鹿とむしゅたー 11

[鹿と むしゅたー] 11



ルハンがまだ薄暗い公園に着くと

街灯の下に人影が見えた


あれは・・・レイ?

大学の友人のレイが誰かと話しをしている様子だ


こんな場所でこんな時間に・・・なんでレイがいるんだ?


静かに近づいていくと

レイの足もとにはうずくまった人影が見える



「僕は・・・ぼくはどうしたらいいのか分かりません

僕の国は・・直系血族じゃないと国を統治できないんです

僕の一族は病弱で短命が続いたために

跡取りが僕しかいません

だから・・僕が戻らないとあの国は無くなってしまいます」


シウスターの声がする

ルハンは耳をそばだてて会話を聞きもらすまいとしていた



「王子はルハンの事が好きでこの世界に来たんでしょ?」


「はい・・僕の初恋の人でした・・・もう一度だけ会って

昔のお礼を言ってそのまま帰ろうと思っていたんです・・・

でも・・・ダメでした」


「今も未練あるけど・・・今戻らないと僕はあの国を消滅させてしまいます


自分のせいで・・・そんな事できません・・・だからあきらめるしかないんです」


レイは黙って聞いて、ため息をひとつ吐いてから静かに話した


「分かったよ・・・王子の決意が固いなら国に戻してあげる

人間の姿になったから、来た時に利用した通路が使えなくなってるからね」


「ユニコーンさんって・・・魔法使いなんですか?」

シウスターの問いにレイは小さく笑った


「じゃあ戻るから僕の手を掴んでね」



「ちょっと待った~!!!!!!!!」

ルハンが突然2人の前に飛び出して来た


「レイがなんでいるのか知らないけど

しうちゃんを連れていかせない!!!!!!」


そう言うとレイの手から

シウスターを奪い取るようにして自分の腕の中に収める


「しうちゃん・・・ダメだよ・・俺から離れないで」

シウスターを強く抱きしめながらルハンは何度も哀願する


「ルハン・・・あのね・・王子は国に戻らないと

国自体がなくなっちゃうんだよ」


レイが諭すように言うとルハンはムキになって答えた


「そんな国知ったことか・・・

しうちゃんがいなくなったら俺は生きていけない」


「ルハン・・・ごめんなさい・・僕はこの世界じゃなくて

自分の世界に戻ります・・

そこで僕のすべきことをしなくちゃならないんです

僕の生きる場所はこの世界じゃないんです・・・」


シウスターは泣きながらも

ルハンをまっすぐに見つめて話した






「じゃあ・・・俺がしうちゃんの世界に行く!!!!!!」


え?


「しうちゃんが、こっちの世界にいれないなら・・俺が行く!!!」


「だって・・ルハン・・今の生活とか家族とか・・・」


「そんなの捨てる・・・しうちゃんのいない世界なんて存在価値なんてないもん」


想定外の言葉にシウスターは驚いてルハンの顔を見つめた


「レイ・・・お前人間じゃないんだろう? 俺をしうちゃんの世界に連れて行ってよ」


ルハンの言葉にレイは小さく笑った

「いいんですか? もう大学に行ったり家族に会ったりできなくなっても?」


「俺さ・・・ガキの時に会ったハムスターが余りにも可愛くて

その時に心奪われてたんだ・・・

俺の初恋相手も・・しうちゃんだった事になるんだ」


ルハンの腕の中のシウスターはその言葉を聞いて

嬉しそうに胸にギュっとしがみついた


「もう離さない・・・離れない・・だから俺をしうちゃんの国に連れて行って」

レイは2人の様子を見てニッコリとほほ笑むと


「ふつう人間は向こうの世界では生活できないのですが・・・

ルハン・・あなたなら出来るかもしれない・・・2人とも私の手を掴んで下さい」





~ハムスター国 ひまわり畑~



「スホさん・・・突然こんな所に呼び出して何なんですか?」

執事のチェンが、

ひまわり畑の真ん中で占い師のスホに文句をいう


「今日も良い天気ですね~

この国は常夏なのでいつでも天気ですけど」と呑気に答えるスホ

「実は先ほどカードに

 『今日の昼にこの場所で王子に関する何かが分かる』と出たので

確認のために来てもらったんです」


王子と聞いてチェンの顔が曇った

人間界に行ったまま音信不通の王子

このまま戻らなかったら直系血族のいないこの国は消滅してしまう・・・・

スホの占いではそんな事にはならないと出てたから

まだ少し希望は持っている


「それにしてもスホさんのカード占いって・・・

当たってるんだか当たってないんだか・・良くわかりませんね

でも結果は当たっているから・・・凄いんでしょうね」


チェンが苦笑しながらスホに言うと

スホは時計を眺めながら嬉しそうに答える

「さあ・・・後2分で何かが起きますよ・・何でしょうね~」



すると

ひまわり畑の上の空間が急に歪んだ


ドサッ!!!!


するとそこから何かが落下してくる

満開のひまわりの上にその塊が落ちた



「痛ってぇなぁ~!!!!もうちっとちゃんと届けられなかったのかよ」

その塊は空に向かって悪態をつく

良く見ると人間の男性だった


「しうちゃん・・大丈夫? けがしなかった?」


「僕はルハンが守ってくれたので大丈夫です・・・

ルハンけがありませんか?」

腕の中でシウスターが心配で泣きそうな顔をしている

ルハンはその顔をそっとなでると「大丈夫だよ」とキスをした


「ごめんね~穴の設置場所まちがえちゃった」

背中にユニコーンの羽をつけたレイが申し訳なさそうに2人の側に飛んでくる



「あれ? スホとチェンがいる・・」


想定外の出来ごとに

抱き合ったまま固まっているチェン達にシウスターが気づいた


その声に我に返ったチェンがシウスターの姿を見て大きな声で叫ぶ


「シウスター王子様!!!!!」
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るーみん大好き宗文です。2人の幸せを祈ってます。ここでは2人の妄想話が主になります。BLが苦手な方は読まずにお帰り下さい。

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