包子に惚れる 2

[包子に惚れる] 2


~ミンソク~


ミンソクが小学校五年生の時に父親が亡くなった

ミンソクの父親は大道芸人でピエロをしていた


子供たちの施設の慰問やイベントでの活動が主で

収入的にも苦しいものがあったと思う

ミンソクと妹そして両親の四人が食べていくには

贅沢しなくてもぎりぎりだったのかもしれない

そんな時に父親が急死する


その日も子供たちを集め

広い公園のイベントスペースでピエロの芸を披露していた

そこに暴走する車が突っ込んできて

子供たちをかばった父親は車にはねられたのだった



ミンソクの母親はミンソクと妹を連れて自分の故郷に戻り

祖父母と同居して何とか食べていくことが出来た



ミンソクは思春期特有の潔癖さから

父親の大道芸人という仕事に理解を示さなかった

一番悔しかったのは

亡くなった父親の顔を思い浮かべようとすると

ピエロの化粧した顔しか浮かばない事だったからかもしれない


ピエロというものを忘れ去るようにして生活していたミンソクが

高校三年となり大学進学を控えていたある日

母親が古ぼけたカバンと一枚の写真をミンソクに渡した



それは父親が愛用していたピエロの道具の詰まったカバンと

ピエロに抱きついて最高の笑顔を見せている子供の写真だった


ピエロは父親で抱きついているのは小学校低学年の頃の自分

母親は何も言わなかったがその写真には愛があふれていた


そして今まで忘れようと蓋をしていた感情があふれ出てくる・・・



とうさん・・・

僕は・・父さんのピエロが大好きだった・・・

魔法みたいに色んな事ができる父さんが自慢だった・・・

そして僕はこんなにも父さんに愛されていたんだ・・・

写真のピエロは愛おしそうに自分を抱きしめている

ミンソクの瞳から涙があふれ出て止まらなくなった・・・・


父親の愛用していたピエログッズから

初心者向けのものをいくつか選び

写真と一緒にソウルに持ってきていた


独学ながらピエロの練習をして

バルーンアートなら出来るようになり

イベントなどで子供たちを喜ばせる位にはなれた


でも先日のオーディションに落ちてから

まだまだ修行が足りないと自覚して

空いている時間に空いている教室を拝借して

ピエロの練習をしていたのだった


今も練習をしていたら

乱暴にドアが開き

教室の中に転がり込んできた人物があった


このひと・・・サッカーの試合にでてた・・・ルハン・・・


あまりにも突然な出来ごとに

ミンソクは驚いたまま立ちつくしていた



~ルハン~



鍵が開いていたドアを開けて

夢中で逃げ込むと呆然とした顔のピエロが立っていた


へ?

なんでピエロがいるんだ?


ルハンも驚いてピエロの顔を見つめていると

廊下の方から自分を探している怒鳴り声が聞こえてきた


「うわっ!!!!まぢ殺される・・・」

ピエロが首をかしげてルハンを見つめているので


「ごめん・・俺見つかったらやばいんだ・・・

お願いかくまってくれる????」

そう言って教室の後ろの方の物陰に体を隠した


「ルハーン!!!!!!」

ルハンが隠れると同時にドアが激しく開けられた


「うわっ!!!!何? あんた?」


「ピエロ?」


「なんでピエロがいるのよ」


「ルハンいないの? あいつ何処に逃げやがった????」


綺麗に化粧もおしゃれもしていた女性達は

怒りにまかせて乱暴な口を聞いている


怒らせると本性が丸見えになるって・・・本当だなぁ・・

どんな美人でも怒った顔って醜いな・・・・


ルハンは物陰から怒りで不細工になっている女性たちを

他人事のように眺めていた


「ねぇ? あんた・・この部屋に金髪の男が入ってこなかった?」

ソヒョンが

自分達の目の前で小首をかしげているピエロに話しかけた


?????

ピエロは一言も口をきかず

オーバーなリアクションで知らないと答えた


「すっごいイケメンの軽そうな男なんだけどさ」

今度はユナが聞いてくる


ピエロは少し考えたようなポーズをしてから

パンッ!!!と手を打ってドアの向こうを指さし

それから走り去るマネをしてみせる


「あっちの方に走って行ったってこと?」

ピエロはその言葉に大きく頷き両手で丸をつくった


一言も話さないピエロを前にして

時間の無駄だと思ったのか

四人の女性達はピエロの指さした方角にむかって走って行った


パタン・・・・


ドアを閉めるとピエロのミンソクは疲れたというように

大きなゼスチャーでため息をはいた


「ごめん・・・助かったよ・・ありがとう」

奥の方からルハンがよつんばで

ハイハイしながらミンソクの前まで来る


「あーっ走ったせいでのど乾いちゃった」

ルハンがポツリと言うと

ミンソクはニコリとほほ笑んでペットボトルを取り出した


ルハンの目の前で

ガラスのコップにペットボトルの水を注ぐ


そのコップを

左手に持って右手で隠す動作をしてからルハンに渡した


「うわっ!!!!どうやったの?」

コップの水は常温から冷水になっていた


黙ったまま どうぞ!というゼスチャーで合図されると

ルハンはその水を美味しそうにごくごくと飲みほした


「美味しい~ありがとう・・お前すごいな」

ルハンがキラキラした瞳でミンソクを見つめる


「お前・・こんな所で自主練してんの? ひとりなの?

もしよかったら俺のサークルに入らない?」


キョトンとした顔のピエロにルハンは話を続ける


「俺さ・・・サークル立ち上げたの・・

何でもチャレンジしよう!!!!ってコンセプトでさ・・・

この貴重な青春時代を

何かにチャレンジするのもいいかなって」

「今・・ピエロだから声ださねぇんだろう?

