりますね

レイさんの不参加・・・
大陸でのお仕事の多忙さで不安に思っていたら・・・やはり・・

これでメンバー欠席がルハン、タオと続いて3回め・・・
ため息しかでません

私は東京ドームの土日しか参戦しませんが
全力でメンバーを応援したいと思います

前回のカイド編のシウミンsideの話をあげます

シウミン少佐・・・B型なんです・・関係ないけど(笑)











[一番大事な人] プラネット番外編~シウミンside~



「今回のミッションは少し時間をかけてでも慎重に行動する予定だ」


シウミンが部下のチェン、セフン、ベッキョン、チャニョルに向かって

小さく囁いた


ホテルの部屋に入るときに盗聴器の有無を確認し、それから5人で打合せをしている


今回の任務は、

国際会議に出席するプラネット国の首相のブレーンとして入国して

開催国のSМ国の情報を収集してくる事だった


最近のSM国はエイネ国と怪しい提携を結んでいるようで

プラネット国としては証拠になるものが欲しかったのだ


5人でそれぞれの役割分担を決めて

SM国の首相の愛人と噂されている女優の家から

証拠になりそうなデーターを探し出してくるという計画が練られた


国際会議にかかる日数は大体1週間位

今日からミッションに入って会議最終日までに出国をする・・・

お互いの役割を再確認している所に誰かの携帯がブルブルと震えた


「すみません」

セフンが携帯の表示を見て眉間にしわを寄せた

シウミンの方に向けると「タオ」と表示されているのが見える


「ここで良いから出ろ」


「はい・・」


セフンが電話に出ると能天気なタオの声が漏れ聞こえてきた

話の緊急性が全くなく、ただセフンの声が聞きたいという電話だった


クスっ・・・


作戦の再確認で緊張していた空気が一挙にゆるむ

シウミン少佐の苦笑にその場の部下達もほっと息を吐いた


『るうちゃん・・・鬼のかく乱って言うんだっけ?

珍しく高熱だして寝てるんだよ~

しょーさに言わないでって、みんな口止めされてんだけど・・

あっセフナに言っちゃった・・セフナ聞かなかったことにしてね』



シウミンの顔がホンの少し歪んだ


るうちゃん・・高熱・・口止め・・・


電話口からもれ聞こえた単語にルーハンの現状が推測され

シウミンは眉間にしわを寄せて何かを考え込んでいる


セフンがタオからの電話を切ると

シウミンが皆の顔を見つめて口を開いた


「事情が変わった・・・お前達には悪いが作戦は変更だ

プロジェクトXで行く・・・フォロー頼む」



プロジェクトX


それを聞いた部下達は一瞬息をのんだ


X計画のXはxiuminの頭文字をとったもの

シウミン少佐が自ら動く作戦だ


最後の手段として使われるこの作戦を最初から使うなんて・・・

部下のだれもが驚きを隠せずに少佐を見つめていると

「今日明日で片をつける・・・

チャニョルとベッキョンは今から俺のアリバイ作りをしてくれ」


「明日の最終便で戻るから

航空機のチケットも手配しておいてくれ・・JAL便がいいな」


「はい・・・」


「俺は今から首相の所に行って明日帰ると伝えてくる」

そう言い残してシウミンは部屋から出て行った・・・・



「おい・・セフン・・さっきのタオの電話なんだったんだ?

俺の所には良く聞こえなかったけど・・作戦を変更させる何か起きたのか?」


ベッキョンが不思議そうに聞いてくる


「タオの話では、ルーハンさんが珍しく高熱を出して寝込んでいて、

少佐には黙っててくれと周囲は口止めされているそうです」


「それで・・即効帰国するのにX計画に変更したんだぁ~」

チャニョルが大きな目を興味深そうにくりくりしながら

納得したようにうなづく


チェンが自分のカバンから札束を取り出してベッキョンに渡す


「はい・・軍資金です・・領収書できれば欲しいですね」


「ベク・・何この金・・・」


「今から俺は少佐になって夜の街に出没すんの!!!!!

