
運命 7
[運命] 7
「テヨン・・・さっきから何を熱心に見てるんだ?」
高級ホテルのスイートルームで
用意されている朝食もとらずに
綺麗な顔をした男性が食い入る様に新聞を読んでいる
向かい側に座った仕立ての良いスーツを着た
これも綺麗な顔をした男性が呆れた様に声をかける
「セフナ・・・この写真の場所・・・何か知ってる気がする」
セフナと呼ばれた男性が少し顔を曇らせたが
すぐに笑顔を作ってこたえる
「もしかしたら君の失われた記憶と関係があるのかもね」
「行きたい・・・この記事だと明日にでも塀が取り壊されるって」
「・・・・・」
「連れてって・・・俺のこと知ってるやつがいるかもしれないし・・・」
テヨンと呼ばれた男性は
綺麗な瞳を目いっぱい見開いてセフンを見つめる
セフンはそんなテヨンの表情に弱かった
「分かった・・・分かったから・・・朝食をお食べ」
「うん・・・約束だからね」
新聞には戦争中に焼け残った巨大な塀を取り壊すという
簡単な記事が写真とともに掲載されていた
都会の方ではすでに分断された塀は残っておらず
小さな村の一部分だけが焼け残っていただけだった
その村は空襲にあっていたので
悲惨な記憶を払拭するために
取り壊しを村人達は望んでいたが
都会の一部権力者が戦争記念として残そう・・・
そんな事を言いだし
すったもんだの末やっと取り壊しが決まったのだ
終戦から7年が過ぎていた・・・・・
タオはクリスと共に昔住んでいた村の南側に住んでいる
終戦後にクリスと再会してから
本当の家族の様にレイを含めて3人で暮らしていた
時々シウミンのカフェにも顔をだして
シウミンやチェン達とも仲良くしてもらっていた
数日後に塀が取り壊されるというニュースのおかげで
村には外からの観光客が押し寄せていた
シウミンのcaféも忙しくてタオを構ってくれる人がいない
タオは仕方ないので1人で塀の側まで行ってみる事にした
塀の側には先客がいた
金髪の背の高い男性と
金髪でくるくる巻き毛の花柄ワンピースの女性・・・
ワンピース姿の女性の顔を見てタオは思わず息を飲んだ
「るうちゃん・・・」
まさか・・・るうちゃん? でも女の子の服着てるし・・・
タオはあれこれ考えながら声をかける事にした
「るうちゃん!!!!!」
タオの声は背の高い男性には聞こえたようで
眉間に皺を寄せてきつく睨まれた
女性はタオの言葉に何の反応もせず
男性に肩を掴まれたままタオのいる方と反対方向に行ってしまった
「るうちゃんじゃなかったんだ・・・
もしかしてるうちゃんのお姉さんとか?」
タオは深く考えずにそのまま自分の家に戻ってしまう
ルハンに似た女性が村に滞在している・・・
その事をクリスが知るのは
塀が取り壊される日の朝だった
続く
「テヨン・・・さっきから何を熱心に見てるんだ?」
高級ホテルのスイートルームで
用意されている朝食もとらずに
綺麗な顔をした男性が食い入る様に新聞を読んでいる
向かい側に座った仕立ての良いスーツを着た
これも綺麗な顔をした男性が呆れた様に声をかける
「セフナ・・・この写真の場所・・・何か知ってる気がする」
セフナと呼ばれた男性が少し顔を曇らせたが
すぐに笑顔を作ってこたえる
「もしかしたら君の失われた記憶と関係があるのかもね」
「行きたい・・・この記事だと明日にでも塀が取り壊されるって」
「・・・・・」
「連れてって・・・俺のこと知ってるやつがいるかもしれないし・・・」
テヨンと呼ばれた男性は
綺麗な瞳を目いっぱい見開いてセフンを見つめる
セフンはそんなテヨンの表情に弱かった
「分かった・・・分かったから・・・朝食をお食べ」
「うん・・・約束だからね」
新聞には戦争中に焼け残った巨大な塀を取り壊すという
簡単な記事が写真とともに掲載されていた
都会の方ではすでに分断された塀は残っておらず
小さな村の一部分だけが焼け残っていただけだった
その村は空襲にあっていたので
悲惨な記憶を払拭するために
取り壊しを村人達は望んでいたが
都会の一部権力者が戦争記念として残そう・・・
そんな事を言いだし
すったもんだの末やっと取り壊しが決まったのだ
終戦から7年が過ぎていた・・・・・
タオはクリスと共に昔住んでいた村の南側に住んでいる
終戦後にクリスと再会してから
本当の家族の様にレイを含めて3人で暮らしていた
時々シウミンのカフェにも顔をだして
シウミンやチェン達とも仲良くしてもらっていた
数日後に塀が取り壊されるというニュースのおかげで
村には外からの観光客が押し寄せていた
シウミンのcaféも忙しくてタオを構ってくれる人がいない
タオは仕方ないので1人で塀の側まで行ってみる事にした
塀の側には先客がいた
金髪の背の高い男性と
金髪でくるくる巻き毛の花柄ワンピースの女性・・・
ワンピース姿の女性の顔を見てタオは思わず息を飲んだ
「るうちゃん・・・」
まさか・・・るうちゃん? でも女の子の服着てるし・・・
タオはあれこれ考えながら声をかける事にした
「るうちゃん!!!!!」
タオの声は背の高い男性には聞こえたようで
眉間に皺を寄せてきつく睨まれた
女性はタオの言葉に何の反応もせず
男性に肩を掴まれたままタオのいる方と反対方向に行ってしまった
「るうちゃんじゃなかったんだ・・・
もしかしてるうちゃんのお姉さんとか?」
タオは深く考えずにそのまま自分の家に戻ってしまう
ルハンに似た女性が村に滞在している・・・
その事をクリスが知るのは
塀が取り壊される日の朝だった
続く
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