願う ~8~

願う ~8~


日本の病院に転院してリハビリを始めたのは

義足の技術が日本が一番すぐれていると確信したからだ

ミンソクはルハンに

義足でフットサルが出来るぐらいまでに

回復してほしいと思っていた


大好きなサッカーを

家庭の事情で

断念しなければならなかった自分の過去を思い出し

せめて趣味程度でも

ボールを追いかけられる体までになれたら・・・と思う



失った部分は左足のひざ下だけ・・・

それは不幸中の幸いと言えるものかどうか

ミンソクには分からない


でも2人が両想いだった事実が判明してから

ルハンのリハビリに取り組む姿勢は鬼気迫るものがあった


特にここ数カ月は義足でのリハビリが始まった為

社会復帰が近くまで見えてきたせいなのか

側にいるミンソクでさえ舌を巻くほど努力をしていた


それでも必死さは表に出さず

いつも笑顔で「パラリンピックでメダル取るからね」と

周囲を笑わせながらリハビリに頑張るルハンの姿は

他の患者達にも良い影響を与えていた




「ルハン~ミンソク~元気?」


リハビリ室の入口の所から懐かしい顔が2人に声をかけてきた

「レイ!!!!」


華やかな芸能人オーラをまき散らしながらレイが入ってくる

韓国でモデルと俳優の仕事で少しずつ名前が売れてきたレイだけど

日本ではまだそれ程認知されていない


それでもレイの放つ芸能人オーラに

周囲の日本人もいつの間にか魅入ってしまっていた


「久しぶりだね~元気だった?」

ルハンが嬉しそうにレイとハイタッチを交わした


今日はルハンの義足が出来上がる日

新しい義足をはめて微調整のために動かしている姿を見て

レイは不思議そうな顔をして見つめる


「本当にルハンの足・・・無くなっちゃったんだ・・・

でも新しい足出来て良かったね」

デリケートな話題なのにスルッと口に出してしまうレイに

相変わらずだな・・とルハンは苦笑しながら聞いていた


ルハンの友人達は

日本に転院してから見舞いに来てくれるようになった


悪態をつき合うような友人達との交流で

ルハンは益々ポジティブになって

すっかり昔のルハンに戻りつつあった


ミンソクはそんなフットサル仲間に本当に感謝している


「義足がルハンの足に馴染んだら、またみんなでフットサルやろう」

ミンソクが笑顔でレイに言う


「こいつ最近運動してないんじゃねぇの? 大丈夫かよ」と

ルハンがレイに悪態をつく


「あールハン知らないんだぁ~僕この間テレビ出たんだよ~

『追いかけっこ』って奴で無事に最後まで逃げ切ったんだから」


「え? レイあの番組に出たの? 凄いじゃん」


テレビをあまり見ないミンソクでも知っている国民的番組

レイがそこに出られるまでになっていたとは・・・

ルハンもミンソクも驚いた反面嬉しくなった


仲間がどんどん社会に出て頑張っている姿を見て

昔は負けてたまるか・・そんな気分になったけど

今は違う・・・

その頑張る姿に

自分達がパワーを貰っている気がしている・・・・

ここ数年本当にいろんな事が起こりすぎていたな・・・

ミンソクがそんな事を考えていると


「ミンソク~ルハンと先に病室に戻ってるね~」

レイがルハンの車いすを押しながら楽しそうに去っていった


その後ろ姿を見つめながら

ルハンが自立できるまでもう少し・・・

自分も休職中の弁護士の仕事をどうにかしないと・・・

ミンソクはいろんな想いがめぐって、小さくため息をついた


十年間も両想いだったのに、お互いに気づかなかった・・・

あまりのヘタレさと鈍感さで笑ってしまう・・・

最近やっと告白しあって両想いになったけど

ルハンのケガの事とか病院だとかいろんな理由でキスどまりだった


ルハンは隙あらば「ミンソクが欲しい」と言ってくるけど・・・

退院が本決まりになった辺りで

2人で暮らす部屋でも探そうかな・・・

そんな想いがミンソクの頭の中を過り、ルハンとの甘い時間を想像して

顔が自然と赤くなるのを感じ、ミンソクはその場から動けないでいた




「ねぇ~ルハン~

今日は事務所の社長からの伝言持ってきたんだ~」


病室に入るなりレイがルハンの耳元で囁いた


「社長って? お前の所属するプラネットエンターの社長か?」

レイは笑顔で頷くと


「あのさリハビリが終わったら、うちの事務所に入らないかって」


え?


レイの話によると

事務所側は

サッカー選手時代からルハンの容貌に眼をつけていたそうで

今回の事故で選手生命は絶たれたけど

その生まれ持っての容姿が埋もれてしまうのはもったいない

それを生かすための仕事として

モデルやタレントをしないか・・という誘いだった


ルハンにして見ればリハビリ生活に明け暮れていて

日常生活が出来る位の回復が目標だったため

その先の事なんて考えていなかった・・・その余裕すらなかった


でも義足で通常の生活が出来るまであと少し

そろそろ本腰で自分の将来と向かい合う時が来たのかもしれない


それよりも自分の世話に専念して

弁護士の仕事を何年も休職しているミンソクの事が心配だった


自分が日常生活だけでなく仕事が出来るまで回復すれば

ミンソクも弁護士の仕事に復職してくれるかな・・・

ミンソクと気持ちが通じ合ってから

ルハンは2人の将来について

いろいろと考えるようになっていた


これからの人生をパートナーとして一緒に歩んでいくために

俺のするべきことって・・・


ルハンはしばらく考えてレイに笑顔で答える

「ありがとう・・・前向きに考えさせてもらう・・・」
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Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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