お前もピエロに挑戦中なんだろう?」


ミンソクピエロは笑顔でうなづいた



ドキン・・・



ピエロのメイクをしているのにも関わらず

間近でみるメイクに隠された顔が

すごく可愛いくて好みだとルハンは気づいた


猫のような大きなつり目・・・

真っ赤な口紅に隠れされいるプリッとした唇


ルハンの心臓はドキドキと今にも破裂しそうだ


俺・・・どうしたんだろう・・何このドキドキ・・・

初めての経験にルハンは驚いて

醜態をさらさないようにと小さく深呼吸をする


あ・・その前に・・・確認しなきゃ・・


「!!!!!!!!!!!!」


ルハンは目の前のピエロを思いっきり正面から抱きしめた


「BOX 326 で待ってるから!!!!入部しにきてね~」



爽やかな笑顔を残して

ルハンは走り去って行った・・・・・


残されたミンソクピエロはへなへなとその場にうずくまる



数日前に見かけたルハンが目の前にいて

自分の事をサークルに誘ってくれた

あろうことか抱きしめられた・・・・

ルハンのコロンの香りがわずかに鼻に残っている


ミンソクの胸が何かに締め付けられるようだった

鼻の頭につけていた赤い飾りをとって

ピエロのメイクを落とす

鏡の中に見慣れた

地味で自信のないいつもの自分の姿を見つけ

ため息をひとつついた・・・・



続く
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12月です

12月も1週間過ぎてしまいました

いつも遊びにいらして下さる方々本当にありがとうございます
「包子に惚れる」 細々と頑張って書いてます
更新が遅くていつもすみません

もうすぐEXOくん達の新曲が出ますね
ルハンがダウンしたという情報があって・・・すごく心配です

今月すごく忙しいけど頑張ります
コメントやメッセージありがとうございます
すごく励みになります
自己満足で書いてますがメッセもらえると嬉しいです

早く続き書けよ・・・って話ですよね・・はい・・・頑張ります
2年前の大好きなシウミン君を貼って・・・逃げますwwwwww


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包子に惚れる 3

[包子に惚れる] 3


~ルハン~



あいつ・・・男だ・・・


ルハンは教室から飛び出すと

ドキドキする気持ちを抑えようとし

小さく息を吸うと一目散に部室に向かって

アスリートの様に夢中で走り出していた


ピエロを最初に見た時には女性かと思った

自分より少し小さい背丈、愛らしいしぐさ・・・


でも実際に正面から抱きしめたら・・・

女性にはあるべきものがなかった・・・胸だ・・・

それに男性としては華奢な体つきでも

女性にしたら肩幅が広く胸板が厚かった・・・・


あーっ!!!!!やべえっ!!!!!俺まぢ・・やべえ・・・


胸のドキドキが止まらない・・・抱きしめた感触が蘇る・・・


ルハンはモヤモヤした気持ちを持て余しながら空を仰ぐと

あーっ!!!!!!と一声叫んで部室棟に駆け込んだ



~ジョンデ~


ジョンデは今日も屋上に来ていた

元々人付き合いの良い性格だったので

すぐに話をする知人はクラスでも出来たが

自分がまだ音大の不合格を引きずっていた為に

1人でぼーっとする時間も欲しくて

気づくと屋上に来ていたのだった



売店で買ったカフェラテを一口飲んで

ぼんやりと景色を眺めていたら

どこからかギターの音色が聞こえてきた


え? このフレーズって・・・課題曲じゃん・・・

音大の課題曲・・・偶然でも誰が弾いてるんだろう・・・


ジョンデはギターの音色のする方を探して

ひとけのない屋上をウロウロとする


あ・・・


屋上の隅の方でギターを弾いている男性を見つけた


うわっ・・・美人・・・でも男だよな・・・・


ジョンデは男性の綺麗な顔を見つめて驚いた

顔だけ見ると女性のような可愛らしい顔

色白で優しそうな瞳は少したれ気味で可愛らしさを増し

楽しそうに口ずさみながらギターを弾いている

その口元には愛らしいエクボが浮かんで

その男性の美しさを際立てている


ジョンデは彼の顔に魅入られた様に

その場から動けないでいた




~レイ~



今日も会えないのかな・・・・僕のセイレーン・・・


レイは屋上で偶然耳にした旋律から曲を探し当てて

ギターで弾きながら自分も口ずさんでいた

ここでこの曲を弾いていれば探し人も気づいてくれるだろう・・・


~♪

レイの弾くギターに合わせて探していた声が聞こえてきた

レイは振り向くと自分のギターに合わせて歌っている男性にほほ笑む


「僕のセイレーン・・・やっと会う事ができたね・・・」




~ルハン~


「あーっ?????部室カギかかってないぞ?

レイがいない・・・・

あいつどこに行ったんだよ!!!!!!」

部室の中に入るとルハンはテーブルに突っ伏して頭を抱えた


さっきからずっと胸の動悸が止まらない

あのピエロの笑顔が頭から離れない

あの真っ赤な口紅の下に隠された

魅力的な唇が脳裏によみがえる


うわぁぁぁぁぁぁ

男だと分かっていてもその唇にkissをしたい・・

そう思った自分にルハンは戸惑いを隠せずにいた


「なんで男なんだよ~!!!!!!!」

ルハンがそう叫んで部室のテーブルをバンバンと叩いていると


「ちょっといいかな?」

開けっ放しの部室のドアの外側から声がかかる


「はい?」

見るとさっき書類を提出した学生課の職員が立っていた


「さっき言うの忘れたんだけど・・・・

新しくサークルを立ち上げるには最低4人の部員が必要なんだよね

この書類には2人の名前しか書いてないけど・・・・」


「え? 」


「同好会とか・・・部室を使わないサークルなら1人でもいいんだけど

部室を利用する・・

いわゆる大学公認のサークルになると最低4人は必要なんだけど」


ルハンは男性職員の言いたい事が分かって笑顔で即答する


「大丈夫です!!!!後で追加で書類持っていきます」


男性職員が去った後

ルハンは大きくため息をついた・・・・


「あと2人か・・・

女の子だったらいくらでも入ってくれそうなんだけど

レイとの約束で女の子禁止にしちゃったからなぁ・・・」


さっき勧誘したピエロの顔が頭をよぎった・・・

こんな事なら・・さっきちゃんと勧誘すればよかった・・・

ルハンは小さく後悔する



また会いたい・・・無意識にそう思っている事にルハンはまだ気づいていない


続く

包子に惚れる 4

[包子に惚れる] 4


~ミンソク~


ミンソクは部室棟の前で

中に入ろうとして、

一歩踏み出しては後戻りを何度も繰り返していた


あの日ルハンにサークルに勧誘されてから

ぐずぐすしている間に2週間が過ぎてしまっている


すぐに行けばよかったのに・・・今更行っても

どなたさまですか?

そんな対応を取られそうで二の足を踏んでいたのだった


今日ピエロの化粧してないし・・・誰だか分からないよね・・余計・・

どうしよう・・・・



地味で消極的な性格が自分でも嫌になる

ピエロを演じている時はそんな事ないのに・・・


すると

後ろから大きな声で騒いでいる男性の声がした


ミンソクはとっさに建物の陰に隠れて様子をうかがう

ルハンが中年の男性に向かって

必死に何かを訴えている姿があった


男性は笑顔でうなずきながらも

ずんずんと部室棟に入って行く

縋りつくようにルハンも男性の後を追っていく



あれ?

