Fairy

Fairy


全ての生き物が幸せを感じ始める季節
春はそんなウキウキした気分になるな・・・
ルハンはそんな気分で足取りも軽く
クリスの屋敷に遊びに来ていた

「うわっ久々に来たな・・この屋敷・・・」

「そうか?お前といつも遊んでいる気がするけど
屋敷にきたのは何年振りなんだ?」



2人は親が従妹同士というのもあり
年齢も近いし趣味も合うので
よくつるんで遊ぶことも多かった

「ん・・・20年ぶりくらいかな・・・」

「あ・・迷子になって泣いて発見された・・・あの時以来
あーだから屋敷にはこなくなったのか?」

クリスが昔を思い出したようにクスクスと笑うと
ルハンはムスっとした顔でその尻を蹴り上げた

「うっせぇ!!!!泣いてねぇーし・・って記憶ないもん」

「はいはい・・・わかりました・・・
今夜は部屋を自由に使っていいけど・・・
迷子にはならないようにね」

「あーっうるせぇ~!!!!!」



食事を終えてから通されたゲストルームで
ルハンは1人で考え事をしていた

20年前にこの広い屋敷で迷子になって
1日行方不明になっていたのは事実

そしてその間の記憶が全くないのも事実

最近当時の夢を見る事がある
目覚めると内容は覚えてないけど
自分はすごく幸せだった・・

上手く説明できないけど
そんなモヤモヤした気持ちが溜まって
色々とハッキリさせたい・・・と
クリスをなんとか言い含めて泊まりに来たのだ・・

「泊まりに来れば何か分かるかと思ったけど
何をどうしたらいいのか・・わっかんねぇ~」

バタン

ベットに大の字になって天井を眺めていて
ふとある事に気が付いた

「あれ? やっぱり・・・」

部屋を良く観察すると
壁紙のつなぎ目が微妙に違っていて
そこを重点的に探すと隠し扉が見つかった

部屋からの隠し扉を抜けると
そこはらせん階段の踊り場だった

屋敷の塔の最上階まで続くらせん階段

屋敷の誰もが存在を忘れたような
昔からある・・でも誰も使っていない
まるでおとぎ話に出てくるような階段・・・

「知ってる・・この階段知ってる」

ルハンは高所恐怖症なのにも関わらず
小さいときにこの階段を
ひたすら上がった記憶がよみがえってきた

何かにせっつかれるように
ルハンは必死で階段を上がっていく

この階段を上がれば会えるんだ・・
会えるって? 何に? 誰に?

