願う ~3~

願う ~3~


ここは・・・どこ?

ルハンは花畑の中をぼんやりと歩いていた

目の前をチームの先輩達が歩いている

自分たちが進んでいる先は明るく照らされていて

まるで吸い寄せられるように、そこに向かっているようだった



ルハン・・・・

お兄ちゃん・・・


誰かが自分を呼んでいるような気がして

ルハンは歩みを止めて振り返った

自分の後ろはただ闇が広がっているだけ


前を歩く先輩たちはどんどん進んでいく


気のせいか・・・

ルハンがまた歩み始めようとすると


ルハン!!!!!


今度は確実に自分を呼ぶ声が聞こえた

この声は・・・ミンソク・・・


一時も忘れたことのない、最愛の「親友」ミンソク

そのミンソクが自分を呼んでいる声がする

ルハンはその場にとどまり

耳を凝らして声を聞き逃すまいとする



『ルハン!!!お前が行こうとしている場所には俺はいない』


え?


『そっちの世界に俺はいない!!!!ルハン戻ってこい!!!!』


そっちって何?


『俺を置いて逝くな!!!!俺にはお前が必要なんだ・・・

お願いだから・・・俺のそばに戻ってきて・・・・』


ミンソク・・・どうしたの? 俺はお前を置いて行ったりしないよ

ルハンは勝手が分からなくて首をかしげた


すると


『ルハン・・ルハン・・』

自分の名前を呼びながら泣いているミンソクの声が聞こえた


ミンソクが俺の名前を呼びながら泣いている・・・・

ルハンは堪らなくなって声のする闇に向かって走り出した




誰だ!!!!俺の大事なミンソクを泣かせやがったのは!!!!


ミンソク待ってろ!!!今俺が行くから!!!!行ってお前を抱きしめてやるから!!!!


.ルハンは必死で走った・・・


息が苦しい・・・・

そんな事は言ってられない・・・ミンソクが俺を待っているんだ・・・・




ミンソクと出会ったのは高校1年の時

母子家庭で金銭的にも苦しかったミンソクは

特待生制度を利用して高校に入学してきた


喜怒哀楽が激しくて、よく泣いたルハンと違い

ミンソクは我慢強く

嬉しい時も悔しい時も悲しい時も涙をみせる事はなかった

たった一度ルハンの前で涙を流した時以外は・・・


高校3年生の時にミンソクの母親は再婚する事になった

しかし相手の男性は母親だけを望み

ミンソクを置いていくことが再婚の条件だった



その話をルハンにだけ打ち明けた時に静かに涙をながした

その時すでに親友の枠を超えた想いを持っていたルハンは

自分の気持ちを抑えながら、ミンソクを強く抱きしめて

「俺がいる・・俺はずっとお前の横にいるから」と耳元で囁いた

ルハンの胸でしばらく泣いた後

「ありがとう」と言ったミンソクの泣き笑いの顔が忘れられない


それ以来ミンソクは涙を見せることはしなかった・・・・・







「ルハン!!!!ルハン!!!!」

「お兄ちゃん!!!!!」

「先生~!!!!患者さんが目をあけました!!!!」


ルハンがぼんやりと目をあけると

自分に覆いかぶさるようにしているたくさんの顔が見えた


父さん・・母さん・・・ユナ・・・


目だけを動かして顔を確認する


そして誰かが自分の手を握っている事に気づいて

視線を下の方に向けた


「ル・・・ハ・・ン」

泣き笑いの顔のミンソクが見えた


ああ・・・あの時と同じだ・・・俺のミンソク可愛いな・・

ルハンはミンソクに向かってニッコリとほほ笑む

そしてまた意識を手放して眠りの世界に入って行った




人間の聴力は、

胎児の時に母親の胎内にいる時にすでに出来上がっていて

周囲の人たちの話声などが聞こえるという

そして亡くなる時も最後まで機能していて

医師の「ご臨終です」という言葉も聞こえるらしい・・・・


そんな話を大学の講義で聞いたことをユナは思い出した

そして

自分達がどんなに呼びかけても反応しなかった兄が

ミンソクの呼びかけと泣き声で

意識を取り戻したことに笑ってしまう


兄のミンソクに対する執着心がこの世に未練を残し

死の瀬戸際から蘇ってくる切っ掛けになるとは・・・


お兄ちゃん・・・やっぱり馬鹿だね・・・

ユナは小さく呟くとハンカチでそっと涙をぬぐった
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はあぅぅぅ!

読んでて泣けた( ノω-、)
さすが、宗文さんです

けど、最初のお花畑には少しクスッとしました//

そうだ、るぅ・・・可愛いミンソクを置いていってはいけません!

Re: はあぅぅぅ!

> あんさんへ

お花畑・・・表現に困ってシンプルにしました

いわゆる臨死体験の話に出てくる場所を示したかったんです

まだ2人は辛い事おきます・・・

いつもコメントありがとうございます
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宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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