ルハンだ・・・どうしたんだろう・・・



「待って下さい!!!!部員はちゃんと4人確保しますから・・・

もう少し待って下さい!!!!!」


「約束の期限は過ぎてるんだよ・・・

部室を使いたいサークルが他もあるんだから

ちゃんと書類提出できないなら部室を明け渡してもらうから」


有無を言わさない勢いで男性はエレベーターに乗り込んだ

その後をルハンが必死で追いすがる


その様子を見ていたミンソクは急いで階段で3階まで先回りをした




~ルハン~


学生課の職員に部員4人を確保すると宣言したにも関わらず

自分の履修の事など雑務ですっかり忘れていたルハンは

とうとう職員に呼び出されて部室のあけ渡しを要求された


ルハンに空き部室を回してくれた高校の先輩は

ゼミ合宿で連絡が取れず・・・・

レイとの約束を破って女の子を勧誘しようとしたが

「そんな事したら絶交だからね」と言われ女の子も断念した


どうすれば部室を取られないで済むか

ルハンは頭の中を高速回転させながら思考をめぐらす

しかし職員の勢いに押し切られるようにして

部屋の前までたどり着いてしまった


「しつれいしまーす」

男性職員が部室のドアを開けると

中にはレイと知らない男性が

ギターの伴奏で楽しそうに歌っている所だった



はぁ?


ルハンがびっくりして立ちすくんでいると

レイが気づいて演奏をとめ

「この子ジョンデ・・今日から部員だよ」と紹介する


「キム・ジョンデです・・よろしくお願いします」

困ったような眉をもっとさげてジョンデは挨拶をした


「はあ・・どうも・・・」間の抜けた挨拶しかできないルハンに

男性職員は「3人いるのか・・・あと1人だな」と呟いた


その言葉にハッとして


「あと1人大丈夫です・・入部希望者がいます・・ぜったいにいます」

ルハンは大きな声で宣言する

男性職員は疑い深い表情でルハンの顔を睨みつけた



「あのぉ・・・」

部室の入口で睨みあっているルハンと職員の後ろから

かすかに小さい声が聞こえてきた

2人が振り向くと色白の小柄な男の子・・・

中学生にも見える学生が立っている



あっ!!!!!


ルハンは瞬時に彼があの時のピエロだと気づいた


「この子!!!!入部希望者です!!!!うちのサークルに入ります!!!」


「はぁ? 本当にそうか? お前・・こいつらのサークルに入る気か?」


2人にものすごい勢いで迫られて

男の子は一歩後ずさりをする


ルハンはまるで獲物を逃すまいとする豹のように

男の子の後ろに回ってその体をしっかりとホールドした


うわっ・・・

背中にルハンの感触を感じて真っ赤になったミンソクは


「あの・・・ここのサークルに・・

入部希望の・・・キム・ミンソクです」と

ものすごく小さい声で言った





「これで文句ないっしょ?」


ジョンデとミンソクの名前を書いた書類を男性に押しつけると

鬼の首を取ったかのようにほほ笑むルハン

学生課の職員は悔しそうにしながらも規則は規則だと

しぶしぶ帰って行った




男性職員が帰って行って

やれやれと椅子にすわったルハンに

「あのぉ・・・僕入部して・・良かったんですか?」

俯き加減でミンソクが小さい声で聞いてきた


「ミンソク・・だったっけ? あの時のピエロだよね~

あの時、助けてくれてありがとう・・そして今入部してくれてありがとう」

ルハンは最高の笑顔を見せてミンソクに握手を求める


うわぁ・・・小さくて可愛い手・・・俺の手にすっぽりと収まってしまう

ミンソクの手を、自分の両手で撫でまわしながら

ルハンはそんな事を考えていた



~レイ~


ルハンがさっきからデレデレしている・・・

幼馴染で付属中学からずっと一緒だったけど

こんなデレデレしたルハンは初めてみる


いろんな女の子にもてて

手当たり次第の付き合いしていたけど

どこか冷めた部分をもっていたルハン・・・


でも・・・この可愛い男の子を前に顔を崩しっぱなしだなぁ・・・


あれあれ

握手した手をどさくさにまぎれて握ったまま撫でまわしている・・

大丈夫かな・・・

レイはぼんやりとそんな事を考えながら

「助けてくれたって・・どうしたの?」とルハンに聞いてきた




~ジョンデ~


「いろんな事にチャレンジするサークル」

レイからそう聞いて入部を決めたけど

初めて会う代表のルハン? なんか凄く綺麗な人・・・軽そうだけど・・


レイもかなり美人で笑うとたれ目が余計に可愛くなる


そして代表の人に手を握られたまま固まっている彼・・・・

中学生にも見えるけど多分同じ1年生なんだろうな・・・

色白に一重の大きなつりあがった目が印象的で

赤くふっくらとした唇が

女の子の唇みたいで綺麗な印象を与えている


ええええ?


自分以外はものすごく「顔偏差値が高い」事に気づいたチェンは

チャレンジって・・・もしかして芸能プロのオーディションなのか?と

変に気をまわしてドキドキしていた



~ミンソク~


ルハンがデレデレした顔で

握手するつもりで差し出した手を握りしめたまま離してくれない

こともあろうか撫でまわしている・・・


え? 何これ?


不安そうにルハンの顔を見つめると

誰もを虜にしてしまう様な最高の笑顔を

自分に向けてくれた


先に部室にいた2人は呆れたような顔をしてルハンを見ている



これからどんな展開が自分を待ち受けているのか

ミンソクは不安に押しつぶされそうになっている・・・・・



続く

包子に惚れる 5

[包子に惚れる]  5


「さて・・・サークルとしても成立したので

今後の活動をざっくりと決めようか・・・」


大学側に公認サークルと認めてもらい

とりあえず1年間は部室も確保されたので

今後の活動方針を決めようと

ルハンによって3人は呼び出された



「いろんなことにチャレンジするサークルだけど

何がやりたい? 」


「うーん・・・僕はとりあえず曲が作りたい」

ルハンの問いにキーボードをいじりながらレイは答える


「ジョンデは? 」

ルハンに話を振られてジョンデは少し悩んで

「思い浮かばないので・・・何でも挑戦します」

困ったような顔をミンソクに向けた


「ミンソクは・・もう決まってるよ」


「へ?」


ルハンは戸惑うミンソクに笑顔を向ける


「ピエロやるんでしょ?」


まだ何も発言していないのにルハンは断言する


確かにピエロはやりたいけど・・・

人の意見も聞かないで決めつけるなんて・・・


ミンソクが何も言わないのでルハンは不思議そうな顔をする


「あのピエロ良かったよ・・・俺ミンソクのピエロ好きだな」


ルハンがミンソクのピエロの話をしようとした時に

ミンソクの顔を見ていたジョンデが思い切って口を開いた


「あの・・・ミンソク君って・・・

もしかして水原の華西小学校にいなかった?」


「!!」

ジョンデの発言にミンソクは驚いて声が出なかった


「僕・・・ジョンデだよ・・ナクタのジョンデだよ」


あーっ!!!!!!!!


