大切なものはⅡ 中編

[大切なものはⅡ]  中編  ギョンスside


「ヒョン~ヒョン~!!!!ギョンスヒョン!!!!
やったよ~やったよ~」

興奮して頬を赤くしたカイが
息を切らせながら店に入ってきた

丁度最後の客が帰った後で
ギョンスはテーブルを拭く手をとめて
笑顔でカイを迎える


「ヒョン!!!!僕・・・主役とれた」
今度の公演で主役に抜擢されたと報告してくる

「やったね。頑張った結果がでたんだよ」

ギョンスの言葉にカイは
「ヒョンのおかげだよ~」とギョンスに抱きついた


どきん・・・

カイより一回り小さいギョンスの体は
すっぽりと覆われてしまった

カイの体温を感じカイの香に包まれ
ギョンスは急に呼吸をするのが苦しくなった

「カ・・イ・・苦しい・・」

「あっ!!!ヒョンごめん」

ぎゅうっと抱きしめたせいで
呼吸困難になったとカイは思い
あわてて抱きしめた腕をゆるめた

「ヒョン・・・Wキャストの主役だけど
僕が出る日・・見に来てほしいんだけど・・」

「うん・・必ず観に行くよ・・・お腹すいただろう?
ご飯つくるから・・片付け手伝ってね」

どきんどきんどきん

ギョンスは胸に疼きを感じた
初めての経験で何でなのか理由が分からない

胸のドキドキを
忘れようとするかのように料理に専念した



それからしばらく通常と変わらない日々が続き

公演が始まる数日前に
カイがギョンスに封筒を渡した

「何?」

カイはニコニコした顔で封筒を開けてと促す

中にはチケットが1枚入っていた

「ヒョン・・僕自分のお金で買ったから
3階席になったけど・・・・
1番前の列だから良くみえると思うんだ」

バレエの公演のチケット代は確かに高い
ギョンスは高くても
自分でチケットを買おうと思っていた

カイがレッスンの合間にバイトをして
そのお金で購入したかと思うと
ものすごく大切なものに感じる

「うん・・・ありがたく頂く・・
カイの初日なんだね・・・楽しみにしてるよ」







公演当日

ギョンスは初めて「臨時休業」の看板を出して
ビストロを1日休むことにした

公演は昼の部だったから
夜は開業しようと思えばできたけど
カイの初めての主役を
ささやかにお祝いしてあげたいと

2人の出会いのきっかけとなった
ビーフストロガノフを仕込んでいたのだった



3階席はリピーターが多いのか
もう一人の主役の公演を見た人達が
カイのダンスの予想を話あっているのが聞こえた

カイって脇役の頃から目立っていたんだ・・・

人々の漏れ聞こえてくる批評を聞くと
カイに好意的な意見が多くて
まるで自分が褒められているかの様に
ギョンスは鼻高々な気持ちになっていった


公演が始まると
まるで別人のような凛々しいカイが
舞台のセンターで踊っている


うわぁ・・・きれいだなぁ・・・・
僕・・・バレエって良く分からないけど・・・
カイって・・すごく綺麗に踊るんだ・・・

カイのダンスは
素人のギョンスの眼を奪って離さない・・

しばらく舞台に集中して観ていると
リピーターの横の男性がボソッと呟いた


「あぶないなぁ・・・
あそこ・・後ろせり上がってきてない」


ギョンスが男性の言葉を聞いて
視線を舞台の後ろの方にむけると
先ほど下に下がって行った舞台の1部が
まだせり上がってきていなかった

3階席から見ると、
そこだけぽっかりと穴が開いている


センターで女性と踊っていたカイは
そのままパッセトゥールで見せ場を作ると
バックで舞台後ろに捌けようとしていた


「あぶないっ!!!!」
「きゃあー」

3階席から悲鳴があがった



ギョンスの目の前で
カイが舞台の奈落に落下したのだった




続く
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るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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