そしてお前は能天気な部下Aとして写真をSNSに挙げまくるんだ」


「2人はそのまま休暇とって

国際会議の最終日まで戻ってこないでください」


「了解!!!!お前らはどうするんだ?」


「少佐の行動次第で、どうなるか分かりません・・・

全面フォローに入るけど・・・」

セフンがそう言って口を閉ざした・・・


「今回の任務は大したことないから大丈夫だよ・・・少佐が捕まる事ないよ」

チェンがそう言ってセフンの肩を軽く叩く


「それにあの人・・・ルーハンさんが心配だから作戦を変更したんだろう?

と言う事は、何が何でも成功させて帰ってくるよ」


ベッキョンが笑顔で言うと隣のチャニョルが顔を曇らせて


「何がなんでもって・・・俺の事を救出した時のように・・・

建物から車から破壊してまでも任務を遂行させるって事か・・」


「そうなんです・・・それがX計画の怖いところです・・・

僕達のフォローは、

それをどこの国がやったか分からないようにすることなんです」


セフンが大きなため息をつく


ややテンションが下がり気味の3人を見回りしてチェンが口を開いた


「でもさ・・少佐は変ったよ・・・以前なら僕達の命を助けるためなら

自分の命は捨てても構わない人だったけど・・・今違うじゃん・・・

部下の命は必ず守ってくれるけど・・自分も生きて帰ろうって・・・

これもすべてルーハンさんと知り合ってからだよね」



たしかに以前の少佐は自分に無頓着な所があった

任務が成功すれば自分の命さえ惜しいと思わない人だった


でも今は違う・・・

最善の事態まで行って無理な時は「勇気ある撤退」の出来る人になった



少佐に一番大事な人が出来たから・・・



シウミン少佐とチェン、セフンは

首相の愛人宅から必要なデーターを盗み出すことに成功し

翌日の最終便でプラネット国に帰ることができた


ベッキョンとチャニョルは欧州経由で国際会議の最終日に帰国した


今回のX計画で破壊されたものは

首相が愛人宅に置いておいた高級車2台

それもセフンが用意した過激派の声明文をマスコミに送付することによって

犯人は過激派グループと言う事で納まった






「それでルーハンさんの具合はどうなんですか?」


チェンはおしゃれなカフェテラスで隣に座っているレイに訊ねる

当初の予定よりも早く帰国したので、予定外の休暇が取れる事になった

久々に2人でご飯が食べたいとレイの希望で、待ち合わせをしたのだった


「んー今回は結構しんどそうだったけど・・・少佐が帰って来てから

どんどん回復してきたよ」


「少佐・・看病してるんですか?」


「もうねぇ~甘甘の2人を見ててお砂糖吐きそう・・・・

ずーっといちゃいちゃしてる・・・また2人の絆は強固なものになったみたいだね」


チェンは偶然に見てしまったシウミン少佐の甘えた顔を思い出した

ルーハンにだけ見せる、部下達は知らない可愛い少佐の姿・・

いつもの姿からは想像できない彼氏臭ぷんぷんのルーハン・・・・

幸せそうな2人の姿を見ると、自分も幸せな気分になるから不思議だと

チェンは小さくほほ笑んだ



「神様っているんですね・・・必要な人の所に必要な人を宛がってくれて」


「ふふふ・・そうだね・・・僕にはチェンが必要・・・神様が会わせてくれたよ」


レイのえくぼの浮かぶ笑顔を見つめて

チェンもまた嬉しそうに頷いた

