運命 2

[運命]  2



シウミンの友人のスホは旧家の末息子だった

そこの家は村長や学校長などの代々固い役職についていて

スホの父は都会で判事をし、年の離れた兄たちも都会で生活している

幼いときに母親を亡くしたスホは体が弱った事もあり

引退した祖父母と村の屋敷に住んでいた


病弱という事もあり祖父母の溺愛を受けて育ち

シウミン達が毎日のように屋敷に押しかけても

嫌な顔されず、おやつまで出してもらえるので

いつの間にかたまり場となっていたのだ


もっとも常連のシウミンやベッキョン、チャニョル、チェン等は

品行方正・・とまではいかなくても悪い子達ではなかったので

それらが許されていた



ある日屋敷の屋根裏部屋に探検に行ったメンバーが

古い地図と書物を見つけ出した


「この地図って・・・俺たちが習ってるのと違くねぇ?」


ベッキョンがほこりまみれの地図を広げて皆に見せる


見た事あるけど何かが違う・・・それって・・・

皆が首をかしげながら考えているとシウミンがボソッと呟いた


「塀が・・・ない・・・ここから向こうは塀があるはず・・・」


学校で習っている地図は塀からこちら側だけのものだった

でもこの地図は知っている地形の倍はある



「やっぱり悪魔が住んでるって話は嘘なんだ・・・

国境みたいに塀があるって事なのかな」

優等生のスホが地図を見ながら説明を始めた


チャニョルが鉛筆で自分達の知っている地区をなぞり始めると

1つの村が塀で二等分されたようになった

南側は自分達が住んでいる良く知った地区

線の北側は塀の向こう側になる


そんな事が分かってから

好奇心旺盛な年齢の子供たちは

黙っていられなくなった

探検隊を結成して塀の近くまで行くことにする


スホの屋敷からそのまま北上すると

塀があるはずだった

シウミンは

誰にも話していない1年前の事を思い出し

またあの歌声が聴けるかと

ドキドキしながら仲間に付いて行った



しかし

屋敷と塀の丁度間に見張り小屋があり

塀に近づこうとしている子供たちは

簡単に見つかってしまい

かなり怒られる事となった

スホの祖父が慌てて子供たちを引き取りに来て

かなりお灸をすえられたが

なぜ塀の側まで行こうと思ったのかと理由を問いただすと

古い地図の存在を知り祖父は頭を抱え込んだ


「君たちには嘘を教えるわけには行かないな・・・

この事はここだけの内緒の話だよ」と

子供たちにこっそりと真実のほんの一握りを教えてくれた



大昔・・・

古い地図の通り

村は今の倍の広さがあった


ある時戦争が起こり

村は2等分されてしまった

大きな塀はその時に作られたもので

塀の向こう側には

昔は同じ村人が住んでいたが

今では違う国が統治しているために

消息を知る事が出来ない・・・との事だった


塀の向こう側を統治しているのは独裁国家

塀は村だけではなく東西に何百キロも続いている

子供たちは再度近づいてはいけないと

釘をさされてスホの屋敷からそれぞれの家に帰って行った




「あの歌声は悪魔じゃなかったんだ・・・

違う国の人が歌ってたって事なのかな・・・」


シウミンは家に戻る間ずっとその事を考えていた


そしてその日の夜中

シウミンはもう一度塀の側まで行くことにした



満月が綺麗な夜だった

自分の部屋からこっそりと抜け出したシウミンは

雑木林を潜り抜ける

1年前には小さい子猫だったるるを抱いて

同じ場所に佇んでいた



「るる・・・付きあわせてごめんな・・・

ばあちゃんに見つかったときにお前が逃げ出したと

言い訳するのに利用させてもらう・・」

季節は初夏とはいえ

まだ夜は肌寒い・・・

猫をしっかり抱きしめて暖をとるシウミンに

猫は小さく鳴いて答えた



しばらくその場に座り込んでいたら微かに歌声が聞こえてきた

「ああ・・・あの時の声・・・」

歌は前回とは違っていたけど同じ声に違いない

シウミンはしばらく聞いていたが意を決して塀を叩いた


トン・ツー・ツー


シウミン達はスホの屋敷で

モールス信号の本を見つけてから

自分達で通信ごっこをするために夢中でマスターしていた


言葉は通じなくても信号だと意思が伝えられるのではないか・・

思い切ってシウミンは信号を送ってみたのだった



[歌][上手]

シウミンの信号に向こうから返信があった

[ありがとう]


返事があった・・・・

シウミンは嬉しくなって

しばらく塀を叩いて通信を試みる

向こうからも拙いけど返信があった


しばらくお互いにカタコトの通信が続く

そのうち

[次][満月][同じ][待つ]

そう通信が来たのでシウミンは

[満月][待つ]と返信した

気づくと月の位地がだいぶ下がってきている


大慌てでシウミンは自分の家に走って戻った


「次の満月の夜・・・もう一度あの人に会えるんだ」


シウミンは会った事も話したこともない

顔すら知らない相手に

恋しているかのように胸をときめかせていた



続く
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Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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