運命 1

[運命] 1



シウミンがまだ小さかった頃

彼の住んでいる村には大きな塀があった

村の北側を何十キロにもわたって続いている塀・・・

大人でも乗り越えて向こう側には行けないくらい壮大で

いつの時代からあるのかも分からないものだった


村の子供たちは塀の向こう側には悪魔が住んでいて

塀に近づくと襲われると大人たちに言われながら育ったので

塀の近くに近づこうとするものは誰もいなかった




「るる・・るる・・どこに行っちゃったの?」

シウミンは逃げ出した子猫を探して

いつの間にか遠くまで来てしまっていた

雑木林の中の方から微かに何かの鳴き声がする


「るる?」

微かな鳴き声を頼りに雑木林の中に入って行った

「みゃあ~」

木の下でうずくまっている子猫を見つけ

笑顔を向けたシウミンは大事そうに胸に抱く


気づくと月が頭の上までのぼっていて辺りを照らしていた

「うわっ・・・早く帰らないと怒られちゃう」

シウミンが慌ててその場を去ろうとした時

何かの音がシウミンの耳を捕えた


え? 歌? 何だろう・・・・

切れぎれに誰かが歌っている声が聞こえる

その歌声の方に近づいていくと塀にたどり着いた


「塀・・・・

この向こうには悪魔が住んでいるって・・

ばあちゃんが言ってた・・・近寄っちゃだめだって・・」


~♪

歌声は塀の向こう側から聞こえてくる・・・

微かに聞こえてくる歌声は

何故だかシウミンの心を捕えて離さない


もしかして悪魔が歌ってるの?

たとえ悪魔だとしてもずっと聞いていたい・・・


シウミンは塀の所にいるのを

大人に見つかったら怒られると思い


慌てて走ってその場を離れた






「シウミン・・・どこまで探しに行ったの?」

帰宅したら祖母が家の外に立っていた

「ちょっとそこまで・・・」

そう言って子猫を祖母に預けて家の中に走って行く

「まさか・・・塀の側まで行ってないだろうね」

祖母の声が後ろから聞こえてきたが

シウミンはそのまま走り去る


10歳の時に塀の向こうから聞こえた歌声が

ずっと気になっていたシウミンが

大人の眼を盗んで次に同じ場所に来るのに

1年の歳月が過ぎてしまっていた


しかしシウミンは1年の間歌声を忘れる事はなく

たとえ悪魔が相手だとしても

もう一度塀の側まで行きたいと思って日々を過ごしていたのだった


続く
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るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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