「そうですね・・・僕にもレイさんは必要です・・・」

レイもまたチェンにとって一番大事な人なのだ





おわり

一番大事な人 ~るーみん編~

前回あげたシウミンsideは

正確にはシウミン「部下」sideになってました~すみません・・


シウミン君のドラマがすっごく可愛くて

ピエロが可愛くて・・・シウミン君の存在が可愛くて

もう胸が痛い・・・何故か涙が出ます←

私でこうなのだから大陸の鹿さんは悶え死んでますね・・多分・・


今回はるーみん編ですが正確にはルーハンsideです




[一番大事な人] るーみん編



俺・・・珍しく熱を出した

俺・・顔も頭もスタイルも人より抜き出てるけど

なんと体も丈夫だったんだよね~風邪なんてほとんど引かないし・・


でも今回海外任務のしうちゃんを見送った後

久々にクリスの屋敷に戻ってきたら

体に力が入らなく頭もふらふらして・・・

おかしいな・・と感じた時には

ベットから起き上がる事も出来なかったんだ


ギョンスが看病してくれたんだけど

しうちゃんの仕事が海外での情報収集だから

絶対に教えないでって周囲に頼み込んだ・・・


しうちゃんの事だから、俺よりも仕事を優先するに決まってるけど

少しでも俺の事を気にかけてくれて任務に支障が起きたら大変だもん

俺だって、しうちゃんの仕事の大変さは良く理解しているつもり・・・


失敗して命がなくなる可能性もあるわけだし・・・


俺たちが出会ったのだって、

タオを救出に行った時に同じ部屋に監禁されて

拷問を受けていたのが、しうちゃんだった


しうちゃんに一目ぼれして、タオよりもしうちゃん救出に全力を注いだ程

昔からモテモテだった俺は自分から恋する事もなく大人になっていた

そして、しうちゃんに会って初めて恋を知ったんだ



国防省情報部の少佐「氷のシウミン」をおとすのは大変だった

それでも俺の「初恋」だったし「運命の人」だと直感したから

飾ることもなく素のままの自分で誠意を示し続けていた


しうちゃんの俺に対する姿勢が塩対応すぎて

自分がマゾなんじゃないかって疑っちゃった位だ

でもレイ達に言わせると、

しうちゃん限定でマゾ決定らしい・・不本意だけどさ


誠意を示し続けたおかげで、しうちゃんがやっと俺に心を開いてくれて

お互いに愛し合っている事が分かった時は天にも昇る気分だったよ



ああ・・・昔の事を思い出してたらしうちゃんに会いたくなってきた

でも今回の任務は一週間はかかるって言われてたから

しうちゃんが戻ってくるまでには治さないと・・・


あと何日だ? 俺が寝込んでから何日過ぎたんだ?

頭の中がぼんやりして考えがまとまらねぇ・・・

まぶたが重くなってきた・・・薬が効いてきたのかな?




おかしいな・・・薬飲んでも熱さがんねぇ・・・・

クリスが呼んだ医者は風邪だって言ったのに・・藪医者だったのか?

瞼を閉じながら心の中で医者に向かって悪態をついた


体中がだるくてギョンスの呼びかけにも答える気になれない


しうちゃん・・・しうちゃん・・・会いたいよ・・・

会いたくて涙が出そう・・・でも我慢する・・・

俺頑張ってんだよ・・しうちゃん帰ってきたら俺の事・・褒めてね




頭がひんやりする・・ギョンスが氷嚢代えてくれたのかな・・

ちょっと気持ちいい・・・

ギョンスが誰かと話をしている・・カイ?

誰かがの俺の頬に手を当てた・・



え?