そう思いながら下を見ないようにして
どんどん進んでいく

もうすぐ最上階・・というところで
かすかに歌声が聞こえて来た


懐かしい歌声にルハンはその歩みを速めていく





「ディオや~さぼってないで!!!仕事しろっ!!!!」

「ヒョン~ニニが寝てます~」

「ああっもう!!!!!
本日の予定出荷量に間に合わなくなるぞ」

「ヒョン~BGM流しますね~
みんなあと少し頑張れっ!!!!」

♪サラダブラ・メディカブラ・ビビデバビデブ♪

ここは幸せを運ぶと言われる妖精の工場

工場長のシウミンを筆頭に
「幸せのタネ」の製造に大忙しだ

妖精9人で当番制で製造しているが
最近さぼりを覚えたメンバーもいたりして
シウミンの頭を悩ませている・・・

「チェン!!!!!そっちの綿毛に取り付けて送り出すのは?」

「ヒョン~なんとか全部終わりました」

「ベク~そっちの鳥さんに運んでもらう分は?」

「今スホヒョンが鳥さんに遊ばれてます~」

「誰か何とかしてやってくれぇ~!!!!!!!!」


やっとの思いで今日の出荷を追えて
それぞれその場で座り込んでいると
突然チャニョルが叫びだした

「ひょーん!!!!人間が覗いてる~!!!!!!」

その瞬間

妖精たちはワタワタと部屋を走り回って
なんとか隠れようとして部屋の隅に逃げていく

シウミンは窓から覗いている人間に
見覚えがあったので
目の前まで歩いて行った

「お前・・なんでまた・・」

「あ・・・見つけた・・・しうちゃん・・だよね」


***************************************



「とりあえずお茶でもどうぞ」

レイが妖精達の食器の中で
一番大きなバケツにお茶を並々とそそいで
チェンと2人がかりでルハンに渡す

妖精達もそれぞれ自分のマグを手にして
ルハンに対治するようにちょこんと座っていた

ルハンはお茶を人差し指と親指二本でつまんで
一口で飲み干した

妖精達の工場は小さくて
ルハンは中に入れない
らせん階段に座ったまま
窓から中を覗いていたのだった

「あの時泣いてた子なの?
大人になったんだね~」
スホがルハンの顔を見上げながらポツリと呟いた

「あの時の事・・今の今まで忘れてた・・俺
ここでみんなに遊んでもらって楽しかったのに」

「せっかく記憶を操作して忘れさせたのに・・
何でまた来たんだ?」

懐かしそうな顔をしたルハンの前に
険しい顔をしたシウミンが立って話を進めていく

「忘れさせた? 何で?」

「妖精の掟で
人間と触れ合ってはいけないとなってるからだ」

「そんな・・・あの時から俺・・」

「すとーぷっ!!!!!それ以上言わなくていい」

何故か真っ赤になったシウミンがルハンの言葉を遮る

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


ナカナイデ・・

らせん階段で泣いていた俺に優しく響く声

お腹すいた・・

そう呟いた俺を声だけで誘導して最上階の部屋に導いた人

そこについたら
黄色や赤や青の三角帽子をかぶった
妖精さんが食べ物と一緒に俺を待っていた

妖精達は子供と遊ぶのに慣れているのか
不安と空腹で泣いていた俺を
上手にあやしてくれた

俺をあやすために始めたゲームも
いつの間にか自分達で夢中になって遊び始めて
気づくと黄色の帽子をかぶった妖精と2人で
その様子を眺めていた

「もう悲しくない? 大丈夫?」

色白で大きなつりあがった瞳の妖精さんは
どうやら俺を部屋まで導いてくれたその人だった

「ありがとう・・俺・・ルハン・・名前教えて」

俺が名前を聞くと少し躊躇しながら小さい声で
「シウミン」と答えて頬を染めて顔をそらした

ドキン


6歳の俺には
初恋すら分からなかったけど
今考えれば
あの胸の疼きは初恋の始まりだった

小さな子供の俺よりももっと小さな妖精
その手を握りしめたまま離せないでいた

でも塔の上を飛ぶカラスの鳴き声で
妖精達も時間を心配しだして
シウミンが
俺を階段下まで送ってくれることになった

高所恐怖症の俺は
らせん階段を下るなんて
足がすくんで動けない・・と
そう思ったが
俺の肩に乗って
いろいろと話かけてくれたシウミンのおかげで
怖い思いなしで下まで下る事ができた

そしてシウミンからおまじない・・ってされて

そうだ記憶がなくなっていたんだ・・・

あのおまじない・・・おまじないって・・・・




「しうちゃん・・俺あの時から・・しうちゃんが好きなんだ」

ルハンの発言に妖精達はビックリして飛び上がる

「ひょん!!!!人間に名前教えちゃったんですか?」

チェンがビックリしてシウミンの顔を見る

シウミンは頬を赤く染めたままうつむいて無言のままだ

「名前がどうしたの?」
ルハンの問いにスホが答えてくれた

「僕たちは人間に名前を教えない
名前を知った人間はその妖精の主人となる事が出来る」

へ?