ミンソクが突然大声を出して椅子から飛び上がる


「ナクタ~!!!!!ナクタだ~!!!!」


そして2人はしっかりと抱き合ってその場で大喜びをする

ルハンとレイは何が起きたのか理解できずに

唖然としたまま2人を見つめている


「2人は知り合い?」

レイが聞いてきたのでジョンデは嬉しそうに頷いた


「小学校の時に仲良かったです・・・ミンソクが引っ越しして

それ以来会ってなかったけど・・」


「小学校5年生の時に父親が亡くなって・・

祖父母の住む久里に引っ越したので・・・」


「あ・・・ミンソクのお父さん・・そうだったね・・・

ピエロやってたよね・・

僕もあの時の事故現場に兄さん達といたんだ」




人見知りの気のあったミンソクが

ジョンデと知り合いだった事がきっかけとなり

それまで緊張でガチガチだった気持ちが解けて

笑顔が見られるようになった


ルハンはその笑顔を見て「可愛い・・・」と再確認する

ミンソクの笑顔一つで

ルハンの心臓はバクバクと破裂寸前になる


やっべぇ・・・

何とかそれを笑顔で抑え込んだ


そしてサークルの発足祝いの飲み会を提案し

夕方に新村のマクチャン屋で集合する事になった



「かんぱーい!!!!!!」

安くて旨いと評判のマクチャン屋で

お酒の勢いも入り4人はすっかり打ち解け盛り上がった


「ねぇ・・この写真見て・・・」

一度家に戻ったジョンデが写真を持ってきていた


「何???集合写真だけど・・・」


「あーっ!!!!!やめろ~!!!!!見せるな~!!!!!」


写真の中身に気づいたミンソクが大きな声で叫んだ


ルハンはますます気になって

ジョンデから写真を受け取る・・・・


「この写真にミンソクいるんだよ・・・3年生の遠足の時の・・

僕の隣にいるのがミンソク」そういってクスクスと笑った


ジョンデの様子とミンソクの慌てぶりに

この写真に何か重大な事が隠されているのか・・と

ルハンはじっくりと検分し始める


ジョンデの姿はすぐにわかった・・・今と変わらない

ナクタ (ラクダ) と仇名が付いてたように

ラクダっぽい顔をしていた


でもその隣にいるのは・・・白くて丸くて・・・包子みたいな子

恥ずかしそうに笑っているその笑顔に

ルハンはミンソクの面影を見つけた


「ぱおず・・・みたい・・この可愛いの・・ミンソク?」


「ルハンすごーい!!!!

ミンソクはその当時「ぱおず」って呼ばれてたんだよ」


「やめろよ~!!!!もう包子じゃないからっ!!!!!」

少し拗ねた様に頬を膨らませたミンソク・・・


その顔を見たルハンは

もうどうしようもなくデレデレした顔でミンソクを見つめていた


「ルハン・・・顔が崩れているよ・・体中から好きがあふれている」


レイに耳打ちされても気にならない位

ルハンは体中からミンソク大好きオーラを出しまくっていた

ただ当の本人が恋に疎く

人の心の動きに鈍感だった為に気づかないでいる


「僕もルハンに負けないように

僕のセイレーンを僕だけの物にしなくちゃ」

酔ったレイは

えくぼの出る可愛らしい笑顔で凄い事を口にしていた



続く

包子に惚れる 6

[包子に惚れる] 6



「まだ走るの?」


「トレーニングは始まったばかりですよ」


「僕走るの嫌い~!!!!」


「お前ダンスやってたくせに体力ねぇなぁ」


「ルハンと違って体力バカじゃないもん」


「お前~!!!!バカって言ったなぁ!!!!!」


「きゃあ~やめてよ~!!!!背中突っつかないでよ~」


「うるせぇ~!!!!!!」


「じょんでぇ~助けて~」



大学のグランドの隅を

運動部に交じりながらコソコソと走っている集団があった

ミンソクを筆頭にレイ、ルハン、ジョンデの4人が

体力づくりのために走り込んでいた




この間の飲み会で

「ピエロを含む大道芸」に、とりあえず挑戦することになった


ピエロに詳しいミンソクによって

トレーニングのプログラムが考案され

大道芸は体力勝負だと言う事で

体力づくりの走り込みをしている


ルハンもレイも付属高校からの持ち上がりのため

知り合いもたくさんいて

今もグランドのあちこちから声をかけられていた


特にサッカー部で鳴らしたルハンは

サッカーやフットサル関連のサークルから今でも勧誘されている



「ルーハーン!!!!!何やってんだよ~俺らのサークル入ってよ」


「ルハーン!!!!コンパだけでもいいから顔だして~!!!!」


あちこちからの誘いも笑顔で軽く流していくルハン



ルハンって・・・・凄い人気なんだ・・・

先頭を走るミンソクは、ルハンの顔の広さに驚いていた


知り合ってばかりで

やたらとスキンシップが多くて驚いたけど

とろけそうな笑顔で自分に話しかけてくる姿に

いつもミンソクは見惚れてしまう・・・


本当にうれしそうに笑うんだなぁ・・・・


そのデレデレのぐずぐずの笑顔は

自分だけに向けられたものだと気づくこともなく

ルハンの笑顔に魅かれているミンソク・・・



今も先頭を走りながら後ろを振り返ると

予想通りにルハンのいつもの笑顔があった



思わず胸がきゅん・・と痛くなり


酸素を欲っして息苦しくなる


理由はわからない・・・


ミンソクは自分の頬が熱を持った事に気づいて

あわてて視線を前方に戻すと

「屋上まで走るから~そこで少し休憩するから頑張って」と

3人に声をかけ、1人ダッシュで建物の中に走って行った




可愛い

可愛い

可愛い


ルハンの頭の中はずっとその言葉しか出てこない

飲み会で少し酔っぱらって呂律が回らない姿も可愛かったし

今も汗を流しながら走っている後ろ姿も可愛い

自分と目が合った事で頬を赤らめて視線を外す所も

今どき女子でもいない位の純情さを醸し出して凄っごく可愛い


(それにジョンデから見せてもらった

昔の太っていた頃の写真

本人は嫌がっていたけど・・・

俺にとってみれば白くて柔らかそうで丸くて・・・

本当に食べてしまいそうな位愛らしかった)


