運命 8

[運命] 8



まずい・・私はテヨンの本名は知らないが

多分声をかけてきたあいつはテヨンの知り合いだろう・・・・

だからここには連れてきたくなかったんだ・・・

一応女装させてたから深く追求せずに帰って行ったな・・・




セフンは流れ出る冷や汗をハンカチで拭うと
村の唯一のホテルに急いでテヨンを連れて戻った

幸いな事に塀を見てから考え事をしていたテヨンには
タオの声は届かなかったようだった



セフンは終戦直後の闇市でテヨンと初めて会った

当時の仕事仲間の興味本位の闇市ツアーに
いやいやながら付きあった時のことだった


人身売買の店で商品として並べられていた彼の
その美貌に一瞬にして心を奪われたのだ


大枚をはたいて手に入れたその男は
記憶を失っていた

セフンはその男にテヨンという名前をつけて
自分の側に侍らせていた

戦後のどさくさに紛れて
商売がうまくいき膨大な利益を得たセフンにとって
人ひとりを養うくらいはなんでもなかったのだ


後見人としてテヨンを数回抱いた事もあった
あまりにも抱かれ慣れしているその体は
セフンを魅了するのに十分だった

ただ養われている代償として抱かれている・・
そんな感じを受けた時にセフンは抱くのをやめた

心まで欲しい・・・・

そう思ってから5年の歳月が流れて行った

最近少しは心を開いてくれているとは感じているが
セフンはテヨンの記憶が戻る事が恐ろしかったのだ

そして嫌われたくない・・・という気持ちもあり
彼の希望を叶えるような行動をとる事が多くなる

今回も「女装」という妥協点を見出して
塀の近くまで行ったのだ
もう十分だろう屋敷に帰ろう・・・・
そう言いたいのに言えないでいる自分にイライラを感じている

ホテルに戻ってからもテヨンはずっと考え事をしている

セフンは1人でワインを飲むとさっさと寝てしまった





あの塀は何なんだ・・・

見た途端に身体に電流が走ったかのような衝撃をうけた
そして自分の記憶が呼び戻されそうなのか
ずっと頭がズキズキと痛くなっている・・・

テヨンはずっと頭を押さえながら考えを纏めようとしていた


セフンは俺がこの村に来る事を嫌がっていた・・
俺が女装をするという事で渋々承諾した・・

多分この村は俺と関わりのある場所なんだろう・・・

セフンの自分への執着は嫌というほど感じていた
「テヨン」という名前を付けてもらい
あの地獄のような闇市から救い出してもらった恩義があって
何度か求められれば肌を重ねる事もあった

5年も一緒にいて情が涌くと言う事もある
でもセフンは・・・あいつじゃない・・・
あいつ・・・あいつ・・って?
俺の求めているのは・・・俺の求めているのは誰?

テヨンは記憶の鍵を探そうと考えを纏めようとしていたが
堂々巡りで収集が付かないために諦めた
すでに寝息を立てているセフンの姿を確認し
自分もベットの中に潜り込んだ・・・・



続く
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るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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