運命 4

[運命] 4



最近世の中がきな臭くなってきた・・・


シウミン達の住んでいる地方でも

戦争が起きるのではないかと

大人たちが密かに話題にしている


高校生になったシウミン達も

もう子供ではない・・・

いろいろな事を感じ知っている



今日は久々の通信日だった

前回の満月の夜は都市部でテロがあった為に

田舎の町でも塀周辺の警備が強化されて

さすがにシウミンも塀の側に行くことを断念した



塀につくと微かに歌声がする

シウミンはその歌声に沿うように歌いだした

塀の向こうからトン・トン・ツーと信号が送られてきた


「ルハン・・・ごめん・・・」


「前回は抜けられなかったのか? 」





出会った当初は

モールス信号での会話を続けていたが

シウミンが信号を上手く使えず

その素人さに業を煮やしたルハンが

突然塀の向こう側から話しかけてきた


急に話しかけられたシウミンは驚いたが

同じ言語という事で塀越しの会話が続いている


国は違え同じ年頃の男の子同士

趣味や興味のある事には共通点があった

特にルハンとシウミンにはかなりの共通点があり

毎回いろんな話で盛り上がっていた・・・・


だからなんだかんだと5年間も

不思議な関係が続いていたのだ


そう他の誰にも内緒の2人だけの秘密の関係・・・・

秘密とはいえ

今では友情とも思える気持ちをお互いに持っている



後は顔だけが分かってない・・・・

ルハンは密かに塀の一部分を金属で削っていた

どうしてもシウミンの顔が見たくてたまらない・・・

仲が良くなればなるほどシウミンの顔を見たいのだ


石の上にも3年というように

小さな金属で同じ場所をひっかき続けた結果

小さなのぞき穴があと少しで空きそうになっている・・・

今日も会話をしながら手元では塀を削っているルハンだった



「もしかしたら・・・もう来れないかもしれない・・」

「え? 」


シウミンの発言にルハンは手元を動かすのをやめた


「そっちは分からないけど・・・

俺たちの国では戦争モードになってきている」


「・・・・」


「多分もうすぐ・・・軍事訓練に行かされると思う・・・」



ルハンは黙ったままシウミンの言葉を聞いていた

自分達の方がそんな事は良く知っている

スパイとしていろんな国に潜入させられる身の上だからだ

そして先輩達がどんどん宿舎からいなくなっていた

クリスとレイ、ルハンにタオはそれぞれ組織に従順する姿を見せながら

戦争が始まったらどうするかをいつも話合っていた


くそっ・・・

ルハンは止めていた手を動かし始めた


ガリガリ・・・ガンガン

塀を思いっきり尖った金属で叩いた

あと・・あと少しだ・・・ちくしょう・・・


「ルハン? 何してるの? 大丈夫なの? 見張りが来ちゃうよ」

塀の向こうからシウミンの不安そうな声がする


「大丈夫だ・・・こんなとこには来ない・・ちょっと待ってろ」


ガツッ・・・・


「あ・・穴? ルハン・・・穴開けてたの?」

シウミンの目の前に小さな小さな金属の先端が見えた


グリグリ・・・

ルハンは力任せにその先端を回して抜き去った


小さな小さな穴が2人の間の塀に現れた

「シウミン・・穴の前にいて・・俺どうしてもお前の顔が見たい」



満月で月明りがあるとはいえ夜中の時間帯だ

シウミンは手にしていた懐中電灯を上からあてて

穴を覗いた


目の前には綺麗な瞳が見えた

空の輝く満天の星のようにキラキラしている


「ルハン・・・ルハンの瞳って綺麗だね」

シウミンがのんきな事を言っていると


「一度塀から少し離れてよ・・・お互いに目玉しか見えないじゃん」


何年もの間

見たくて見たくてたまらなかったシウミンの姿を今見ている

ルハンは想像よりも実物が幼く可愛らしい事に驚いた

色白の肌に大きな一重の意志の強そうな・・つりあがった瞳

そして綺麗な鼻筋に男の子なのに赤く柔らかそうな唇・・・

ルハンは目に焼き付けるかのように

しっかりとシウミンの姿を凝視する・・・・


「見える? 今度は俺がルハンの事見るから・・少し離れて」


キラキラした瞳の持ち主のルハンは物凄くハンサムだった

栗色のサラサラした髪に笑うと目じりに皺のよった

薄い唇もとても魅力的だ


シウミンはあまりのカッコよさに言葉を失って見つめていた

ぼんやり見つめていたシウミンの瞳に

キラキラしたルハンの瞳のアップが映し出された


「俺たち・・・まだ16歳だぜ・・・人生はまだまだだ

戦争が終わって

平和な世の中になったら・・・俺と・・・会って欲しい」


「ルハン・・・」


「こんな塀越しじゃなくて・・・大人になったら

一緒にサッカーしたりお酒飲んだり・・たくさん話をしたい」


「うん・・・俺もルハンとたくさん話をしたい」


「だから・・・戦争が起きたとしても・・兵隊に徴収されたとしても

必ず生き残ってほしいんだ」


ルハンの突然の申し出にシウミンは驚いた


「うん・・・分かった・・ルハンと再会するまでは・・

俺・・・生き延びてみせる」


シウミンの笑顔にルハンは思わず涙を流す

生き延びなきゃいけないのは俺の方だ・・・


それからすぐに戦争がはじまり

シウミンは陸軍に召集され

ルハンは組織によってスパイとしての活動を余儀なくされた・・・




続く
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Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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