ぱおず・・・ルハンはミンソクに聞こえないように小さく呟く


ミンソクの事を考えると幸せな気持ちになる

ミンソクの笑顔を見ると嬉しくて叫びそうになる


ああ・・・これが「恋」なのか・・・・初めて体験する・・・


ルハンは自分がミンソクに恋している事に気づいて

思わず顔が綻んでくる・・・


そして世界中の人達に向けて叫びたくなった


俺は!!!!!ミンソクが好きだ~!!!!!と・・・


しかしここでは知り合いが多すぎる

自分の恋心を知られたら何言われるか分からない・・・

俺の可愛いミンソクに興味でも持たれたらとんでもない!!!!!

思わず叫びそうになったルハンは

少しだけ残っていた理性を奮い立たせて

叫ぶのを思いとどまった


そして先に加速したミンソクを追いかけるように

走るスピードを速めて行った




「ジョンデ~あの人たち変だよ」

レイがバテバテの様子で横のジョンデに文句を言った


「ミンソクもサッカーやってたから体力ありますからね」

そう言ってジョンデは小さく笑う


「何がおかしいの~?」


「レイさん・・・ダンスが上手だそうですが

走るのは嫌いなんですね」


レイはダンスに関しては

体力のある方だと自分では思う


でも走る事は嫌いなのでもうバテバテになっている


好きな事と嫌いな事で体力のペース配分が全く違っているが

今までそんな事に気が付いていなかった


「だってぇ~嫌いなものは嫌いなんだもん」

口を尖らせて文句をいいながらも走る足は止めなかった


「僕が横にいますから体力づくりの走り込みは

ちゃんとやりましょうね」

ジョンデの笑顔にレイは嬉しくなって

「ジョンデは僕の専属トレーナーになってね」と

ジョンデの腕を掴むと自分の方に引っ張り

自分の手のひらにジョンデの手のひらを合わせて

手をつないでそのまま屋上に向かって走っていく



手を繋がれたジョンデは顔が真っ赤になっていて

自分でも自覚したのかレイより少し前を走り

そのままレイをひっぱる形で階段を駆け上がって行った




小休止の後

喜怒哀楽の表現練習や

個人個人のパフォーマンスの仕方を練習して

1日のスケジュールを終えた


最後にルハンが部員に報告をする


「今日から2週間後に大道芸のパフォーマンス大会があるんだ

1か月前にミンソクが個人で出ようとしてエントリー済みなんだけど

その大会にエントリー内容を変更して俺たち4人で出場するから」


「へ? 聞いてないよ~」

レイが文句を言うとルハンが意地悪そうな笑顔で答える


「うん今初めて教えたもん」


「え~あと2週間って・・・特訓してもピエロの芸は出来ないよ」


「僕もジャグリングとか・・自信ありません」

ジョンデも困った顔をしてミンソクを見る


「大道芸の大会だから・・・ピエロに限ったわけではないんだよ」

ミンソクが慌てて補足説明に入った


「今回は人前で芸を披露する・・という経験のために出場します。

レイとジョンデは自分の得意なもので構わないと思う

たとえばキーボードを弾いたりとか・・・・」


「歌は? ピエロに歌はダメか・・・」


「あまり声は出さないけど・・・でもパフォーマンスの紹介があってもいいよね」


「ルハンはどうするの? 1輪車とか乗るの?」


レイの質問にルハンはニヤリと笑い


「俺の得意なものやるよ~!!!!ピエロの化粧はするけど」

そう言うとカバンの中からサッカーボールを取りだした


そのボールを足で巧みに操り始める


「あ・・・フリースタイルフットボール・・・」

ミンソクがそう呟くと

残りの2人もルハンの華麗な足さばきに見とれている


ルハンの足は器用にリフティングを続けていく

ボールは体に吸いついたように上手に操られて地面に落ちることはない


「ルハン・・・凄いね」

ミンソクが瞳をキラキラさせてルハンを見つめている

その時ミンソクとルハンの視線が合った


ミンソク・・・可愛い・・・・

無心でボールを操っていたルハンに煩悩が目覚めた

その瞬間ボールは地面を転々と転がっていく



その様子を見ていたレイとジョンデは

ルハンを生かすも殺すもミンソク次第だと実感した



2週間後には人前で披露できるまで技を磨かなければならない

目標が出来たおかげで4人の練習にも熱が入って行った


続く

包子に惚れる 7

[包子に惚れる]  7


空が真っ青で雲ひとつない天気だった

太陽はキラキラと周囲の緑も輝きを放っている

夏がそこまで来ている・・・・

人々の気持ちも浮足立ってくるような

そんな季節になってきていた・・・



ミンソク達は

大道芸のパフォーマンス大会に出場するため

会場となっている弘大公園にやってきていた


公園の中央には特設ステージが設けてあって

カラフルな衣装をまとった出演者や

入場無料のパフォーマンスを見に来る客でごった返していた


「なんか凄い人数ですね・・・」

出演者の控えスペースになっているテントの下で

ジョンデが落ち着きなくきょろきょろと周囲を見回している


「みーんな出演者ってわけじゃなくて~お客さんもいるんでしょ?」

レイはいつもと変わらずマイペースぶりで

缶入りスープを飲んでいる


「今日は30組のエントリーだって・・・俺たちは20番だ」

ルハンも主催者側から渡された書類に目を通しながら

そわそわと落ち着かない


「今日の優勝者には賞金だけじゃなくて

テレビ出演のご褒美があるから・・・

だから気合いの入っている人が多いんだろうな・・・」

ピエロの化粧の終わったミンソクがジョンデに説明をする

いつも自信なさげな表情をしているが

ピエロの化粧をすると堂々とカッコよく変身する



ピエロのスイッチ入るとカッコよくなるなぁ・・・

可愛カッコいいかな? カッコ可愛いかな?


カッコが先でも可愛いが先でも

どーでもいいような事を考えながら

ルハンはミンソクを見つめていた

そしてお決まりのように端正な顔を崩してほほ笑む


そんなルハンの様子を呆れたようにレイは見つめ

「本当に好きな子には慎重になるものなのかな?