俺知ってるこの手・・

まさか・・・


次に唇に柔らかい感触を感じた・・・

この口づけ知ってる

ぼんやりと目をあけると

会いたくて会いたくて泣きそうな位

愛しい人の顔が目の前にあった



「しうちゃん・・仕事・・大丈夫?」

俺がかすれた声で聞くと


「ああ・・・もう終わったよ・・・あとは側にいてやるよ」と言ってほほ笑んだ

しうちゃんだ・・・しうちゃんがいる・・・

熱で衰弱していた体と精神のために

いつもより涙腺が緩んでいるようだ・・・

俺の目から涙がぽろぽろとあふれて止まらなくなっている



しうちゃんは困ったような顔をして

俺の頬を伝う涙を親指でぬぐってくれた


ギョンスとカイが部屋から出ていくと

スーツを俺の部屋着に着替えたしうちゃんがベットの横にやってきた

俺の方が背が高いからスエットが少し大きくて袖があまってる・・・

袖口から指がちょこんと見えてる・・・ああ・・超かわいい


「しうちゃん・・・風邪うつるから駄目だよ・・」


「俺は鍛えているから大丈夫だ・・そんな軟じゃない」

そう言ってベットの中に入って来て俺を抱きしめてくれた


いつもは俺がしうちゃんを胸の中に抱きしめて過ごしているから

今日はいつもと逆になってる


しうちゃんが俺の頭をなでながら優しく歌を歌ってくれた

いつもは俺が歌ってあげている俺の国の子守唄

すっかり覚えたしうちゃんが俺のために歌ってくれている・・・

ああ・・なんか胸が熱くなって涙が出てきそうだ・・・


俺はしうちゃんの肌のぬくもりと

しうちゃんの匂いに包まれながら熟睡することができた




俺は久々に夢を見た

しうちゃんと俺と仲間たちで南の国でバカンスしている夢

しうちゃんの部下達ものんびり楽しそうに過ごしている

しうちゃんは俺の好みの可愛いミニちゃんの風貌で隣でほほ笑んでいる

俺はもうそれだけで嬉しくて涙が出そう・・いや実際に泣いてしまっていた



「ルーハン・・ルーハン・・どうした?」


しうちゃんの声がして体が揺すられて目が覚めた

目を開けると心配そうにのぞきこんでいるしうちゃんの顔があった


自分が泣いていたのに気づいて手で涙をぬぐうと

「悪い夢でも見たのか?」としうちゃんが声をかける


「違う・・・しうちゃんが俺の横にいてくれる・・嬉しくて涙でたんだ」


俺の言わんとすることが分からずに首をかしげたしうちゃんに

俺は抱きついてキスをする


「おはよう・・・しうちゃん・・愛してる」


しうちゃんは優しくほほ笑むと

「おはよう・・・熱は下がったみたいだな」と俺のおでこにキスをしてくれた


俺・・知ってるよ・・・しうちゃんは中々「愛している」って言ってくれないのを

いつも俺からしか言わないから時々不安にもなるけど

しうちゃんのその瞳を見れば心の中なんて丸見え・・・

俺への愛があふれているのが、ちゃんと分かるんだ



「腹減ってないか? ギョンスが作ってくれたお粥あるぞ・・・」


「お腹すいたかも・・でもお粥の前にしうちゃんが食べたい」


俺の言葉にクスっと笑ったしうちゃんは

「とりあえず先にお粥を食って体力取り戻せ・・・」と言って

俺の顔をじっと見つめてから耳元に

「しばらく休暇だから・・いくらでも食べさせてやるから」と囁いた



その一言が俺にとってどんな抗生剤よりも効き目ばっちりで

もうその夜には元気とりもどして完全復活してやった


クリスやレイ達は驚くよりも呆れた顔をしていたけど

でもそんなの気にしない

夕飯の後のデザートとして

しうちゃんを食べさせてもらうんだから


そしてたっぷり愛し合った後

しうちゃんを胸にしっかり抱きしめながら まどろんでいると

「ハニ・・もう大丈夫なのか」と上目使いで聞いてくる

「うん・・しうちゃん補充したから完全復活したよ」

「もう心配かけんなよ・・・お前は俺にとって一番大事なんだから」


え?????

しうちゃん・・・今なんて言ったの????

あまり言ってくれない言葉に真顔で見つめかえしたら

しうちゃんは頬を染めて俺の胸に顔を擦りつけた


一番大事って言ったよね

俺の聞き間違いじゃないよね

分かっていても言葉にして言われると凄く嬉しい


「しうちゃん・・・・ありがとう・・・

俺にとってもしうちゃんが一番大事な人だよ」

「・・・・・・」

「しうちゃん・・・絶対に離れないからね・・離さないから覚悟してね」

「そんなの知ってる・・・覚悟してる・・・」

そう言うと

ものすごく恥ずかしそうに俺の顔を見てほほ笑んだ



俺の一番大事な人・・・・世界で一番カッコよくて可愛いんだ




おしまい



シウミンくん・・・・カッコよくて可愛い最強兵器です・・・もうすぐ福岡にくるんですね・・・
プロフィール

宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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