ルハンは良く分からなくて首をかしげていると

「ウミニヒョンもルハンと一緒って事でしょ?」
ベッキョンが大声で言い放つ

「ウミニヒョンもルハンが好きで名前教えて
記憶を消すためにチューしたんでしょ」

「ルハンがヒョンの名前言ったから
もうルハンがご主人さまになっちゃったよ」

シウミンは頬を染めたまま両手で顔を隠していた

「そうだったのか~」
レイがえくぼを見せながら妙に感心して手を叩く

「ヒョンあの頃から時々ぼんやりしてたもんね
好きだったんだね~」

「恋煩いだったんだ」

「両想いだったんだね良かった」

わいわいと妖精達がそれぞれの意見を述べ始める

ルハンは何だか良く分からないけど
自分に風は吹いてきていると感じ
手のひら程のシウミンを両手で包み込んだ

「ヒョン~もう覚悟きめて!!!!
ここから卒業しなよ」
眠そうな顔をした妖精が1人
ボトルを手にルハンの前にやってきた

「これ・・人間になれる薬・・
相思相愛の相手がいるときに効くやつね」

「カイ・・・ありがとう・・」

「人間になってもたまには遊びに来てね」

「ヒョン~スホヒョンの事は任されるから」

「幸せになってください」

涙涙で妖精達とシウミンのお別れの挨拶が続いている

一緒に涙目でその様子を見ていたルハンの背中を
誰かがツンツンとつついた

ルハンが振り返ると
青い帽子をかぶった三白眼の妖精が低い声でルハンに囁く

「ウミニヒョンを泣かせたら殺しに行きますから
覚えておいてくださいね」

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

らせん階段で泣いていた人間の男の子
すごく可愛くて一目で好きになっていた

彼の恐怖を和らげるために
声だけで誘導して部屋に連れていき
みんなの協力で笑顔も戻り
しばらく遊んだりしてすごした

キラキラした瞳で自分を見つめる瞳に
心臓がバクバクして止まらない
ルハンという人間の男の子を
どうやら本気で好きになってしまっていた

彼を送り届けるときに
辛いけど記憶を消すことにして
唇にkissをした

このkissの思い出だけで生きて行こう
もう2度と合わないだろう


なのに
おとなになったルハンは
また俺の前に現れた・・
あの頃と同じキラキラした瞳で俺を見つめる

そして消したはずの記憶の欠片から
俺の名前を思い出して口にした・・・


もう俺は・・・
ルハン・・お前のものになってしまったんだよ
あの頃から
こうなるような予感があったのかな・・・







らせん階段を下りると言う事が
ルハンにとって
ものすごく怖い事だと今更ながら思い出す

シウミンが耳元で
元気が出るように囁き続けたおかげで
なんとか下までたどり着けた

やっとの思い出たどり着いた地上へのご褒美だと
ルハンはシウミンに早速人間になってもらった

そして大人になっているルハンは
大好きな人との大事な初めての夜を手に入れ
恋人同士になった実感をたっぷり味わったのだった

そして翌朝

シウミンの事を
クリスにどう説明したら良いか困って
四苦八苦していると
まるで全てを分かっているかのように

「おめでとう結婚式には呼べよ」との言葉だけで
クリスは深く追求せずに大人の対応を取ってくれた


「しうちゃん・・俺についてきてくれてありがとう」

「うん」

「これからもずっと愛してるからね」

「うん・・俺も愛している」

クリスの所から借りた服が女性用だったけど
人間になっても
ルハンより一回り小柄なシウミンには似合っていて
色白でつりあがった大きな瞳は
人間になっても美しさを損なう事はなかった

それから2人は幸せな結婚をし
2人の間には可愛い男の子が生まれた
(妖精さんには性別はなく希望通りの性になれたのだ)

ルハンは幸せ過ぎて端正な顔が崩れてしまいそうなくらいだ

時々シウミンの仲間の妖精さん達の事も考える
今何をしてるのか・・
今でも幸せのタネを作り続けているのかとか・・・

そしてある時
息子の昼寝に付きあって寝ていると

どこかで聞いた事のある歌声が耳に響いてきた

♪はいほー♪はいほー♪

自分達の周りを
はいほーはいほーと妖精達が楽しそうに歩いている気配がする

へっ?

「ウミニヒョンを泣かせてませんよね」低い声が耳に聞こえて来た

ええええ

飛び起きるとクリスの屋敷にいた妖精さん達だ

1人驚いていると
シウミンはニコニコしながら
「みんなでウチに引っ越してきたんだって」と答える

「きゃーこの子がウミニヒョンの子供?」

「可愛いっ可愛いっ超かわいいっ」

「ほっぺがムニムニ~♪」

「あ・・ルハンさん・・今日からお世話になりますね」

スホがぺこりとお辞儀をする

「ああ・・どうも・・いらっしゃい」


茫然とするルハンをよそに
赤ちゃんと楽しく遊び始める妖精さん達だった



おしまい

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こんにちわ

宗文さん 寒中お見舞い申し上げます^^
すっかりごぶさたでおます

やっぱ、宗文さんのお話はいいですね
Eternalは秀逸ですが(たまに読みかえし同じとこで泣いてます)
こうゆう可愛いお話も萌えます

るーみんも可愛いけど、ぎょんすもたまりませんw
また覗かせてくださいまし^^

Re: こんにちわ

> あんさんへ

お久しぶりです♪
お元気そうでなによりです

ぎょんちゃんは友達のリクがあるので
時々書かせてもらってます
でもドシウじゃないの・・ごめんね

なかなか更新できませんが
また遊びに来てください~♪
プロフィール

宗文san

Author:宗文san
るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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