純情路線・・るうには似合わない」

隣のジョンデにだけ聞こえるように言った


「ルハンって・・・たらしから足洗って

今までの彼女達との連絡を切ったって・・本当ですか?」

ジョンデがレイにこっそりと聞いてくる


こそこそと2人だけが聞こえるように話をしているから

どんどんと座っている距離が近くなってきていた


「どうやらミンソクを本気で好きみたいだね・・・

今まで僕の見たことのない表情ばかりしているもん」


「振られた女性達って・・・どうしたんですか?」


「泣いて諦める子もいれば・・・復縁を迫る子もいたり

逆恨みする子もいるし・・・今まで大変だったよ」


ルハンの幼馴染でいつも近くにいるレイは

中学時代からそういう騒動に巻き込まれていたせいか

当時を思い出して心底嫌そうな顔をしている


ジョンデはレイの今までの苦労を思いやると

「大変だったんですね」と労いの言葉をレイにかけ

そしてルハンの方を振り返った



ミンソクに手伝ってもらって

ピエロのメイクをしているルハンは

本当に嬉しそうに笑っている

ルハンが笑うとミンソクも楽しそうに笑う


ジョンデは最初に見た時よりも

表情が明るくなっているミンソクを見て小さくほほ笑んだ

父親が亡くなって引っ越していく間

笑う事もなくなっていた昔のミンソクを思い出す


「ミンソクは笑っている方がいいね」

ジョンデの言葉に

「さっさと2人くっ付いちゃえばいいのに」とレイが答える




ミンソク達のパフォーマンスは

初めてにしては上出来だった

ジョンデは一輪車に乗りながらシャボン玉を飛ばしたし

レイはピエロの姿でキーボードで演奏をしてその場を盛り上げ

ルハンはフリースタイルフットボールで客席を沸かせ

ミンソクは子供たちをあっと言わせる様な

手品を交えたパフォーマンスを見せていた


今日の目標は

「人前でのパフォーマンス披露に慣れる」


目標は達成できたと4人は控えスペースにもどって

緊張から解放された表情でくつろいでいた


「あそこ失敗しちゃった・・・」

「前から3番目の子にすごくうけていたよな~」

「ミンソク~俺カッコよかった?」

「みんな初めてにしては堂々としてたね~」



優勝する気はさらさらなかったので

この後は反省会を兼ねた飲み会をしよう!!!!と

化粧を落としてさっさと着替え

帰り支度をしている4人の前に

突然人影が現れた


モデルかと思う位にスタイル抜群で綺麗な女性が

4人の前に腕を組んで仁王立ちをしていたのだ



続く

包子に惚れる 8

包子に惚れる 8


「やっぱりルハンだった」

綺麗な女性はルハンを睨みつけながら口をひらく

「お前・・・なんでここに?」

ルハンが驚きのあまり、固まったまま女性を見つめる


「あージウンだぁ~」

レイがやっと思い出したと言うように女性の名前を告げると


「ルハンの元彼女だよ~」と丁寧に補足説明をしてくれる

レイの声の方を向いて


「まあ・・レイまで巻き込んで・・・ルハン何やってんのよ」


「元彼女・・って歳が・・」

ジョンデがレイにだけ聞こえるように囁くと


「ルハンが中学生の時の家庭教師で

当時大学生だったかな?

ルハンの初Hの相手だよ」

レイの余計な説明に

隣のジョンデは耳を真っ赤にして俯いてしまう


「あのボールさばきが気になって

話を聞きに来たら知り合いだったとはねぇ」


ジウンの説明では

大学を卒業した後アナウンサーになり

今日はこのパフォーマンス大会の取材に来ていたそうだった


「お前とは別れて5年たつ・・今日はただの取材か?」

ルハンは元彼女とはいえ、

初体験の相手を前に少し動揺をしているようだ


2人のやりとりをミンソクはぼんやりと見ていた


さっきから胸がズキズキと痛んでくる

頭もガンガンと痛くなってくる・・・・

ドウシタンダロウ・・・・


「ルハンがまさか

こんなくだらない事してるなんて思わなかったわ

友達に誘われて

サークルで面白おかしくやってるだけなんでしょ?」


ジウンの

「くだらない事」

「面白おかしく」のキーワードが

ルハンの怒りに触れた


「お前さぁ・・・

大道芸の事そんな風に言って、

よく取材に来れたよな・・

やりたくなかった仕事なんだろう?」


怒りのこもった低い声にジウンは驚く・・・

初めて聞くルハンの低い声・・・


「ルハンだって今だけなんでしょ?

こんな仕事では将来食べていけないじゃない・・・」


ジウンの口から次々と出てくる

大道芸を卑下して見下したような言葉の数々


ルハンの怒りが爆発する前に

隣にいたミンソクが突然大きな声を張り上げた


「ピエロをバカにするなっ!!!!!」

突然の大声に驚いて皆がミンソクを見つめる


「ミンソク?・・・」ジョンデの声に

はっとしたミンソクが顔をあげると

その瞳は涙が溢れそうになっている

そして自分の荷物を抱えたまま

その場から走り去って行った



「ミンソク~!!!!!」

ルハンの声に振り向きもせず走っていく


「ジウン・・・てめえ・・よくもミンソクを泣かせたな

ぜってーお前の事ゆるさないからな・・

もう俺の前に顔出すんじゃねぇ!!!!!」


女性には優しいのが取り柄だったルハンから

初めて罵倒されたジウンは

衝撃のあまりその場に座り込んでしまった




「ミンソク!!!!待って!!!!」

サッカーで鍛えたルハンの足の方がミンソクに勝り

公園のはずれの雑木林の手前で追いついた

ルハンはミンソクの手を掴んでその場に座らせた


「ミンソク・・・ごめんな・・お前の事傷つけて」

ルハンが悲しそうな顔をして謝ってくる


ミンソクは黙ったまま顔をあげない


「あの女・・・俺の初体験の相手だけど・・

上から支配するような感じだったんだ・・昔から

もう出入り禁止にしたから・・

2度と現れないようにするから」


「ルハンも思ってるんでしょ?」

ミンソクが俯いたまま小さな声で言ってくる


「何が?」

「・・・・」

また黙ってしまったミンソクの言いたい事に気づいて

ルハンは優しい声で話しかけた


「俺さ・・・ガキの頃からサッカーが上手で・・

周囲の奴らの下手さに優越感もってた

すっごく嫌な奴だったんだよね」


「あまりにも自己中心的だったから・・・

ある時みんなから仲間はずれにされて

自分が悪いのに被害者意識もってしまい・・・

悪循環でクラスに溶け込めない時あってさ」


ルハンが昔話を始めたので

ミンソクが不思議そうに顔をあげる


「そんな俺を慰めて諭してくれたのが

近所の児童館で芸を見せていた

ピエロのおじさんだったんだ」


「よっぽど辛くて悲しい顔をしてたんだろうな・・・

パフォーマンスが終わった後

会場の隅でぼんやりしていた俺に話しかけてくれて

やさしくハグしながら諭してくれたんだ」

ミンソクがルハンの顔を見つめると

ルハンは今にも泣きそうだ


「おじさんのアドバイス通りに

自分の非を認めて

クラスの皆にあやまって・・・

無事に溶け込むことが出来たんだ」

「その後1年後にまた再会して

お礼は言ったんだけど・・・

その後はもう来なくなって・・・10年くらい会ってない」


「ルハン・・・」


「ピエロには俺思い入れがあるんだ」


「そのおじさんって・・・どんな感じだったの?」


「丸くてすごく優しい目をしていて・・・あっそう言えば

持っていたカバンにピエロの顔の絵が貼ってあった・・・

おじさんの子供が書いたって嬉しそうに教えてくれた」


カバンにピエロの絵が貼ってあった・・

その言葉を聞いた途端に

ミンソクの瞳が涙で溢れだして来た


「ミンソク? どうしたの?」

「それ・・・たぶん・・・僕のお父さん・・・」




~控室テント~


「あの・・・大丈夫ですか?」

その場にへたり込んでいるジウンに向かって

ジョンデが心配そうに声をかける

自分の味方になりそうな男性を見つけて

ジウンは気の強そうな顔を少し悲しげに作って

ジョンデの方を向いた

普通の男だったら、そこで手を伸ばすんだろう


ジョンデも手を伸ばしかけた所

「ダメっ!!!」

レイが大声を出してジョンデの腕を掴んだ


「僕知ってるんだよ・・・

ジウンがルハンの事食べちゃった理由」

ジウンはレイの顔を嫌そうに睨み付ける


「食べちゃった・・って?」

ジョンデの問いにレイも嫌そうな顔をして

ジウンを睨み付けた


「この人・・女子大生の時に友達と

「何人童貞をものにできるか」って

競ってたんだよ・・・」


「ええええええええええ?」


ジョンデが素っ頓狂な声を出してジウンを見つめた


「男子中学生なんて毎日発情してるようなもんでしょ

綺麗なお姉さんから誘われたら断れないでしょ」


「そして童貞奪ったらすぐにポイだよ」


ジウンはいつの間にか視線を地面に落として黙ったままだ



「ルハンはね・・・すごく傷ついたんだよ・・・

本当の恋を知る前に

身体だけ快感覚えてしまって・・・

それから来るもの拒まずでヤリまくってるよ・・・悲しい事に・・」


「もう・・・いいです・・・レイさん・・・」

ジョンデが興奮するレイを後ろから抱きしめた


「ルハンは今・・本当の恋をしてるんだ・・・・

中学生のするような初恋してるんだよ

あなたのせいで経験できなかった普通の恋をしてるの・・・

もう邪魔しないで!!!!!ルハンの前から消えてよ!!!!」


その場に座ったまま立てないジウンを置いて

レイはジョンデの手を引いてその場を離れた


「ミンソク達を探しに行きましょう・・」

ジョンデが優しく声をかけるとレイは小さく頷いた



(僕は・・昔ルハンの事で

女性全般を信用する事が出来なくなったんだ

その事がきっかけで・・・ゲイになったのかも知れない)

以前飲み会で「好きだ」と

告白された時に言っていた事を

ジョンデは思い出した



ルハンも傷ついたけど

一緒にいたレイも傷ついたんだ・・・

自分は男性と恋仲になる事はない・・・

そう思っていたけど

レイは・・・

この人とは一緒にいたい・・そう思える・・・不思議だな・・


ジョンデはレイの腕に

自分の腕をぎゅっと絡ませると

「さて・・ミンソクとルハンはどこにいるんでしょう~」と

レイに向かってほほ笑んだ


「見つからなかったら・・僕たち二人だけで打ち上げしようね」

レイが嬉しそうにジョンデに答える


とりあえず2人は公園の外れまで行ってみる事にした


続く

包子に惚れる Last

[包子に惚れる]  Last


「それ・・・たぶん・・・僕のお父さん・・・」


え?

ミンソクが自分のカバンから手帳を取り出して

その中に挟まっていた古い写真を取り出した


ピエロ姿の男性とそれにしがみつく小さい男の子・・



「そう・・・このおじさん・・俺の事を慰めてくれた人・・・

ミンソクのお父さん亡くなったって・・・だから・・そうか・・・

会えなくなったんだ・・・」


ルハンが写真を見つめながら呟く

その瞳には涙があふれている


「おれ・・あの時本当に寂しくて悲しくて・・・

でもどうしたら良いのか分からなくて・・

おじさんと出会ってなかったら

今の俺はいなかった・・・

サッカーも続けてなかったかもしれない」



仲間はずれにされ途方に暮れていたルハン・・

誰もが虜になってしまう魅力を持った彼の

小さい時の悲しい思い出・・


ミンソクの心がルハンへの愛おしさで溢れそうになった

黙ってルハンに抱きつくと


「今のルハンは凄く素敵だよ・・・僕は好きだよ・・・」

そして良く父親が自分にしてくれたように

やさしく背中をトントンと叩いた・・・


「ああ・・・ミンソク・・・おじさんと同じ・・」


涙があふれて止まらないルハンは

ミンソクをぎゅうっと抱きしめると

「初めて会った時から俺・・ミンソクが好きだ・・・

自分から好きになったのは・・ミンソクが初めてだ」と耳元でささやいた

ミンソクが驚いたように目を見開いてルハンを見つめる

その様子があまりも可愛らしくてルハンはほほ笑んだ


引き合うようにお互いの唇が近づき重なる

初々しくてとても優しい口づけに

ルハンの体全体に戦慄が走った


今まで味わったことのない感覚に戸惑いながらも

本当に好きな相手とのキスが

こんなにも感じるものなんだと初めて実感する


「今まで経験してきたキスやセックスなんて

比較にならないくらいだ・・・・

ミンソク・・・好きだ・・・大好きだよ・・」

ルハンはミンソクの耳元で何度も好きだと繰り返した


抱きしめられて幸せに感じるなんて・・・

何年振りだろう・・・

ミンソクはルハンの胸の中で幸せを実感する


2人で泣きながら何度もキスを繰り返し

ようやく落ち着いて

今はルハンに覆われるように優しく抱きしめられている


(父さん・・・父さんのおかげでルハンと繋がってる・・・

父さん・・・小さい時のルハンを救ってくれてありがとう・・・)


ミンソクは体の向きを変えると

ルハンの胸に幸せそうに顔を埋めた


心配したレイとジョンデが探しに来るまで

2人は公園のはずれでずっと抱き合っていた・・・・・





~6年後~


「うわぁ・・・何か取材陣がたくさんいてドキドキするなぁ」


ソウルのホテルの大広間に設置された記者会見会場を

控室からジョンデが覗いて目を見開いている


大学在学中にルハンは

「ルハン企画」という芸能事務所を設立した

当時はサークルの延長の様なもので

レイのダンスとジョンデの歌

ルハンのモデルの仕事を中心に活動をしていた


ミンソクは大学で数学の才能を開花し

ピエロの仕事よりも研究室での研究が主となり

大学院に進んで数学の研究を進めていた


ミンソクが院にいる2年間で

ルハンとレイとジョンデの3人は

芸能界で名前を覚えてもらえるくらいになり

ルハンの設立した事務所もつぶれる事なく続いていた


ミンソクが大学院を卒業してルハン達と合流すると

今まで以上に活発に活動していこうとみんなの意見が一致する


今日は某ケーブルテレビで

「ルハン企画」が初めて手掛ける番組の記者会見があるのだ


「すごいねぇ~これもジョンデが

この間テレビで名前売ったからだよ」


「いやぁ~レイさんが

マダムGGのバックダンサーに抜擢されたからですよ」


レイとジョンデが

お互いにお互いを褒め合って照れ合っているのを見て

ルハンが小さく笑う

「お前達・・いつまでも初々しくて可愛いね」


「ルハン~そう僕たち付きあって5年たっても初々しいの~」

エクボの出る綺麗な顔でレイが楽しそうに答える

その横でジョンデが苦笑している・・・

いつものやりとりに

書類を手に緊張していたミンソクもつられて笑った




春から始まる新番組は

小さな子供から大人まで楽しめる

大道芸と数字で遊ぶ内容のものだった

企画はミンソク

数学嫌いの子供たちに

数の神秘さと楽しさを感じてもらおうというコンセプト

番組にはレイのダンスやジョンデの歌

ピエロに扮したミンソクとルハンの出演コーナーもある


「これは実験的な番組になると思います

どうか暖かい目で見守っていただければ・・と思います」

事務所の社長ではあるルハンの締めの言葉に会見は終了した



取材陣が撤収していった後

片付けに追われているルハン達の前にジウンが現れた

今日は芸能コーナーの取材として来ていたようだった

「久しぶりだな・・テレビで見るけど元気そうだな」

ルハンが普通に話してくれたのでジウンはホッとして笑顔を見せる

「そうね・・ルハンも凄いわね・・・

私がバカにした大道芸で番組を作るんだものね・・・

あの時は悪かったわ・・・」


「お前のおかげで俺はミンソクと気持ちが通じ合ったし

ここまで頑張れたのはあの日の事があったからだよ」

ジウンはルハンの左薬指に指輪が光るのを見て

眩しそうに目を細めた


ルハンはモデルをしている時から「恋人」の存在を明らかにし

仕事以外では常に指輪を外すことはなかった


そして今回の番組が軌道に乗ったら「同性婚」をすると

身内には漏らしていた


「本当に結婚する気なのね・・・いろいろ大変な事あるけど

ルハンならやっていけると思うわ・・・・頑張ってね」


「ああ・・・ありがとう・・」


「あの子も初めて会ったときに比べると

すごく逞しく成長したような気がする・・カッコよくなったね」


「ダメだよ・・俺のミンソクだからな」

ルハンの言葉にジウンは呆れた顔をして笑った






「今日は疲れたね・・・ワインでも少し飲もうか」


ルハンの一言に企画書を見ていたミンソクが顔をあげた


「何か食べるものでも作ろうか? お腹すいた?」


「いや・・冷凍庫にあるピザを温めてつまみにしよう

ミンソクはそのまま仕事続けて」

ルハンはそう言うとキッチンに向かう



大学在学中に2人は同居を始め

ミンソクが大学院に進みルハンが芸能活動しても

同じ家に住んでいるという事で気持ちが離れる事はなかった

そして大学院を卒業して迎えたミンソクの誕生日に

ルハンが残りの人生を共有したい・・とプロポーズし

ミンソクは感動で涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら承諾した

今ではお互いに離れられない大事な人になっている


「不思議だな・・・俺あの時にミンソクと出会ってなかったら

多分今でも最低な男として生活していたんだろうな」


「突然ドアから飛び込んできて『かくまって』って言われて

本当にびっくりしたよ」


「俺たちって運命の相手なんだよ!!!!!ミンソク!!!!!ちゃんとわかってる?」


「うん・・・ルハンのおかげで自分に自信が持てるようになって

僕もだいぶ変わる事ができたよ」

ミンソクが上目遣いで愛嬌たっぷりにルハンに向かってほほ笑んだ


ルハンの胸がキュンキュンと締め付けられる

「もう・・・俺・・・死にそう・・・ミンソクのその顔・・」


ミンソクは無意識にやっているようで

ルハンの言葉にキョトンとする


我慢できないと言うように

ルハンはミンソクに近寄って強く抱きしめた


「小さいときのあの包子姿・・・あの頃から会いたかったな」


「包子って言うな~あれは忘れたい過去なんだから~」


「包子でいいの・・・俺は包子なミンソクにも惚れるから

どんなミンソクでもミンソクであるかぎり

俺はお前を好きになる」


ルハンの少しくさい台詞も

ミンソクにとっては甘い食前酒のように

心の中に入り込んで体を溶かしていくように感じる


「うん・・・僕も何度出会ったとしても・・ルハンを愛するよ」


2人は見つめあい

吸い込まれるようにお互いの唇を近づけた

唇が重なるのが合図のように

これから濃厚で甘美な恋人同士の時間を共有していく・・・・




俺の可愛い包子・・・包子に出会って包子に惚れて・・俺は幸せだよ

ずっと一緒にいようね・・・・






おしまい
プロフィール

宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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